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花留多唄

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花言葉の歌留多に寄せたエッセイ。 イラストは无域屋さん。
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2020年10月の記事一覧

花留多唄【た】ダリア

花留多唄【た】ダリア

 『ダリア』(dahlia)の名は、スウェーデンの植物学者でリンネの弟子であったアンデシュ・ダール(Anders Dahl)にちなむそうです。
 和名はテンジクボタン(天竺牡丹)といい、牡丹に似ているからだとか。意外にもメキシコ原産。日本には1842年にオランダ人によってもたらされました。

 非常に豪華な花弁をしておりまして、まるで魚の鱗か花火か金細工か……というような規則正しく並んだ美しさ。色

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花留多唄【そ】ソメイヨシノ

花留多唄【そ】ソメイヨシノ

 『ソメイヨシノ』は言わずとしれた桜の代表種。別名は夢見草というそうです。なんて儚くて素敵なんでしょう。
 花言葉も『精神美』『高尚』『心の美しさ』など日本人が桜に重ねてきたものそのものだと思うのです。

 『純潔』『美人』といった花言葉もあります。
 高河ゆんの未完コミック『源氏』の冒頭で、主人公が恋人の『桜』という名の女性に用意していたプレゼントはソメイヨシノでした。結局渡せないまま、物語は動

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花留多唄【せ】ゼラニウム

花留多唄【せ】ゼラニウム

 ゼラニウムの別名は天竺葵(テンジクアオイ)といい、フクロソウ科に属します。
 アロマオイルでは不安やストレスを抱える方に向いているんだとか。
 特に女性特有の更年期障害や月経による不調からくるストレスにおすすめらしいです。
 そのせいか、花言葉には『愛情』『真の友情』『慰め』『君ありて幸福』といった優しい言葉がたくさんあります。

 面白いのはそれだけじゃなく『上流気取り』だとか『愚かさ』なんて

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花留多唄【す】スイートピー

花留多唄【す】スイートピー

 スイートピーの別名は麝香豌豆(じゃこうえんどう)や、香豌豆(かおりえんどう)そして麝香連理草(じゃこうれんりそう)といいます。
 麝香はジャコウジカという鹿のオスから得る分泌物を乾燥させた香料もしくは生薬のことで、ムスクとも呼ばれます。日本の一般医薬品の強心剤には大抵入っているかと思います。

 とにかく別名すべてに香りとつくんですね。そもそもスイートピーも英語で「香りのいい豆」という意味ですか

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花留多唄【し】シンビジウム

花留多唄【し】シンビジウム

 『シンビジウム』は最もポピュラーな洋ランなんだとか。パソコンで画像検索すると、なんとも華やかな画面でいっぱいになります。

 ランの種類は本当に豊富で、観賞用として人気が高いですね。その花言葉も『高貴な美人』『華やかな恋』『壮麗』『深窓の麗人』など華麗なものが多く、ラグジュアリーといいますか、絢爛豪華な姿ですね。

 栽培そのものは難しくないそうなんですが、花をつけるのが大変だそうです。気まぐれ

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花留多唄【さ】桜草

花留多唄【さ】桜草

 『さ』から始まる植物で日本人はやはり『桜』を思い出すことが多いでしょう。が、ここでは『桜草』……樹の桜ではなく草の桜のお話をしたいと思います。
 
 小林一茶が『我が国は草も桜を咲きにけり』と詠んだように、その花びらが桜にそっくり。そして様々な花弁の形や色があり、多々ある品種名も雅なものばかり。

 桜草の花言葉は『初恋』『純潔』『清らか』『無邪気』といったいたいけな少女を思い出させるものが多く

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花留多唄【こ】コスモス

花留多唄【こ】コスモス

 コスモスは日本では『秋桜』とも呼ばれており、秋の季語であります。細く儚げな茎と枝の先に可憐な花を咲かせ、風に揺られる様は花言葉で『乙女の真心』『乙女心』とあるように心もとない少女のようです。

 山口百恵の歌う『秋桜』はさだまさしの作った曲ですが、嫁ぐ娘が母を想う歌です。『謙虚』『美しい』『愛や人生がもたらす喜び』という花言葉にぴったりだなと思います。

 コスモスは漫画の中でも描かれています。

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花留多唄【け】ケシ

花留多唄【け】ケシ

 ケシの別名はポピーです。ケシの仲間には栽培が禁止されている種もありますが、ポピーはヒナゲシとも呼ぶそうで。

 アグネス・チャンの『ひなげしの花』という歌がありましたね。ケシの花言葉『慰め』にふさわしい歌詞です。もっとも、花言葉には他にも『恋の予感』『いたわり』というものもありますから、希望が見えますけれど。

 さて、私はケシで思い出すのがバウム著『オズの魔法使い』です。
 カンザスから竜巻で

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花留多唄【く】グラジオラス

花留多唄【く】グラジオラス

 『グラジオラス』という名前は古代ローマの剣グラディウスに由来しています。花よりも葉がそっくりなんだとか。そのせいか、花言葉にも『勝利』『尚武』『武装の準備ができた』という勇ましいものが目立ちます。

 『密会』『忍び逢い』『忘却』『準備』という花言葉もありますが、どうしてでしょうね。いかにも球根っぽいなぁとは思いますが。

 以前、借家に住んでいたときのこと。
 初めての夏になると、玄関までの石

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