見出し画像

岩手県民の郷土愛 嗜好性から探る

第3回全国ヨーグルトサミットを通じて、改めて思ったこと。
岩手県は郷土愛が強いのではないか?
そう確信したのは、第3回全国ヨーグルトサミットinいわてに携わったからである。

とっかかりは、ヨーグルトの消費額。
2016年から2020年までヨーグルト消費額1位の岩手県(盛岡市)。

この数字の全てではないが、地域に根付いた中小乳業メーカーが多く点在し、地元メーカーを県民が応援していることは、確実に影響していると思う。
そのメーカーのほとんどが、余計な添加物は入れず、原料や殺菌時間、パッケージなどで特色を出す。

なぜか?

各乳業メーカーは地域にプライドを持っている。
「地元酪農家さんが丹精込めて搾った生乳を1滴たりとも無駄にしない。生乳本来の味わいを最大限活かした製品づくりをする」。

part.10でも紹介したが、岩手の乳製品コーナーは圧巻。

物産館だけではない。
スーパーを見ても、岩手の乳製品コーナーは県外に比べ、県内中小乳業メーカーのヨーグルトの取り扱いが多い。
岩手こそ、シビックプライドそのものだ。

よく考えれば、牛乳も然り。
一般スーパーでよく売られている牛乳の95%以上はUHT牛乳。120℃から130℃で一気に殺菌をする。
しかしながら、中小乳業メーカーの製造する牛乳は、風味や生乳本来の味わいを損なわないよう、低い殺菌温度で処理する。
part.1を振り返ってほしい。

他にも理由はある。
2022年1月の本番を迎えるまで奔走した約2年。
岩手県内をとにかく周った。

ふと思った。
岩手のメシ美味くね?
無論、県外のメシが不味いと言っているわけではない。

コロナ前、4年近く営業をしていたのだが、1/3は岩手県外にいた。
県外に1人で出張に行った際に立ち寄る場所が、地元のスナックだ。
これは岩手でも変わらない。
最初は入るのに躊躇するが、入ってしまえば都。
スナックは、安さも魅力だが地元民が足繁く通う🦵。
つまり、地域の情報を得るなら最高の場所だ。

おススメのお店を紹介されていくのだが、確かに美味しい。
しかしながら、振り返ると、岩手はそれに引けを取らない。

サミット事業の間、岩手県33全市町村のうち、28市町村を訪問。
part.7を見てほしい。

この2年で、プライベートも含めると、少なくとも全市町村を2回は行っている。
だからこそ疑問符を抱いた。



岩手もったいない!

こう思ったことには、他にも理由がある。
岩手県民の宣伝力の弱さだ。
これはある意味、奥ゆかしさとも言えるかもしれない。

全国的な展示会。
これまで何十回と出展経験をしたが、ずっと思っていたこと。
「岩手県民の受け身の姿勢」。
言わば、がっつきがない。
県外のブースを回ると、ガンガン試食が出てきたり、声をかけられる。
岩手県民のブースに戻る。



静かだ。。。
声をかけて試食させてもらうと、美味い😋
なぜこんなに美味しいかを聞くと、こだわりやストーリーが沢山出てくる。
なんだ、このボクシングのスウェーのような。。。






良いのだが、もったいない!

展示会とはアピールの場。
多くの方に知ってもらうことが最優先である。
原料が限られ、出せる数が決まっているのなら、会期後に整理すれば良い。
折角良いものを売っているのだから引け目に感じる必要は全くない。

少し掘り下げてみた。
岩手県ってヨーグルトのほかにどういったものを好み、逆にどういったものを好まないのだろう?
総務省統計局の家計調査より、消費額ベスト5をピックアップしてみた。
※明確化した食品群のみ抽出

