イタズラ好きな叔父(短編小説)
《ズサッ》『痛〜って〜』
遥か先でイタズラ好きの叔父が笑っている。
肘は擦れて血が滲み、服は潰れた青草の汁で汚れている。
足元の草は葉と葉の先が縛ってあり、見事に僕は引っかかって転んだのだ。
叔父は子供っぽい性格で怪しい営業の仕事をしていたが、ある時【お化け屋敷】経営に急に乗り出しひと財産築くまでになっていた。
勿論そんな叔父に計画性は無く、お化け屋敷は廃れお金は車や別荘購入で使い果たしていた。
そんな別荘も使うことも無く、どんどん荒れ果てていった。
ある日叔父から『別荘に遊びに行くぞ』と誘いがきた。
『俺の別荘がネットで【心霊廃墟】として話題になっている』という事の様だ。
別荘は見事に荒れ果て、不法侵入の痕跡と落書きが独特の嫌な雰囲気を醸し出していた。
『これで事故物件ならもっと良い心霊観光スポットになるな』
叔父はノリノリで僕に電気の配線を沢山集めさせ、部屋の床に割れたガラスを突き立てていった。
しばらくして叔父は新しい別荘を近くに買った。相変わらず計画性の無さは変わらない。
今日も叔父は【事故物件心霊廃墟】で客を嚇かせ、入場料でたんまり稼いでいるのだろう、、
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