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初めての熊野一人旅(2日目‐②)


玉置神社の早朝参拝のあと、
宿に帰って、朝ご飯をゆっくり大変美味おいしくいただき、
部屋にもどったら、すぐ出発のしたくです。

台風が近づいているので、今日は予定を入れず、
チェックアウト後は、出来るだけ早く次の宿に着きたいと思いました。

もし台風がなかったら、本当ならこの後は、
熊野川に沿った国道168号線をゆっくりドライブで南下、新宮市に出て、
熊野速玉大社と神倉神社の参拝。

その後は、南紀勝浦の海や港や町を、目的もなくゆっくりめぐったり、観光したいな、と考えていました。

全部あきらめて、とにかく今日は次の宿泊先でゆっくりすることだけを決め、すぐに出発。

「雨風がひどくならないうちに..…。」

本日は、移動は素早く、その後はゆっくりの日です。


雨がけっこう降っている中、
車に乗り、エンジンをかける。

先ほどの早朝参拝時の行程こうていと同じく、国道168号線に突き当たり、さっきナビが、右へ行きな~♪👉️【 】 と言ったT字路交差点を、今度こそは心から右に右折させていただき、あとはまっすぐ新宮方面へ南下。

本来なら、この熊野川に沿った道は、のどかで気持ちの良いドライブができるのでしょうが、気持ちも雨脚あまあしも、それどころではありませんでした。

雨はどんどん強くなってきます。
そのうち、たたきつける雨。


車の数も多く、その走り方から、皆な気持ちは一緒なのかな、と思いました。

この天候では、参拝や観光は難しそうですし、何よりこれから来る台風が心配。

皆な一刻も早く次の宿へ!(もしくは自宅へ?)という連帯感を感じる気がしました。


片側一車線の道なので、前に路線バスがいる間は、けっこうあせり、

このままだと、何時間かかるんだろう?と心配しましたが、

停留所で停まってくれると、皆な急に『水を得た魚✴️』😂
取り残されまいと、
「あざーっす!」と次々に、すばやく横を追い越していく感じでした。

かなりな土砂降りで、常に怖さを感じながらの運転でしたが、
台風が来るとしたら、夕方以降という情報も流れてき、少し気が楽になりました。もっと早く来ると思っていたので。

それでそんな中、大雨ながらの光景を見ました。

左側に流れる熊野川の向こうに、山々が連なっているのですが、
あちこちで、その山のてっぺんから、山肌を伝いすべって滝のような水が幾筋いくすじも流れているのです。

ああいうの、何て言うのでしょうか?
名前、呼び方がわかりません。
山関係の名称と思い、検索してみましたが、よくわかりません。

『滝』ではないと思うんですよね。

上から落ちる、というのではなく、
滑り台みたいに、山肌をてっぺんから最後まで一直線で流れて落ちていく…

その様子を、紙に絵をいて伝えるとしたら、山の△を書いて、その頂点から、下にピー、ピー、と線を書くかんじ。
(スミマセン💦)


また違った言い方をすると、
映画やポスターで、原始時代の恐竜とかがいる背景の山、って言うんでしょうか。
原始時代の映画やポスターで見た気がするような。
あとは、ハワイとかの密林の背後の山、のポスターとかで見たことがあるような…。

きっと普段は、枯れた沢か、遠目ではからないぐらいの少量の水が流れている小さな沢なのしれません。

それが今、遠く対岸から見ると、あたかも日光の『華厳の滝』ぐらいの幅?…とまでは…いってないかもしれませんが、そのぐらいの存在感で流れているのです、ザーザーと。(音は実際はわかりませんが)

それも、あちこちで!!!
何本も何本も…。

例えば今、信号で停まったとして、そっちの山の方に目をむけたとすると、そこからだけでも、グルッといっぺんに3~5箇所、は見えるぐらいな。

盛ってますでしょうか?
でも、今思い出して、そんなイメージです。

とにかく、すごい光景…!と思いました。

( 危険さえ無いと保証されていたら、実は、感動と言えるパワー、景観でした。)


大雨で水が増量した為ですが、自分の走っている道路側の方の山は、見えないのでわかりませんでした。


日本に住んでいるので、山はあちこちでしょっちゅう見ていますが、
こういうのは初めて見る光景で、「ここ(熊野の山)はいつも、こういう景色なのかな。」と思いましたが、
実際この後、数年経って2回熊野を訪れましたが、
その時は、そのような水の流れはなく、いたって普通の山々でした。

