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小さな本の話をしよう/第55回Book Fair読書会

積読を繰り返し、僕らは何処へ行くのだろう?

7月(54回)のBook Fair読書会は、8人で『BOOK MARKET2023』を巡る特別編でした!
炎天下の浅草、いや~暑かった・・・けど楽しかったですね!

初のお出かけ企画に参加してくださった、
ミーさん(初)、たなかさん(初)、KENさん(10)、ひなこさん(5)、かえちゃんさん(11)、えみさん(8)、
本当にありがとうございました!!

そして迎えた8月、「本の帯を書く読書会」復活です!

今回も出席者は8名。
絵本から心理学、書店員エッセイまで、幅広い分野の”じっくり読みたい本”が揃いました。

ジャンルは違えど、前の人の言葉を引き継ぎながら紹介する「駅伝スタイル」で、つながりを感じる時間でした。

それでは、今回の本と帯を紹介します!
(名前横の数字は、参加してくださった通算回数)

やすあきさん(4):百田尚樹『野良犬の値段』幻冬舎文庫

やすあきさん「ハラハラドキドキのミステリーでした」

【メモ】
・上巻を読んだら、下巻が読みたくて読みたくて仕方なくなった!

・ホームレス誘拐事件発生、身代金を要求されたのは大手メディア。その「選考理由」が重要?

・映像が思い浮かぶほど、テンポよく進む文章。

・マスメディアの裏事情も描かれる。放送作家でもある作者ならでは?

※ふっかーが、「秦建日子さん原作のドラマで、1人1円の募金型身代金事件があった」と発言しましたが、正しくは「1人10円」でした。
(2006年、フジテレビ『アンフェア』)

KENさん(11):播田 安弘『日本史サイエンス 1 蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和の謎に迫る』ブルーバックス

スポーツ報道でよく聞く「天王山」。その語源とは。

【メモ】
・歴史の「なぜ?」に理系視点で迫る。

・羽柴秀吉の「中国大返し」。長距離移動後の戦で、なぜ勝てたのか?
詳細が不明ゆえ、時代劇でも端折られがちな出来事を検証する。

・戦の勝因(敗因)は結果論で語られてしまうが、「兵のコンディション」「イメージ戦略」が重要。

・千利休は錬金術師だった!?

ニャンちゅうさん(16):垣谷美雨『リセット』双葉文庫

ニャンちゅうさん、3年半ぶりの参加!!

【メモ】
・カフェの地下にある部屋から、高校時代に(内面そのままで)タイムスリップした40代女性3人。

・それぞれの願いを叶えるため、三者三様に人生をやり直す。15年後、リセットボタンを前にした彼女たちの決断は?

このままテクノロジーが進歩し続けたら、本当に過去へ戻る技術ができそう。
今日の読書会にも、実は未来から参加している人がいたりして・・・

・知識や経験が大人のまま若返ったら有利、と思いがち。でも(女性の場合は特に)選択肢が多すぎて、逆に大変かも。

たなかさん(2):田辺聖子『おちくぼ姫』角川文庫

本屋大賞2023「超発掘本」受賞!!

【メモ】
・作者不明の古典文学『落窪物語』。
その面白さが凝縮され、易しく・楽しく・テンポよく読める作品。

・現代の少女漫画などにも通じるシンデレラストーリー。
主人公だけでなく、周囲の人物の活躍も魅力的に描かれる。

・王子様が、原作の当時には珍しく「一途」な性格で、そこも読者の共感を得たのでは?

・本屋大賞に寄せた、書店員さんの推薦コメントも面白い!
こちらもぜひ読んでみてください。(byふっかー)

ユキさん(2):山根久美子『自分を再生させるためのユング心理学入門』日本実業出版社

「分析心理学」を知る。

【メモ】
・分析心理学=心の分析は「解剖」に似ている。
それは、臓器のように触れられない心を、要素・性質・構成に分けて理解しようとするたくらみである。

心理学は、自分と向き合い、無意識という「非日常」の世界を旅するようなもの。そこには、自分だけの物語がある。

・山根さん曰く「個性とは、限りなく傷に近いもの」。それが自分だけでなく、他人にもあると気付いた時、人はもっと寛容になれるのではないか。

・無意識という、もうひとりの自分と対話し続けること。それは、答えの出ない状況に耐える力=ネガティブ・ケイパビリティにも通じる。

・本の紹介後→占いと心理学の関係をみんなで語る!!

カラシニコフさん(2):平野啓一郎『本心』文藝春秋

愛と心と分人主義。

【メモ】
・主人公が、亡くなった母をAI技術で再現(VF〈ヴァーチャル・フィギュア〉化)するところから始まる小説。
今日も既にAIの話題が出てきて、ドキッとしました。

・リアルアバターという、VR版ウーバーイーツのような仕事も登場。SFチックな作品としても読める。

・仮想空間で殺人事件が起き、知らぬ間に犯人に仕立て上げられる。その一方で、ちょっとした正義感が意外なお金(収入)や交流につながるなど、凄い物語だなと。

・VFが本当に実現したら、いい時代と言えるかどうか・・・これは半々ですね。心の拠り所があるのは良いけれど、依存してしまうかもしれない。

こーせーさん(46):作・益田ミリ 絵・平澤一平『はやくはやくっていわないで』ミシマ社

こーせーさん「本棚の、割といい所に面陳しています(笑)」

【メモ】
・先月の『BOOK MARKET2023』で購入し、家族で読んでいる本。食卓の側に置いてあります。

・「はやくはやくっていわないで」は、「くらべないで」であり、「おさないで」や「ひっぱらないで」でもある。
色んな気持ちが、言葉や色遣いで表現されている。

・時間の感覚や認知は、「子どもと大人」だけでなく、大人同士でも違う。

人に急いでほしい(周りに変わってほしい)と言う前に、自分にもできることがある。そう気付かせてくれる絵本です。

ふっかー(55):新井見枝香『本屋の新井』講談社文庫

「アブラヤサイマシマシ」

【メモ】
・本が大好き、でもそれだけじゃ本は売れない。
カリスマ書店員の冷静と情熱、そしてユーモアを感じるエッセイ集。

・売り場で「伊坂幸太郎みたいな面白い小説」を聞かれ、
「ペットボトル版伊坂幸太郎を売るなんて、つまんないだろ」と内心思ったというエピソードが好き。
伊坂ファンとしては、なんだかジェネリックみたいだなと・・・。

・渾身の読書感想ツイートが、晩飯のラーメン写真に「いいね」数で負ける悲しみ。
帯には、そんな筆者への共感を込めました。

参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました!!

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