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外国人材市場は拡大中!追い風を捉え、副業プロジェクトの目標達成なるか【PMI奮闘記#7】

2023年7月に始動した、副業チームによる「継人(つぎびと)プロジェクト」。外国人材の派遣・紹介をおこなう株式会社ヒューマンアールにて、有志メンバーがM&A後の経営改善に挑む中、新規事業の初成果など明るい兆しも見えてきました。

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日本では幅広い分野での人手不足を背景に、外国人材に大きな期待が寄せられています。そうした人材市場の最新動向をふまえつつ、本プロジェクトの近況について、今回もヒューマンアール代表取締役・丸山直幸氏にお話を伺いました。

(文責:田原未沙記)


外国人材の集客ルートを徐々に確立

ヒューマンアールでは、以下2つを軸に外国人材の派遣・紹介事業を展開しています。

「技人国」人材の派遣(既存事業)
「特定技能」人材の紹介(新規事業)

前回の記事でもお伝えしたように、①「技人国」人材については、2024年4月から新たに3名の新規派遣が決まりました。うち2名は無事に就業をスタートし、もう1名はビザ取得待ちの状況です。

そして、プロジェクトの新規事業である②「特定技能」人材の紹介も、飲食分野(長野県のカフェ)で2名の就業が決定しています。さらに2名分の枠も確定しており、現在は面談待ちの段階とのこと。

このように、今後もおよそ月1人のペースで、着実に派遣・紹介人数を伸ばせそうな手応えを感じているようです。

ヒューマンアールでは、色々な試行錯誤を経て、次のような人材集客ルートを開拓してきました。

  • Indeedへの求人掲載(常時10~20件+優先度の高い案件は広告運用)

  • Facebookへの求人掲載(広告運用+外国人材掲示板の活用)

  • 提携する専門学校からの紹介

  • 送出機関からの紹介

現在では、主にIndeedとFacebookの2媒体が基盤になっているといいます。

過去に掲載したFacebook広告の例

丸山「ただ、Facebookの広告運用では、反響自体はあるものの、期待する人材にはなかなか出会えませんでした。日本語だけでなく英語やミャンマー語版も試しましたが、そもそも求人内容を一切見ていない応募者も多くて。

そして意外に多いのが、こちらからの連絡が取りにくいケースです。携帯番号もなく、LINEも使えず、メールもほぼ返信がないという……。Facebook Messengerの通話機能などで対応していますが、応募後の連絡手段(動線)はこれからも考えなくてはいけません」

応募者のレベルやコミュニケーションには“やや難あり”というFacebook。しかし実は、別の形で大きな成果につながりました。

丸山「Facebookへの求人掲載を通じて、外国人材の送出機関から複数の問い合わせがありました。そして、新たにミャンマーの送出機関との提携が決まったんです」

※送出(おくりだし)機関=日本で働きたい外国人材を現地で募集し、日本へ送り出す(送客する)団体や企業のこと

ヒューマンアールは送出機関とのコネクションが弱く、実は0からのスタートでした。送出機関には良し悪しがあるため、信頼できる相手か慎重に見極める必要もあります。

丸山「M&Aで事業を譲り受けて以降、これまでネパール、ミャンマーとつながってきて、新たにインドネシアの送出機関とも提携できる見込みです。海外人材を確保したい主要な国は、ほぼカバーできたのではと考えています」

事業の要となる人材の集客。送出機関との連携は充実してきたものの、基本的に特定技能人材の紹介となるため、今後は技人国人材の集客にもスピード感が求められるでしょう。

2024年以降も外国人材市場に商機あり

政府は、2024年度からの5年間で「特定技能」の外国人受け入れ枠を82万人に拡大する方針を打ち出しました。この人数は以前の2倍超にあたり、さらに新たに4分野(自動車運送業、鉄道など)を追加すると決定しています。

また、厚生労働省の発表によると、2023年10月末時点で外国人労働者数は初めて200万人を超えました。

引用:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和5年10 月末時点)|厚生労働省 P4上段

このように外国人材市場は基本的に右肩上がりで伸びており、国内の人手不足を背景に、外国人材の労働力に期待が寄せられています。こうした市場の動向は、当然ヒューマンアールにとっては追い風となるでしょう。

丸山「我々の商機は大いにあると感じており、今年は特にアクセルを踏み込んでいくつもりです。ここで事業を伸ばせなければ、ヒューマンアールは存続しないといっても過言ではありません。そうした覚悟のもと、着実に前へ進んでいきます」