さらに!
その水の流れだけでなく、あちこちで山肌がえぐられて、
茶色の土が広範囲で、むき出しになっているのです。

山のかたちのプリンを、最初のひとくち、スプーンですくったあとみたいに、木々ごと、えぐられていました。

それも、水の流れと同じくらいの数、を目にしました。

あちらこちら、です。

今、自分の走っている側の山でこれが起きたら…と思うと、けっこう怖かったです。

実際、遠い過去の水害で、多大な被害があったこともあるそうで、
この、婆が行った時の台風では、後で進路がそれ、熊野地方は直撃をまぬがれましたが、
他県では、人的なものも含め、大きな被害があったそうで、
日本全国、本当に自然の力を甘く見てはならないと真に感じ、きもめいじる経験となりました。


この山肌が落ちている状態は、今日の雨で起きたのか、もっと前に起きていたものなのかわかりませんが、
山奥にある玉置神社の早朝参拝、ついさっき行ったばかりです。

本当に無事に行って来ることが出来たことを、ありがたく思いました。


今回の旅は、直前の段階で、
台風が来る時点ではすでに安全な宿に待機できる、という目算がありましたが、
それ以上に、
自分ではどうすることも出来ない運や、自分の力を超えた加護によるものも大きいと考え、

こればっかりは、自分の力ではどうしようもないことです。

ですから、せめて自分の出来る事として、
一般的に【行ってはいけない】と言われるようなや、
【入ってはいけない】と言われるような場所は、

ただなんとなく言われている訳でも、
とりあえず一応、さくや注意看板を設けておいた訳でもなくて、

そこには必ず、それなりのつらい事実根拠が、
それまでの歴史と経験の中、『そこ』に確かにある、のを先人せんじんが教えてくれているのだから、

決してなめたり安易にとらえたりしちゃいけないんだ、と自分も身を引き締めましたし、孫、子にも伝えなくっちゃ、と思いました。


山の道から、だんだんと町の道になっていき、景色も変わってきて、
【新宮市】の表示が現れてくると、気持ちも軽くなってきて、フーッと深呼吸の様なため息をつく余裕が出ました。

雨も心なしか、一旦いったん弱まったような気がします。

このまま宿に向かうつもりでしたが、
雨も小降りになってきたので、もしかして【熊野速玉大社】はどうかな? と思って、取りあえず一回近くに行ってみることにしました。


熊野速玉大社は、町の中におやしろがあります。

駐車場に着くと、雨的には大丈夫そうだったので、参拝させていただくことにしました。

駐車場からすぐに入ることも出来たのですが、
ちゃんと正式の鳥居から入りたいと思い、

傘をさして、そちら側に歩いて行きました。

すると、ちょっと雨が強まりました。

ん?と思いましたが、それでも、さっきとは違い、まだ普段レベルの雨なので、
そのまま進み、鳥居の中に入ろうとして、

「わぁ、なんか綺麗きれい~♡」と感じ、実際口に出して言ってしまいました。

言ったとたん、ちょっと雨が弱まった?
・・なんてことは、ないか・・・。気のせい・・・?だな。

それで、声に出してしまった後、ヤバ・・・、と後ろを振り返って、誰もいなかったので、良かった・・・。

ひとり言、マズイ・・・。一人旅のせい?



これまでうかがった熊野本宮大社と玉置神社は、山にお社があり、
【造り】も【気】も、もちろんそれぞれであられますが、
やはり山の神社という氣がされます。


熊野速玉大社は、そこにある一つ一つのものや、建造物が、お洒落しゃれな感じがして、
色合いも、色の組み合わせも、とても素敵でした。

美しい

女性好みと申しますか・・・。
平安貴族っぽいと申しますか・・・。
平安都会的と申しますか・・・。

それで、本殿に近づいていくうちに、雨はやや多くなってきましたが、
まっすぐの雨で、
垂直まっすぐな雨の線が【すーー・すーー】とちゃんときれいに見えて、

美しい本殿と、
本殿の軒先のきさきから規則的にリズムを持ってしたたる大粒のあまだれと、
まっすぐに落ちて来る細いの線。
この三者のコントラストが、芸術でした。

雨の中の参拝でしたが、雨のつらさは全くなく、
自分的には明るい、気持ちの良い参拝となりました。


このあと、すぐ近くに鎮座する神倉神社も参拝できるかな?と頭に浮かびましたが、駐車場で車に乗る段階の雨の状態と、台風への心配で、今日はやっぱり無理と思い、
神倉神社は明日、参拝させていただこうと、宿へ向かいました。


さて、本日の宿は『休暇村 南紀勝浦』です。

休暇村は、以前は【公共の宿】で、現在は民営化?したみたいで、価格も【公共の宿】の時とは変わってしまいましたが、
価格は婆にはちょっとキツイながらも、婆は休暇村が結構好きで、その理由を含め、別の記事で書けたらと思いますが、別に休暇村の関係者、まわし者ではありません。

