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増える福島市中心部の駐車場

地方都市にはどんどん駐車場が増えてきています。
もちろん福島市でもそうで,車社会なので顕著に表れているなと感じます。

が,持続可能なまちを形成していくためには,それじゃあダメなんじゃないかなと思います。

地方都市の駐車場問題

採算性の低さから,地方都市では駐車場がどんどん増えており,福島市中心市街地でも駐車場の増加が止まりません。

日経新聞によると,昨年5月末の時点で福島市中心部の約3割も駐車場になってしまっているそうです。
中心部空洞化の象徴とも書かれています。


中心市街地という範囲で見れば駐車場の割合は20%なので,稼働率を見ても過剰供給とは言えないかもしれませんが,中心部と言えるエリアに30%はさすがにマズそう。


「車社会の福島だからしょうがない」では済まされなくなってきました。

再開発中のビルの道路を挟んで向かい側,人が多く通る場所の目立つところがまたひとつ駐車場になってしまいました(おそらく再開発中の仮用途)。

「ビルが壊されてるなー」,「この建物も無くなったんだー」と思った数日後,数週間後にはもう駐車場になっています。

新しくできるものは基本ワクワクして待ちたいし,使いたいですよね。
駐車場が増えるだけとは,こんなに寂しくて残念なことはありません。

駐車場のメリット

もちろん駐車場の存在自体を否定しているわけではありません。
メリットもあります。

  • 初期費用が安い

  • 小さな土地でも始められる

  • 経営者の管理が楽

  • 収入が安定する

  • リスクが小さい

  • 利用転換が楽

こんなところでしょうか?

実際使っている人は多いですし,平日の昼間やイベント時は満車の駐車場ばかりです。
もちろん私も裏の方の駐車場はありがたく使っています。

少子高齢化による人口減少,労働人口の減少,物価の上昇による建築費用,維持費用の増大など色々な観点から見てメリットは多いと思います。

駐車場のデメリット

対してデメリットはどうでしょうか?

あくまでまち歩きをよくする僕の目線ですが,駐車場があることで,街並みが分断されてしまうのが大きなデメリットだと感じています。
人通りの多いところでは特に。

あまり意識はしていなくても,
「この先はもう何もなさそうだな」
と,感じる道のほとんどは分かりやすい駐車場がありませんか?

例えば,ふらっと通っただけですが,下の写真のような感じ。
歴史のありそうな独特の雰囲気の通りが駐車場によって一時分断されています。

街並みの分断

言い換えると,ひとつの駐車場が”まちの魅力を下げている”。
そして”魅力がないから投資されない”。

この負の連鎖です。
たった駐車場ひとつが,もしかしたら,その周囲の店舗やエリア全体の価値を下げているかもしれません。

駐車場を眺めて歩きたいと思う人なんていない。

しかも,Instagramのように写真でわかる,いわゆる「映え」が結構重要な今の世の中。
たくさん“イイね”が欲しい写真に駐車場なんて入れるわけありません。

都会と違って

都会と違って,やはり一度市街地に出てくるためのエネルギー量が多くなってしまっているのが地方都市の現状だと思います。

福島市では特にそうです(幹線道路沿いに商業が発達している車社会だし,電車やバスなど公共交通の本数が少ないから)。

だからこそ,やはりまちの中心部では「一度市街地に出てきた時の印象」や「一度来た時に沢山気づいてもらえるようなコンパクトなまちづくり」も重要になるんじゃないでしょうか。

駐車場が街並みを分断してしまい,まちの魅力を下げてしまっていることは,「まちの印象」に大きく影響しているわけです。

安定を求めないために

土地の経営上,リスクが小さく, 安定させることができる駐車場への活用ですが,どこかでそれ以外の活用をしなければエリアやまち全体としての持続可能性には繋がりません。

他の活用方法を探れるでしょうか?

「わらじ祭り」や「ビアフェス」などであんなに,
“福島にはこんなに人がいたのか”,
というくらい賑わっていたんです。

賑わいが生まれるポテンシャルはイベントを通じて証明されてきました。

しかも,“歩いて生まれる賑わい”が。

チャレンジできる環境はあるはずなんです。

まちの賑わいはどこから?

少し話は変わります。賑わいには色んな種類がありますが,その中の一つに歩いて生まれるような賑わいもあります。

今まで足を運んで沢山のまちを見てきましたが,まちの賑わいが生まれるのって,「歩けて滞留できる場所がある」こと,「住民や民間の活動が活発に起こるような場がある」ことの大きく2つの影響が大きいと感じています。

自動車を排除した中心部のプロムナード(Colorado州Boulder)
色んな年代の人が思い思いにくつろぎ,優雅な日常を送る

駐車場に注目すると,かつてのように人口が増加している環境のまちでは,駐車場は”人の賑わいを支える存在”でした。

人口減少の今の時代ではどうでしょう?

増えすぎた駐車場が,逆に,“賑わいの場を盗んでしまっている”のではないでしょうか。

どう有効活用できる?

有効活用するためには,駐車場を一気に建物に変えるとかではなくて,実験的に,”こう使えるよ”と使用用途を変更することで何が起きるかを,地権者の人たちに向けてアピールしていくことが必要だと思います。

人が使っている風景も込みのビジョンで見せたいですね。

まちなか広場的な使い方を同じように駐車場を使ってやってみたいですね。

ただ,福島市の駐車場は立体駐車場ではなく, いわゆる青空駐車場ばかりであることがまだ救いで。
有効活用できる可能性は大いにあると思っています。

皆さんの歩きたくなる場所,歩く気が削がれる場所を教えてもらえると嬉しいです!

ではまた!

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