しかし、外国人材の数は確かに増加傾向にあるものの、実は大きな課題も潜んでいます。それは、特定技能の業界間で「人材獲得競争」が起こっていることです。

引用:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和5年10 月末時点)

丸山「特定技能の対象は、新規追加も含めて計16分野。宿泊、外食、介護など、それぞれ協会も団体も異なるため、限られた外国人材を取り合っているような状況です。つまり、業界間でライバル関係にあるんですね。

その中でも、特に宿泊分野は遅れています。試験方法が整備されたのも最近ですし、受け入れ側の報酬単価も伸び悩んでいるのが業界全体の課題です」

外国人材が日本で働きたいと考えた際、まずは「業界を選ぶ」ことから始まります。

  • どうせなら報酬の高い業界を選びたい

  • 同じ勉強をするなら、試験の機会が多い介護分野がよさそう

当然このような選び方になるため、人材を呼び込むためには、待遇改善や試験制度の拡充など、業界を挙げた取り組みが欠かせないのです。

丸山「宿泊分野はまだ圧倒的に外国人材が少ないのですが、ニーズは間違いなく存在するため、引き続き注力していきます。一方、外食分野ではすでに多くの外国人材が働いていますが、受け入れ枠も大幅に拡大されたので、こちらも強化していくつもりです。

ただし、必ずしも宿泊・外食分野に限定するわけではありません。我々の軸はあくまで『おもてなし人材』。例えば、介護や航空の分野などにも積極的に目を向け、事業の可能性を広げていきます」

「おもてなし人材」の教育で付加価値を高めたい

外国人材の集客が着実に進み、市場の観点からも事業機会を十分に見込める状況。継人プロジェクトおよびヒューマンアールは、今後どのように取り組んでいくのでしょうか。

丸山「人材の集客については、求人掲載のタイミングが非常に重要だと再認識しました。というのも、特定技能『宿泊』試験の合格発表日にFacebook広告を出したところ、大幅に反響が増えたんです。これからはより戦略的にタイミングを見極めて出稿していきます」

人材業界では、時期によって人の動きに一定の傾向が見られます。

  • 2~3月:新年度に向けて、人の動きが活発になる

  • 4月:新卒社員が入社し、人の動きが少なくなる

  • 5月:五月病やミスマッチなどで辞める人が増える

  • 6月:転職へ動く人が増え、需要と供給が生まれる

外国人材の集客も、求人を獲得するための営業も、こうした時期的な変動を考慮して動いていく必要があるのです。

丸山「クライアントへの営業活動も、現在は架電の量を絞り、人が動く5月以降に備えて準備をしています。継人メンバーの力を借りながら営業トークを継続的に改善し、0.1%程度だったアポイント獲得率が、今では1%前後を維持できるようになりました。

また、今後はさらに『教育』の側面に注力し、付加価値を高めていきたいと考えています。おもてなし人材を提供する企業として、人の育成に重点を置き、弊社ならではの強みを磨いていきたいところです」

実際に、今年4月から就業が決まった1名は、継人メンバーが開催した「携帯業界の勉強会」にて育成したことが、採用決定の後押しとなりました。

特定技能人材の場合、ビザの申請や手続きなどに時間を要するため、内定から入国まで約半年の待機期間が発生します。この期間を有効活用できれば、以下のような取り組みを通じて、スムーズな就業につなげられるでしょう。

  • 「おもてなし」教育の提供

  • 実務的な業界知識の習得

  • 就業予定先の事前情報の共有(飲食店ならメニュー内容など)

そして2024年4月からは、ヒューマンアールに新たな社員が加わることになりました。外国人材業界での豊富な知見があり、即戦力として活躍が期待できる新メンバーです。

丸山「継人プロジェクトにどう関わってもらうかは未定ですが、経験と知識を活かし、新たなタスクを立ち上げることも検討しています。今のメンバーと協力しつつ、存分に力を発揮してもらいたいですね」

本プロジェクトの目標「1年後に売上1.5倍」の達成期限は2024年9月。ゴールが少しずつ近付く中、次回は再び副業メンバーのリアルな声に焦点を当ててお届けします。

なお、このプロジェクトはTRANBI副業部(無料オンラインコミュニティ)から生まれた有志メンバーを中心に進められています。ご興味のある方は、ぜひ以下よりご参加ください!


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