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ディスニーキャストだった日々

「ディズニーキャストざわざわ日記」読了。

元キャストだった自分としては気になって読んでしまった。夢の国も例外なく仕事は大変だよ、というライトな暴露本。時給とか生々しく書いてあり、カストーディアルキャストならではの舞台裏苦労話は皆さんの関心をひくのでは?と思う。この本はどんな人が読むのか興味を持ってしまった。

私がディスニーキャストだったのは学生時代。志望動機はカヌーのお兄さんがカッコよかったので憧れてバイトに応募したという軽い理由。面接で何故かシンデレラ城ミステリーツアーのガイド役をやらないか、と何回も聞かれて、ひたすらカヌーに近いホーンデットマンションの希望を熱く伝えた。結果、イッツアスモールワールドへ配属通知。世の中、思い通りにならない事を知った。

そしてOJTでいきなりファンタジーランドのロープウェイに転配属。どこそこ?そんなアトラクション知らないんですけど…。何で急に変えるのか抗議したがオリエンタルランドの教育担当は完全スルー。多分オリエンテーションで確か私の前の人がそこの配属だったはずなので辞めるとか騒がれたのだろうと推測。世の中言ったもん勝ちなんだなとこの時に社会のルールを学んだ。

このロープウェイ、普段はまったくゲストがこないのだが一気に混む瞬間がある。それは花火を特等席で見れる時間帯だった。そして乗るのは決まってカップル。確かに花火が上がるのを空中で見るのはロマンティックだ。なので花火ジャストに空中遊泳出来る時間帯を予測出来ないとカップルに迷惑がかかるし、誘導で通常より時間がかかった場合のぴりぴり感は半端ない。

ある時、このタイミングくらいでお相撲さんのWカップルがきた。ゴンドラは重さ制限があり、どう考えても2台に分かれないと乗れない状況で「全員一緒に乘りたい」とリクエスト。これ、どうやって説明しよう…と思って近くにいた社員に目線を送ったら「ヨ・ロ・シ・ク!!」とにっこり笑って逃げられてしまった…。SVめ、恨むぞ!!

またある時はパスポートを見せてください、とスピールしたら本物のパスポートが出てきた。英語が通じなくて受付で困っていると、後ろから鬼怖いS先輩から「ピャオといえ!!」と助け船が。先輩は大学の二外が中国語だったのでその後の会話をフォローしてくれた。その先輩には怖い印象しかなかったので人は様々な側面がある事を知る事が出来た。

極めつけはマイケルジャクソン。朝礼でお忍びでマイケルが来ると告知があった。どうせ人気アトラクションしかまわらないから関係ないやと思っていたら予想が甘かった!営業時間中にあのスターオーラ満開のマイケルジャクソンがお忍びでパークを歩くとどうなるか、目の当たりにしたのである。いつものようにロープウェイ入口で「人こないなー」とぽけっと立っていたら隣のイッツアスモールワールド出口から突然群衆が現れた!!予想もしていなかったのでキャストのくせに群衆の圧力に負けて押されて渦に巻き込まれてしまったのである。早くポジションに戻らねば…。と必死に抵抗して、ふと空間があったので逃げた所、それがマイケルジャクソンの前に出た。もう赤っ恥。真っ白いお人形のようなマイケルが奇妙なものを見るように通り過ぎていった。さながら花魁道中といったところか。その後、マイケルはまったくお忍びにならず一時期ディスパッチ(従業員入口)に避難。閉園後にマイケル貸し切ると言い出し社員が残業してマイケル対応することに。その時の悲壮感漂う社員の顔が未だに忘れられない…。

とまだまだネタはあるキャスト体験。本日はこのくらいで…。


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