チェックイン予定の15時頃、ちょうど到着できたと思います。
無事に着けて良かった・・・と、胸をなで下ろし、ほっとした記憶があります。

ここに着いたからには、もう大丈夫。

何より安堵しました。

今日はもうゆっくり過ごそう。


今日の台風18号は、午後5時頃、高知県を通過し、
高知県のある四国は、熊野のある紀伊半島とお隣で並んでいるので、
素直な進路なら、夜こちらに来ると婆は思いました。

結果的には、その後、兵庫県の方に向かい、午後10時には兵庫県明石市に再上陸という記録があります。

それでも、こちらも夜になると、まさに台風!という雨風でした。

頑丈な建物であるし、音は聞こえませんが、
窓に雨が叩きつけられているのはわかり、それで強風であるのも感じられました。

休暇村 南紀勝浦は、太平洋を一望する高台にあり、
「台風の海はどんなだろう?」と思いましたが、
真っ暗で何も見えません。

窓を開けたら大変な事になるので、決して開けられません。

婆が住んでいるのは内陸で、台風時の海の状態は、テレビ放映以外見たことがなく、
今日偶然、じかに見ることの出来る環境になりましたが、

夜の海は全く見えず、ただ音だけは、窓を閉めていても、
ドドーン、ドドーンと聞こえるような?気がしました。

昼間だったら、見えたのかもしれませんが・・・、
それが出来なくとも、何より自分の身が無事だった、それが一番だったと思います。


休暇村でゆっくり休み、
明日は台風一過たいふういっかで、きっと晴れるだろうから、
『那智の滝』の飛瀧ひろう神社に、早朝参拝に行こう。

連日、早朝参拝だけど。

普段の日常生活より早起きになってます。

『那智の滝』だけは、朝一で行きたいと思いました。

それで休暇村へ戻ってきたら、海からの日の出もぜひ見たいし。

欲ばりです。

悪天候で入れなかった露天風呂も、かってから早朝参拝に行こうか。

休暇村から那智の滝までは、早朝、車だったら、案外すぐだし・・・。

・・・などと考えながら、眠りについたのでした。



それで・・・、
この記事は、これで終わりっぽいのですが、実はまだもう一つ続きがありまして。

夜中、何時頃だったか覚えていないのですが、深夜、何故なぜか自然に目が覚め・・・。

外が静かな気がして、台風はどうなったかな?と気になって、カーテンを開けて外を見てみたら、

まさに今、ちょうど海から昇ってきたばかりの細い細い三日月🌙が、全部の姿を現して、水平線のすぐ上にぷっかり浮かんでいました。

水平線のところには、少しの雲のさえぎりもなく、まさに正真正銘の
の境界線になっていました。

自分の目線より低いところに浮かぶ薄赤い三日月。

細く赤くあわぐらい光の三日月だけでなく、丸い月の隠れた部分をも影として、陰影が丸く暗く浮きあがって現れ、目で見ることができました。

月の出。


婆は海辺に住んでいる訳ではないので、海から昇る月も、海に沈む月も、この歳まで一度も見たことがありません。

大変神秘的でした。

そしてとても静かでした。


もうちょっと早く気が付いていたら、三日月の先端の、角から出てくるところが見れたのかな?

(考えてみると、そもそも最初からその目的を持って、時間と、方角と、月の形状を確認した上で見ていないと、わからないかも、と思いました。最初のうちは気が付かないか、もしかしたら船などと勘違いしてしまいそうです。
実際この時も、太陽とは違って、すぐには気が付きませんでした。)


自ら光を発する太陽と、それを受けて静かに照る月と・・・、
出る時、沈んでいく時の感じも違うんだなとわかりました。

太陽は光。
月は姿。


海辺に住まれている人達や
漁師さんたちや、
船乗りの方々は、
こういう厳粛なひとときを、いつも持っているんだ。

いいなー。

そこに生きる方々にとっては、当たり前の光景なのかもしれませんが、婆にとっては、宝石の様な、忘れられないシーンとなりました。


それで、じかで見たくて、ガラス窓を開けてみると、
なんと!満天の星❇️

天然プラネタリウムでした。 

さすが台風一過。

すごい。


寝ていたのに、
目覚ましのアラームが鳴った訳でもないのに、
こういう心を豊かにしてくれるものを思いがけず、さらにベストなタイミングで見れたってことは、
きっと熊野の神々様のご加護に違いないと、嬉しく、ありがたく、思いました。


それで、こんな心がきれいになるような天体はめったに見られないので、
しばらく感動して見ていたら、
知らぬ間にあっちこっち蚊に刺されていて、

かゆくなって気が付いて、急いで窓を閉め、はらった後も、プンプンしつこくまとわりつかれ、
かゆすぎて、後がたいへんなことになりました。


虫刺され痒み止めの薬を持ってくれば良かった💦

仕方がないので、爪十字で対処しました。


効いたかどうかは…..よく覚えておりません。








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