見出し画像

「女の敵は女」なのか、データから検証してみました

「女の敵は女」という表現が問題視されてサンリオのキャラクターグッズが発売中止になったというニュースがありました。

個人的にはぜんぜん知らないキャラクターなのでこの件自体は正直どうでもいいのですが、「女の敵は女」というのは本当なのか気になったのでちょっと検証してみました。


検証

使用したのは警察庁が出している2020年の犯罪統計です。
重要犯罪および詐欺について、加害者(検挙人員)と被害者の性別データが出ています。

これで殺人のデータを見てみると、検挙された殺人犯のうち約76%は男性です。強盗については約92%が男性です。
それに対して被害者を見ると、殺された人の約54%が男性です。強盗被害者も約61%が男性です。

つまり、加害者の圧倒的多数が男性で、被害者の半分以上が男性ということで「男性が男性に危害を加える事件がもっとも多い」と推定できます。

ついでに腕力不問の犯罪として詐欺についても見てみると、加害者の82%が男性で、被害者の56%が女性なので、こちらは男性が女性をだます割合が多いようです。高齢女性の被害が多いので、詐欺グループにおばあちゃんが狙われているのでしょう。

どちらにしても、女性が女性を殺したり、女性が女性から財産を奪ったりする事件はめったにないのです。

「いや、そんな統計に出ないような、法律に触れない範囲で女が女に危害を加えているんだ!」と言う人もいそうですが、データにないことは何の根拠もないので、勝手に決めつけるわけにはいきません。少なくとも私の知る限りでは、女子校で男子校よりいじめの発生率が高い、などという事実はありません。想像ですが違法ではないが陰湿な嫌がらせというのは、男性の集団でも相当な確率で起こっていそうです。百歩譲ってその手のことは女性に多いとしても「それくらいなら殺されたほうがましだ!」とは言えないですし。

結論

「女の敵は女か?」という質問に対しては「そんなバカなことあるわけない」というのが答えです。
じゃあ「女の敵は男なのか?」というと、そうでもなさそうです。なにしろ男性に殺されているのは男性のほうが多いのです。私も最初は「男性が女性を殺す事件が圧倒的に多いのかな」と思っていたのですが、ただの思いこみだったようです。
むしろ「女性は男性に比べておおむね平和かつ友好的に暮らしており、男も女もそんなに敵ではない」というのが妥当な結論ではないでしょうか。

女性が殺人で捕まったりすると大々的に報道されがちですが、「女性の無害さ」についてもっと注目されてもよさそうなものです。どうも女性というのは給料が安くても犯罪に手を染めるでもなく、華々しい成功を修めることもないかわりに他人に危害も加えず、「ホメラレモセズクニモサレズ」という感じで「雨ニモマケズ」風の人生を送っている人が多いのかもしれません。

むしろ気になるのは男性同士の関係の危険さです。データを見ているだけで男性のみなさんが無事に明日を迎えられるのか心配になるほどです。平和な現代日本の犯罪統計に絞ってもこの有様ですから、これが全世界・全時代にわたって戦闘行為の被害者まで含めれば、男性同士による殺し合いの割合がさらに跳ね上がるでしょう。私たちが「女の敵は女」などとたわ言を弄しているあいだにも、たくさんの男性が男性によって殺されているのです。

マイメロディのママも、「女の敵は女」などと言っているより、むしろ夫や息子に向かって「男の敵は、いつだって男なのよ!おじさんに殺されないように気をつけてね!」と忠告してあげたほうが良かったのかもしれません。


この記事が参加している募集

#やってみた

37,022件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?