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次の世代を照らす光 映画『さかなのこ』ハイ、傑作映画! ~映画イラスト~

さかなのこ(2022年製作の映画)
上映日:2022年09月01日製作国:日本上映時間:139分
監督 沖田修一
脚本 沖田修一 前田司郎
原作 さかなクン
主題歌/挿入歌 CHAI
出演者 のん(能年玲奈) 柳楽優弥 夏帆 磯村勇斗 岡山天音 三宅弘城 井川遥 宇野祥平 前原滉 島崎遥香


四コマ映画『さかなのこ』

https://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2873

さかなのこ

https://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2873



良かった。。手震えるくらい良かった。。


終盤ずっと泣いてた。。
そういえば、さかなクンの「お魚さん大好き!食べても美味しい!」っていう好きなものへの距離感ももともと好きでした。

この映画はずっと変なんだけど、、変な方向には行かないところがすごく良かったです。

母親の「あの子はお魚が好きで、お魚の絵を描いて、それでいいんです」っていうセリフも、「いい訳ないじゃん…」って思っちゃうんだけど井川遥の説得力がすごいから心に響くし、実際のさかなクンの人生も「それでいい」どころがめちゃくちゃいい感じなっていくわけですし。


原作本『さかなクンの一魚一会』

原作本、映画見終わって本屋巡ったけどどこも売り切れ。仕方なくKindleで買って映画見たその日に全部読みました。

(全ての漢字にフリガナ振ってあるので読みやすいですよ)

映画よりもさらに数奇な半生ですし、いかに周囲から愛された存在なのか原作読んでなおさら感動。

翻ってこの原作を豊かなトリッキー映画にしたことにまた驚嘆。


原作よりも抑えめに

映画を観て「このすごい半生はどこまでホントなの?」と思って原作を読んだんですけど、、実際のさかなクンの人生の方がよっぽど数奇でした。。

そのまま映画でやったらあまりに嘘くさくなっちゃうくらいの数奇さ。

だから映画ではむしろその数奇さを抑えめにしてるってとこが、本当にクレバー。上品。


映画らしいトリッキーさ

事実の数奇さを抑えた分、映画版に加えられたのが「ギョギョおじさん」。

ギョギョおじさんは、さかなクン自身が演じた幼いミー坊を導く役。

この役は意味がわからない。。
この自由さが映画としては嬉しいし、
この役についてよく考えてみると素晴らしくて、本当泣けちゃうのさ。

それはネタバレなので下の方に。



さかなクンはイラストレーターでもあったんよね。

ただただ魚が好きだから魚の絵を描き続けてたら魚の絵の仕事が来るようになって…っていう流れにボロボロ泣けた。。
昨今の僕には刺さりまくりでした。。

すみません、原作読んだら違いました。。私が浅はかでした。。。
「好きだからただただ描き続けた」んじゃなくて
小学校の頃からどう描いたら見る人に喜んでもらえるか」「どう描いたら見る人に喜んでもらえるか」「どう描いたら魚の魅力を伝えられるか」を考えながら描いて描いて描きまくっていた方でした。。

僕なんかより早いダントツに早い年齢で「どう描いたら見る人に喜んでもらえるか」を意識していたなんて、、、ホント尊敬。。。


さかなのこ_4-2


ネタバレ ギョギョおじさん



ギョギョおじさんは幼いミー坊に魚の楽しさ、素晴らしさを教える人。

つまり、ミー坊の将来像となる先人(ギョギョおじさん)がすでにいて、ミー坊は先人に導かれることで自分の人生を豊かに生きることができたわけですね。

ギョギョおじさん視点で見ると、
ギョギョおじさんってのはちょっとかわいそうな人ではあって、、周囲からは変な人扱いを受けてるし、逮捕もされる。
ラストではどこかの漁港で働いている姿も映される。

一方、ミー坊はイラストレーターとしても順調だし、お魚博士としてお茶の間の人気者になった。

どちらの人生が良い人生かを単純に比較したくないけど、単っっっ純に見るとミー坊の方がより成功した人生を得られた。

でもそれはギョギョおじさんが周囲の無理解に負けずに自分を貫いて、ミー坊(下の世代)につなげていったからこそ。下の世代がよりのびのびと自分の人生を謳歌できるのは、先人がいたからってのもあるんだよ、と。


あのハコフグの帽子(あ、ごめんなさいアレは皮膚なんですよね)はそれの象徴かと。


***


で、大事なポイントはこれが映画の中のフィクションだけにとどまっていないという点。

実際のさかなクンには「ギョギョおじさん」的なわかりやすいメンターはいなかったかと思います(いたら危ないよね…)。

でも、いわゆる世間から「変な人」と言われながらも自分がやりたいことを貫いて生きている人はいたわけで、
その変な先人たちが周囲に与える影響が水紋のようにポンポンと広がっていた。


そして無意識下で「いろんな生き方があって良いよね」という社会の雰囲気がじわじわ充満していたからこそ、ミー坊はのびのび自分らしさを発揮できた。

ギョギョおじさんは世間から変な人扱いを受けても自分の人生の楽しさを選んでいるすべての人の象徴だし
その存在は下の世代にも良い影響を与えているし、

ミー坊(さかなクン)も当然下の世代に「自分の好きを貫く」大事さをつなげていってくれている。

泣いちゃう。

いい映画っっっっっっっっ!

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