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花留多唄【こ】コスモス

 コスモスは日本では『秋桜』とも呼ばれており、秋の季語であります。細く儚げな茎と枝の先に可憐な花を咲かせ、風に揺られる様は花言葉で『乙女の真心』『乙女心』とあるように心もとない少女のようです。

 山口百恵の歌う『秋桜』はさだまさしの作った曲ですが、嫁ぐ娘が母を想う歌です。『謙虚』『美しい』『愛や人生がもたらす喜び』という花言葉にぴったりだなと思います。

 コスモスは漫画の中でも描かれています。
 麻生みことさんの『天然素材でいこう』というコミックの中に、主人公をたとえる言葉として『コスモス』が登場するのです。
 それは『美しい』『美麗』という花言葉とはかけ離れた意味。主人公の少女を一見純情可憐なようで、実は秋風も台風すらもうまくかわしてどこでも咲けるバイタリティの強さをコスモスとかけて揶揄したもの。
 そう、コスモスは日当たりや水はけがよければ痩せた土地でも咲く強さも持ち合わせています。

 山形県のJR仙山線にある『面白高原駅』のそばにコスモスの名所があります。
 かの松尾芭蕉が訪れた山寺立石寺から程近い場所でもあるんですが、秋になるとそれはすばらしい景観が広がっています。
 幼い頃に連れて行かれたんですが、生まれて初めて見た花畑とはあのコスモスだったかもしれません。
 360℃見回す限りコスモス。でもじっと近づいてみると色んな種類のコスモスがあり、それらが一体となって視界に迫り来るさまは花言葉の『美的調和』や『調和』にふさわしいと今でも思います。

文字札:子の心親が知る歌

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