見出し画像

日々ひとひら 010

画像1

子どもがまだ小さかった頃、よく自転車で近所を散歩した。自転車で散歩と言ってもこちらは歩き。子どもの小さな自転車の後ろをひたすら着いて行くのだ。大きなイヌのいるお家、キレイな花が咲くお家など、自慢げに案内してくれた。
ある時、河川敷の道なき道で突然目の前に草むらが立ちはだかった。とても自転車で進めそうに無い草の壁だ。小さな道案内にこの先どうするのか、と尋ねると、平然とここからは歩きだと言うではないか。なるほど、歩きなら進めるかも知れない。結局、自転車を捨てた道案内の後ろを、自転車を担いでついて行く事に。
冒険を終えて家に辿り着く頃には2人ともクタクタ。爽やかな風が窓から流れ込む昼下がりの居間で爆睡したのは、いい思い出だ。
余りに昔の話で季節が想い出せないが、花や風の感じは、今頃の季節だったじゃないだろうか。
街路樹のハナミズキを見てそんな事をふと思い出した。
大阪,2020