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【再帰的近代化と危機管理の試練】

 永遠に続くかもしれない再帰的近代化の過程は、人間個人を強くもして賢くもするが、同時にそれに能力的に倫理的に耐えられない国や組織や個人を遠慮なくふるいにかけて潰す厳しいシステムでもある。その破綻に耐えられない社会や個人はそれと共存して乗り越える手段として権威主義体制を選択するだろう。‬  ウルリッヒ・ベックはこの終わりなき再帰的近代化を補完する機能が「危機管理」というシステムだと35年前に指摘した。近代化の後期においてこの危機管理が社会のシステムとなりブームになることは予定調和で予言された現象であり、この危機管理システム自体がメタレベルで次の再帰的近代化の過程をもたらす。その試練は、新型コロナで東京五輪で気候変動で私たちの目の前に顕在化している。  技術主義、資本主義、民主主義によって拡大してきた近代化の過程と、その再帰性、再帰的近代化に、世界は、日本は耐えられなくなりつつある。人道主義、自由・人権、コンプライアンスに基づいた公共性の論理でその再帰的近代化はハンドリングできるのか、このシステムにブレーキをかけ破壊するのか、新しい理念と哲学、指針が必要だ。それをこれからもずっと考え続けます。

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