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新規事業創出の極意⑩新規事業担当者としての悩み

今までに、民間企業、大学、NPOの立場で新規事業創出にそれぞれ携わってきました。個別の具体例は色々と問題になってしまいますが、折角の経験なので考え方などをまとめて欲しいと知人に勧められました。もちろん、公開可能な範囲の内容だけです。

前回は「コミュニティ活動を通じたスキルアップ」について記事化しました。

今回は10回の連載の最終回です。そこで、細かい内容よりもこれまでに私が経験してきた苦悩を共有したいと思います。ビジネススキルが勉強できる記事は多いですが、実体験の中の課題や失敗談などが共有出来ていないと多くのチャレンジが無駄になってしまいます。

同じような立場で日々悩んでいる仲間が一定数いますので、この記事が少しでも参考になれば幸いです。いつくかの項目ごとに書いていますので、全体としてのつながりはあまりないことはご了承ください。

新規事業を担当する上でいつも心掛けていること

私のキャリアの中で新規事業を考えるように言われることは結構多かった。もちろん、そういった仕事は好きだし、自分なりに成果を出してこれたと思っています。世の中の動向を調べながら、自社の強みを発揮できるビジネスモデルを構築するのは面白い仕事です。

他の仕事でもそうですが、最初担当するときはやる気に溢れていますが、私の経験の中では必ず途中で迷走します。そういった状態になったときにフレキシブルに動けるように、自分の全開のスピードの80%程度で動くようにしています。

以前は100%の力で考えていましたが、調べている分野にしか考えがいかなくて、「他の分野の技術とかけ合わせ」や「異分野展開」がうまく考えられなくなりました。また、一度調べていたことから違うネタを考える段階で、白紙の状態から調べないといけなくなり、非常に時間と手間がかかります。

そのため、メインで検討しているネタ以外の部分は、他の担当者の話を聞いたり、過去の事例を調べたり、社外の取り組みを調査したりと関係がない訳ではないというレベルの内容を考えるようにしています。こういった行動は次に幅広い展開を考える上で非常に重要となってきます。

新規事業アイデアを検討する段階では、どうしても締め切りが曖昧なケースが多いです。そうなると、漠然としたスケジュールを自分で作っても中だるみしてしまいます。そんなときは、すっぱりと上記のような項目を調べるようにしています。そういった中から何か活かせることはないかとも思いつつ、気分転換をします。

一見無駄に見えるこういった行為が、色々と経験をしていく中で新規事業を考える上で実は大事だと感じられるようになりました。

ついつい自分中心で考えてしまう

結局、理系の研究の世界で長いこと生きてきたので、技術に関する知識や興味は人一倍強いです。また、論文などを読んで最新の技術動向もついつい調べてしまいます。

そうなると、その中で興味を持った技術を何とか活かそうとしてしまうのです。ただ、「技術的な興味があること」は一般的には「市場へ製品を投入できること」に相当しません。

でも、結局はこういった技術ネタを何とか工夫して提案してしまうんですよね。実際問題としてはこういった提案が受け入れられたケースは少ないのです。それで失敗してきたケースもいくつかあります・・・

今になって思うのは、こういった技術のネタは自分のネタリストの中に忍ばせておくようにしています。いつかは使うときもありますが、そのままお蔵入りしてしまうものも非常に多いです。でも、それは自分自身の知的好奇心を満足させるのに役立っていますし、理系の研究者としてはそれだけである程度満足してしまうのです。

ただ、新規事業提案委つながらなくても、技術に対する熱い想いは持ち続けていきたいと思っています。たまには趣味の世界に少し足を突っ込んでいきたいです。いつかはそういったネタも報われるときも来ると信じています。

どうしても上司に理解してもらえない

何度練り直した新規事業ネタを提案しても却下されることは多いです。もちろん、承認者も好みもありますし、自社でやらない方が良いネタもあります。何が正解かは正直分かりませんし、そこで却下されても新事業計画として正しい場合もあります。

過去の歴史を見ていると、社内で却下されたネタを潰さないために、自分たちで会社を設立したケースは枚挙に暇がありません。本当にやりたいことであれば、会社を飛び出すのも手ですが、正直あまりお勧めはできません・・・

次の手段としては、社内で自分のネタを活用するように試みます。
場合にもよりますが、社内にはそういったネタに興味を持ってくれる人は少なからずいます。そういった人にネタを覚えておいてもらって、何かの機会に敗者復活ができるようにしておきます。

そうした方が精神衛生上良いですし、たまにそういったネタが取り上げられることもあります。最後は個人の価値観で決めることもありますし、提案時期も大事だったりします。

全てではないですが、自分の想いが強いネタは最後まであきらめないようにしています。諦めたら何も始まりませんが、行動しておけばうまくいくこともあると信じています。

仲間の想いを聞けていなかった

若いころは同じチームのメンバーとは実務の話は結構していましたが、各自の想いまでを考える余裕がなかったです。やっぱり、新規事業を進めるにあたっては、事業計画をまとめるスキルだけでなく、メンバーの想いを共有することが大事だということに気が付きませんでした。

その後のプロジェクトがうまくいかなかった訳ですが、多くのメンバーの想いがあった方がうまくいくとは思います。結局は、自分の想いが強い方が積極的に仕事を進めますし、そういった方向を揃えていくとチームとして飛躍的な成長につながると後で思いました。

最近はちょっとでも時間を見つけて、個人の想いを聞くようにしています。ちょっとした休憩時間や昼食後の5分程度でも十分です。お互いに考えを共有しておかないと、違い方向に走ってしまうこともありましたので・・・

多くの企業と連携したコンソーシアムでの迷走

何年も前の話になりますが、複数の企業が集まってコンソーシアムを作って事業化を目指した活動をしていました。色々な経緯から、それなりの中心的なポジションで活動させて頂きましました。

でも、途中でうまくいかなくなったんです。
結局はメンバーが自分たちに都合の良い方向に全体を持っていこうとして、全体として機能しなくなったのが原因だと思っています。最近はオープンイノベーションの活用ということで理解が進んでいますが、やっぱり利害関係がある人たちでうまくやっていくのはなかなか困難です。

一番の課題は、それぞれの企業でカルチャーも違いますし、自社の利益を最優先で考えてしまったという点です。もちろん、定期的に議論はしていましたが、本当の想いを共有化できていなかったというのが最大の反省です。

最近は2~3社の共同体制はありですが、それ以上のケースは近づかないようにしています。勉強会のような枠組みは良いですが、実体験からそれ以上だと、変な政治的な動きなどで全体の活動が妨げられると思っています。

やはりある程度の数でお互いの顔が見えて、自分としては想いを共有化できる枠組みで進めたいと思っています。

全10回に渡って新事業開発を行うときに参考になる記事をまとめてきました。長い間付き合っていただきましてありがとうございました。

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