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正しく理解して予防しよう(糖尿病)

生活習慣病の中でも、最も合併症が多く注意が必要なのが糖尿病です。

糖尿病は心血管疾患、腎臓疾患、神経障害、失明などの合併症を引き起こし、健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

これらの合併症を引き起こすと生活の質が低下し、病気によってはさまざまな制限や医療的ケアが必要になることがあります。

また投薬などによる医療費の負担があり、経済的負担が増大する可能性もあります。


このような状態にならないためにも、糖尿病を早期に発見し、適切に対応していくことが重要となります。

今回は、糖尿病ではない方から糖尿病の治療を実際に行っている方までが参考になる内容をまとめていきたいと思います。


まず予防について、一般的に言われていることをまとめます。
バランスの取れた食事
タンパク質、脂質、糖質をバランスよく摂取し、特に栄養豊富な食品を重点的に摂取する。
適度な運動
定期的な運動を取り入れ、体重を管理し、血糖値を安定化させる。
体重管理
肥満は糖尿病のリスク因子であるため、健康的な体重を維持することが重要である。
ストレス管理
ストレスは血糖値に影響を与えるため、ストレスを軽減するためのリラクゼーションやストレス管理技術を学ぶ。
血糖値モニタリング
定期的な採血により血糖値のチェックを行い、異常値が見つかった場合は医師に相談する。


次に治療です。

一般的に薬物療法、運動療法、食事療法がおこなわれます。

薬物療法はインスリン注射や経口血糖降下薬などがあります。
これらは採血などによる定期的な血糖値の変動を確認し行われます。

食事療法は主に管理栄養士さんが、現在の食生活の聞き取りなどを行い、正しい食習慣の是正や血糖値を安定させるための、メニューなどの提案を行います。

運動療法は、健康運動指導士や理学療法士が適切な運動方法などを指導したり、適度な強度を示したりします。

その他にも、自己管理するための教育や心理的サポート、家族に対する支援などが提供される場合もあります。


このように糖尿病は生活習慣病というだけあり、薬物療法以外は、日々の生活習慣の是正が主な内容となります。

そのため正しい知識や理解を深めない限り、効果は限定的になりやすいという特徴があります。



ここからは、食事と運動に関して、より具体的な方法を勉強していきたいと思います。

まず食事ですが、糖尿病の予防や治療の主な目的は血糖値の安定化です。
糖尿病の方で多いパターンを紹介します。

  1. 血糖値の大きな変動、血糖値スパイク

    • さまざまな要因により、血糖値が急激に上昇し、血糖値スパイクが発生することがあります。血糖値スパイクは、インスリンの急激な分泌により血管への負担を引き起こし、糖尿病のリスクをより高める可能性があります。

  2. 低血糖

    • 血糖値が通常値よりも低下する状態であり、頭痛、めまい、吐き気、倦怠感などの症状が現れることがあります。

    • 低血糖状態は、インスリンや糖尿病治療薬の過剰、長時間の空腹、運動後などに発生する可能性があります。

  3. 高血糖

    • 血糖値が通常値よりも高くなり、多尿、のどの渇き、多飲、疲労感、視覚障害などの症状が現れることがあります。

    • 長期間にわたる高血糖状態は、心血管疾患、神経障害、腎臓疾患、失明などの合併症を引き起こすリスクを高める可能性があります。

これらの状態にならないように食べ物の種類や食べ方、栄養素などを工夫することが大切です。
その一つに低GI食品を選ぶというものがあります。
GI(Glycemic Index、血糖指数)は、食品が血糖値を上昇させる速さを示す数値です。GIは、特定の食品を摂取した後に血糖値がどの程度上昇するかを表します。GIが低い食品は、血糖値の上昇が緩やかであり、GIが高い食品は、血糖値の上昇が急速であることを示します。
一般的に、GIは以下のように分類されます。
低GI(55以下):血糖値上昇が緩やかで、血糖値スパイクを抑制。
中程度のGI(56〜69):血糖値上昇が中程度で、適度な血糖値上昇。
高GI(70以上):血糖値上昇が急速で、血糖値スパイクを起こす可能性高。

野菜や果物、豆、無糖の乳製品などはGI値が低い傾向があります。

その他にも食物繊維を摂取することも効果的です。
食物繊維は消化を遅らせ、血糖値の急激な上昇を抑制します。野菜、果物、穀物、豆類などの食物繊維を多く含む食品を積極的に摂取しましょう。

またタンパク質をバランスよく摂ることも重要です。
タンパク質は血糖値の上昇を抑制し、満腹感を与えます。魚、鶏肉、豆類、豆腐などのタンパク質を含む食品を食事に取り入れることが重要です。

その他にも大量の食事を一度に摂取すると、血糖値の上昇が大きくなる場合があります。小分けにして食事を摂ることで、血糖値の急激な変動を防ぎます。

果物に含まれる果糖も血糖値を上げる原因になります。特に果物の果汁や加工された食品などに多く含まれています。砂糖やブドウ糖と同様に、果糖の摂取量が過剰になると、糖尿病のリスクを高める可能性があります。野菜果物ジュースなども加工された果糖になりますので過剰摂取には注意が必要です。

健康にいいと思われている果物に含まれる果糖ですが、食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養素が高い反面、過剰摂取による悪影響もあります。冬場であれば、みかんなどの柑橘系を多く摂取する方もおられますので注意が必要です。


最後に運動に関してですが、一番効果があるのは有酸素運動です。
有酸素運動は、身体の酸素を使って行われる運動のことで、心臓や肺の機能を改善し、全身の筋肉を使ってエネルギーを消費します。
有酸素運動は、15分以上の継続的にできる運動であり、心拍数が上がり、呼吸が速くなるような、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などがあります。有酸素運動は糖尿病だけでなく、減量や心臓血管系疾患の予防、健康長寿に大きく関係しています。


いかがでしょうか。

糖尿病に関しては、薬物療法、食事療法、運動療法が大きな軸ではありますが、一番大切なことは今までの生活習慣を改めることです。

そのためには必要な知識を得て、しっかり理解し、行動へつなげていく必要があります。

今回紹介した内容はごく一部であり、実際の栄養指導、運動指導などはより個人にあった内容を提供していきます。

詳しい内容をお聞きになりたい場合は、診察時にお問い合わせください。