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「あったらいいな」の妄想書店

注:現実の書店さんからしたら「採算が…」「人手が…」「法律が…」「再販制が…」「取次が…」「セキュリティが…」となるでしょうが、これはあくまでもそういったことを度外視した素人の妄想なのでご容赦ください。



新刊書店と古書店が一体化している

買う側からすると、新刊書店と古書店を分けるメリットはありません。
昨今のようにすぐ本が絶版になる情勢では、新刊だけで欲しい本を入手するのは無理です。
Amazon の競争力が優れているのは、新刊と古書を並列に扱っているところが大きいです。
従来の書店は、探している本が品切だと「ないですねー」と言われて終わりでしたが「よろしければ古書でお探ししますか?ご予算内で状態の良いものが見つかりましたらお知らせします」というサービスがあればとても助かるのです。

新しい本を買うと、古い本を下取りしてくれる

洗濯機なんかでは、新品を買うと配送業者が古い洗濯機を持って行ってくれたりしますが、そのおかげで買い替えのハードルが大幅に下がることも事実です。
本好きであるほど「新しい本が欲しいけど、もはや置く場所が…!」となる可能性が高く、買うのと同じ冊数を引き取ってくれるなら安心して買えます。
下取り額は次回使えるポイントにして、上記のように古書店一体なら引き取った本をそのまま店内で売ることができます。
自社でお金と本を循環させることで、よその新古書店やフリマアプリに利益を持っていかれなくなります。

たくさん買うと優遇してくれる

本屋さんでつまらないのは「今なら100冊買うと1冊無料!」とか「チラシ掲載の本を全種類コンプリートするとポイント5倍!」とか「おねえさん、いつも買ってくれるから1冊おまけしちゃおう」とかいっさいないのですね。
環境負荷と労力をかけて返品し断裁するくらいなら、お得意様にサービスしてしまったらどうかと思うのですが。

壊れた本を修理してくれる

眼鏡屋さんや靴屋さんで買った商品を修理してくれるイメージです。
親子代々で愛着ある本を長く読むつぐことができますし、高額な本や壊れやすい子どもの本は修理サービスがあるからネットではなく書店で買おう、となります。

自動出版機がある

店頭にない本をその場で印刷してくれます。
流れとしては端末画面にISBNなどを入力して検索→決定→支払→ダウンロードして印刷→出てきた紙束をその場で簡易製本するか、別売のバインダーに挟んで完成、という感じでしょうか。
ページ指定して必要な部分だけ買えればなお便利です。

オリジナル製本をしてくれる

前項の自動出版機ではただの紙束で味気ないので、別料金でオリジナル製本も発注できます。
見本から「製本はフランス装、見返しはこのマーブル紙にして、あと透かしでイニシャルも入れてください」などと選べます。
世界で1冊だけの自分の本が楽しめますし、ギフトにもよさそうです。

著者と交流できる、なんなら著者が店にいる

会いに行けるアイドルならぬ「会いに行ける著者」です。
サイン会やトークイベントといったかたちで著者が書店に来ることはありますが、それは一方的なもので、読者としてはせいぜい「がんばってください」「いつも読んでます」くらいしか言えず、本の内容について不明点を質問したり議論を深めたりできる一種の知的サロンとして書店が機能しているとは言えません。
なんなら大学教員のオフィスアワーみたいな感じで「この曜日この時間に行けば著者が店にいて質問を受け付ける」状態にしてもよいです。
さすがに超多忙な売れっ子作家では難しいでしょうが、著述だけで生活するのは難しいような作家であれば、非常勤書店員として定収入が得られるなら悪くないかもしれません。

小規模出版をしてくれる

パン屋さんは製造も販売も同じ店舗でやっていることを考えると、出版業と書店業は必ずしも分けるものではないとも言えます。

著者は企画を出版社ではなく地元の書店に持ち込み、本が出たらそのままお店で売ってもらいます。ついでにそこに所属して前項の「会いに行ける著者」になってもよいです。

自費出版のほか、絶版本の復刻や郷土資料を各地の書店で小ロット出版して、銘菓のように「そこでしか買えない」限定品として実店舗に足を運んでもらう戦略です。

本の相談に乗ってくれる

図書館のレファレンスサービスが書店にあるイメージです。

「今から新幹線に乗るんだけど1時間くらいでサクッと読める小説ない?」「推しの○○さんが載ってる本、全部買い占めたい!」
「××について調べていて、初心者にもわかりやすくまとめたものが欲しい」
「子どもへ本をプレゼントしたいけどおすすめはありますか?恐竜の好きな5歳の女の子なんだけど…」
「探している本が品切で…どうしたら入手できますか?」
といった相談に乗ってくれます。

図書館でもレファレンスサービスが貸出につながることはよくあるので、書店なら売上につながるのではないでしょうか。

本の福袋や詰め合わせがある

以前、こちらの記事で図書館の福袋が人気、というお話をしました。

本屋さんの福袋もあったらいいんじゃないかと思うのですが、私の知る限り見た覚えがありません(値引き販売にあたるので再販制などにひっかかるのでしょうか?)。

単なる在庫処分ではない、書店員さんの見識を生かした選書なら見てみたいです。福袋でなくても、中身がわかるかたちで「○○の本詰め合わせ」でもよいと思います。お菓子屋さんで焼き菓子と紅茶の詰め合わせがあるように、本と合わせた栞やブックカバー、書見台の詰め合わせなども楽しそうです。

終わりに

日本全国で町の本屋さんがすごい勢いで倒産している、という記事を目にしました。ついに経産省が支援に乗り出したという話もあります。https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2403/16/news036.html

私自身も書店が好きですし、できる範囲で応援してはいるのですが、業態が今のままでは存続が難しいだろうと思うことも事実です。
薄利多売で同じ本を大量に売りつけるのではない、本当に本が好きな人を大事にしてくれる書店が増えたらいいな、と願っています。


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