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人の生死にご縁がない、ペット保険の会社に勤めてみた。

※タイトルが気になる方は、前回の記事をご覧ください。
業界の内側をちょっとお届け、第二弾です。今回は、こころに響いたエピソードというよりも、保険の紹介に近いです。

目次
・ペット保険とは?
・人間の保険とどう違う?
・ペットの病気って?
・人間の保険会社と何が違う?

 人間のどろどろがない職場に行こう!と、また安易に考えた私は、ペット保険を取り扱う会社に勤めてみました。

・ペット保険とは?

簡単に説明すると、ペットが病院にかかったとき、現金を一部補填してくれる保険です。
かかった支払いのうち、50%~70%など、加入当初に設定した割合を受け取ることができます。(支払いには上限金額があります)
ほとんどは犬や猫を対象にした保険ですが、最近はウサギやフェレット、鳥などの保険もあります。

ペットに保険なんて、とお考えのあなた。思い出してください。ペットの健康保険料、支払ったことがないですよね。つまりペットは健康保険が使えない!100%飼い主様のご負担です。
(この恐怖がわからない方は、病院にかかる際、「健康保険証持ってないです」と伝えてみてください。全額その場で請求されるので、ちょっとした恐怖を味わえます)

加入するとペットの保険証を発行してもらえます。提携している病院だと、補填割合をあらかじめ引いて、自己負担額だけを支払うことができます。
人間の健康保険と同じ対応です。提携外病院の場合は、窓口では全額自己負担をし、あとから飼い主がペット保険会社に請求するという流れになります。

・人間の保険とどう違うの?

こちらもざっくり説明します。
人間の保険だと、「医療保険」と呼ばれる商品と同じタイプです。基本的な仕組みは同じですが、人間の保険は定額払いといって、あらかじめ決めた金額(×日数分)を受け取ることができます。
(日額5,000円、とか聞きますよね)
ペット保険は最大××円まで、という支払い上限はありますが、かかった金額×あらかじめ設定した割合(×日数分)を受け取れます。
健康状態の申告(告知、といいます)や、通院中のケガや病気がある場合、「部位不担保」といって、その場所や臓器については保障しないという前提で契約を結ぶこともあります。

・ペットの病気って?


勤めて驚いたのがここです!なんと、ペットの病気は人間と変わりません!
日本人の2人に1人がかかるといわれている「がん」や、「椎間板ヘルニア」「尿路結石」、高齢者によくある「膝蓋骨脱臼」、「腎不全」など。考えてみれば、人間と同じ種類の臓器を抱えているわけですから、当然ですね。

・働きたいんだけど、人間の保険会社と何が違うの?

当たり前ですが、違うのは「規模」です。人間に比べれば、ペットの割合は限られています。また、私は「人に気を使わない職場にしよう」と安易に考えましたが、甘かった・・・!

ペットに保険をかけるほどの飼い主様達です。大事なペットがケガや病気で辛い思いをしている時に、平然としていられるわけはありません。(少し考えればわかることなんですけどね・・・・)

お気遣いのトークは標準装備していないといけません。

私は電話受付と事務作業だったのですが、支払いの部署にいた人は、病院が使った薬剤や処置を調べて唸っていました。
人間の場合は、病気や薬剤を網羅したデータベースが存在します。
ペットの場合は、人間ほど充実したデータが揃っていません。
患者の母数が異なるので当然ですが、医師の届け出数を見ても、その差は歴然です。

獣医事に従ずる人数の届け出は、令和2年当時、約35,855人※。「従ずる」という記載のとおり、医者だけの数ではありません。
※農林水産省、獣医師法第22条の届出状況より

人間の医者は、厚生労働省によると、令和2年3月末で33万9623人。これは「医師」のみの数です。

人間の保険会社だと、ある程度ツールが充実していれば最低限の研修で現場デビューすることもあります。ですが、ペット保険の場合、規模がちいさいため、ツールも少ない。

保険金のお支払い担当に限っての話ですが、未経験者への教育はかなり骨が折れるでしょう。この職種は、経験者が圧倒的に強いだろうなと感じました。

コロナ禍でペット市場は右肩上がりですが、未経験者の育成に割く余力はなさそうです。

どうしてもペット保険で働きたい!という方は、保険金のお支払い部門ではなく、受付や事務から入って開拓していった方が早いかもしれません。お支払い部門以外は、通常のコールセンターと事務職のお仕事です。
(詳しくは「絶対に正社員で転職したいあなたに教える、誰でもできる成功戦略 ~実践編~」をご覧ください)

ペット保険の内容も、ペット市場の拡大を受けてどんどん変わってきています。
また、多数の会社が新規参入を果たしました。
これから先も市場としては十分明るいだろうと思います。

ただし、注意事項があります。

何度も単語を出していますが、「規模が小さい」業界です。そのため、規模が小さい会社同士の合併や吸収、市場参入を事業の一環として捉えている、他業種の大手会社様に買収されることは、十分あります。そのとき、あなたが同じ待遇で、同じ仕事ができるかどうかはわかりません。(私が働いていた会社も、今はありません・・・)

ペット保険の会社は、参入が比較的容易な業界です。今ある勢力図が5年後も同じである保証はないでしょう。

転職先を選ぶ際は、目先のメリット、デメリットだけでなく、将来的なリスクも含め、じっくり検討しましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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