ベスト5
□第5位
米、ねぎ、かつお節・削り節、生鮮肉、合いびき肉
□第4位
スポーツドリンク、こんぶ、だいこん漬、塩干魚介、塩さけ、葉茎菜、みそ
□第3位
りんご、ぶどう、こんにゃく、ほたて貝、麺類、カップ麺、ビール、キャベツ、だいこん、ごぼう、牛ぶどう、こんにゃく、ほたて貝、麺類、カップ麺、ビール、キャベツ、だいこん、ごぼう、牛肉
□第2位
果実・野菜ジュース、わかめ、こんぶ、納豆、調味料、つゆ・たれ
□第1位
ヨーグルト、ゼリー、大豆加工品、豆腐、さんま、中華麺、チューハイ・カクテル、ほうれんそう、ブロッコリー、乾燥スープ

興味本位で第1位の生産・製造している地元メーカーを調べてみた。

・ヨーグルト(順不同)

生乳生産量は都道府県別第4位の岩手県。1位は北海道。

小岩井乳業

岩泉ホールディングス

湯田牛乳公社

岩手牛乳

奥中山高原農協乳業

JAグリーンサービス花巻 ハヤチネフーズ

おおのミルク工房

なかほら牧場

しあわせ乳業

松ぼっくり

田野畑村産業開発公社

くずまき高原牧場

大石乳業

安比高原牧場

三谷牧場

雫石チーズ工房

多田克彦自然農場

・ゼリー(順不同)

※主原料がゼラチン・寒天とは限らないため割愛。

回進堂

竹屋製菓

岩手缶詰

さいとう製菓

須藤食品

松栄堂

アキヤマ

・大豆加工品・豆腐(大豆加工品:油揚げ・湯葉など。順不同)

大豆生産量は第9位。1位は北海道。

平安商店

アジテック・ファインフーズ

大内商店

https://seesaaw/%C2%E7%C6%E2%BE%A6%C5%B9%A1%CA%B2%D6%B4%AC%A1%CB

フクオカ食品

鈴清食品

・さんま

漁獲量第2位。1位は北海道

・中華麺(順不同)

小麦生産量は第15位。1位は北海道。

戸田久

兼平製麺所

岩手熊さん

黄金製麺所

中野製麺

小野寺製麺

https://www.pref.iwate.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/016/960/onoderaseimen.pdf

阿部製麺

北館製麺

小山製麺

過去にニュースでも取り上げられたが、岩手3大麺(冷麺・じゃじゃ麺・わんこそば)のほかに、ざる中華を食べる習慣が岩手県にはあることも大きな要因のようだ。

・チューハイ・カクテル(該当なし)

・ほうれんそう(生産量第19位)

・ブロッコリー(生産量第27位)

この2つの野菜については、調べてみたが要因が分からなかった。。。
誰かわかる方がいれば是非教えてほしい。

・乾燥スープ(順不同)

ミナミ食品

住田食品加工センター

因みに、ワースト5がこう。
ワースト5
□第5位
あじ、さば、えび
□第4位
卵、かに
□第3位
まんじゅう、揚げかまぼこ
□第2位
カステラ、鯛
□第1位
該当なし

調べてみて分かったが、とにかくワーストが少ない。

ちなみに、外食消費についても調べてみた。
※全52市町村(政令指定都市および県庁所在地より)
日本そば・うどん 36位
中華そば 10位
他の麺類外食 28位
すし 37位
和食 52位(最下位)
中華職 51位(ワースト2位)
洋食 47位
洋食部門 47位
焼肉 39位



ほとんどが下から数えたほうが早い。
そう、岩手県民は外食をする機会が、他の都道府県に少ない。
家で食事をする習慣があるためだ。
コロナ感染者が少ない理由はこういった背景にあるだろう。
ビールやチューハイが上位な理由もこれで合点がいく。

乳業メーカーに勤めていたため、改めて他の食品業を見てみると、地域に根差し、地域の原料を活用した地元メーカーが本当に多い。

地域の資源や気候や風土といった環境を活かした「クラフトサミット」。

本格的に考えてみるか。

FIN.


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?