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男性に「女性アシストポイント」をつける、という提案

高校時代、文化系の部活にいて経験したことなのですが、たまたま部長以下執行部が全員女子、ということになったのですね。
すると、男子部員が幽霊化しました。
べつに表立って異議を表明したわけではないのです。ただ出席率が悪くなり、出てきてもなんとなくやる気がないというか、主体的に活動に参加しなくなりました。

このままでは演劇部だと宝塚状態になってしまいます。合唱部なら女声合唱になります。
そうなる前に、そもそも新入部員がほとんど女子だったりすると、男の先輩が危機感を覚えるのか「まずい。男をもっと入れよう」と言うこともありました。

こうした「女性リーダーからの静かな撤退」というべき現象は、学校だけでなく社会の随所で見られるように思います。女性上司のもとで部下が全力で働かないとか、女性監督や指揮者のもとでメンバーが一生懸命やらないとか。
抗議したり妨害したりするわけではなく、ただ「一生懸命やらない」だけなので、傍目にはリーダーの指導力不足で成果が上がらないように見えてしまいますが、いくらリーダーが頑張ってもどうにもなりません。

男性本人としても決して「女のリーダーなんかとやってられっかよ」と意図的にサボタージュしているわけではなく、ただなんとなくやる気が出ない、チームの目標が他人事のように感じる、ということなのでしょう。

賢い女性ほどこの構造が予測できてしまうので、自身がリーダーになるのをためらうようになります。そのかわり、男性をつなぎとめるためリーダーとして立てておく、という手を使います。

家庭でも、あきらかに仕切っているのはお母さんなのに、公式に家族のリーダーとして振舞うとお父さんが家に帰ってこなくなるので、建前上お父さんを「家長」として立てておくとか。
PTAで、ほかの役員は全員女性なのに、なぜか会長だけ男性、という謎現象とか。
女性比率が高いであろう介護施設で、施設長は男性だとか(おにいさんが多いような気がしますが、なぜでしょう)。

この構造を無視して、「よし女性活躍推進だ!数値目標を立てて、女性リーダーを増やすぞ!」とやっても、なかなかうまくいかないのではないでしょうか。

足りないのはリーダーシップのある女性ではなく「女性リーダーを全力でサポートしてくれる男性」だからです。

そこで考えたのが「女性をサポートした経験がポイントとして評価される」システムです。

サッカーに詳しくないのですが、観ていていいなと思うのは、シュートを決めた人だけでなく、パスなどで貢献した人も「アシスト」として記録がつくのですね。

同様に「女子の生徒会長や部長のもとで経験を積んだ」「女子選手のマネージャーとして成果を出した」「女性上司のもとで実績を上げた」「家事・育児などで妻をサポートして、彼女の仕事に貢献した」といったことで「女性アシストポイント」が付くようにします。
受験や就職、査定のほか選挙に立候補したときもこのポイントが表示され、高く評価されます。
ここで重要なのは、ポイントがないから失格といったことではなく、あくまでも加点要素として評価されることです。

学校や会社を選ぶ際にも「自分のキャリアのために、サポートしがいのある女性リーダーのいるところに入ろう」という基準ができますし、女性を見るときに「この人をどうサポートするのがベストか」という視点も出てきます。

通常の女性リーダーを増やす施策だと、男性が「自分は冷遇されている」「排除されている」と反感のもとになりがちです。
女性を支える男性が「ナイスアシスト!」と評価される社会、というのもおもしろいのではないでしょうか。


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