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フジトラ(Fujitsu Transformation)ってどうやって立ち上がったの?

こんにちは、今回の記事を担当するフジトラ探検隊の小川です。
突然ですが、社長がいきなり「我が社はこれから変革する!」と言い出したら……あなたはどう感じますか?
「変わるってどうやって?」
「『変革』って言ってもどうせ変わらないんじゃない?」
正直なところ、当時営業部門に所属していた私もそんなことを思った一人でした。

連載2回目の今回は、多くの社員がそんな状態だった中、富士通の全社変革プロジェクト「フジトラ」がどのように立ち上がり、進んでいったのか。フジトラの活動をお客様にご紹介する中で、よく受ける3つの質問について、裏話も含めてお伝えしていきたいと思います。


1. フジトラって何から始めたの?

よくいただく質問の1つに、フジトラは「何から始めたのか」というものがあります。こちらの回答は、「フジトラは、何をやるのかを決める前に、まずは人を巻き込み、体制づくりから始めた。」というものになります。もちろん、具体的な施策や活動内容が不明なままでは、社員の共感を呼ぶことは難しいですが、CDXOを務める時田のもとで当時CDXO補佐を務めていた福田が自ら各部署へ行脚し、DXに向けた自らの想いを語り、熱量を伝えることで、プロジェクトの参加を呼びかけました。

こうして以下の体制がつくられ、CEO兼CDXO、COO、CFOがステアリングコミッティメンバーに入り、経営のリーダーシップのもと、各組織で任命されたDX責任者である「DX Officer(以下DXO)」と、全社横断の変革実現の仕掛けをつくる「DX Designer(以下DXD)」により、プロジェクトはスタートしました。

2020年発足当初のプロジェクト体制

ちなみにDX Designerたちの本来の職種は営業やSEなどで、本職がデザイナーではありません。最初は戸惑いもありましたが、この肩書自体も「自分たちがやり遂げる」という覚悟を込めたものだったようです。

トップダウンで始まった取り組みだけあって、体制づくり自体は比較的スムーズに進んだものの、当初は「そもそも何をやるのか?」を考えるところで一番苦労したようです。

これまでの富士通では、決められた担当者が企画を立て、役職の高い人がレビューするというスタイルが主流でした。しかし、フジトラではこれまでの一方的な情報発信やレビューの場から、DXO全員で意見やアイデアを出し合う場に変え、「そもそも何をやるのか?」を決めていきました。ホンネの議論を重ねることで、徐々に方向性が合っていき、「これが出来たら確かに会社は良くなるね」など、自分たちがやることに少しずつ腹落ちしていくようになりました。

2. フジトラはどのように拡大したの?

「どうやって活動を全社に広げていったのか?」と聞かれることも多くあります。
魔法の杖はなく、デジタル・アナログ織り交ぜ一歩一歩地道な活動で時間をかけて全社員を巻き込んでいったというのがホントのところです。
フジトラのキーポイントの1つに「現場が主役 全員参加」を掲げていますが、全員が参画できる場をつくり、それらが活発に活用されるまでには1年以上時間がかかりました。

そのきっかけとなったのが、全員参加のためにつくった代表的な仕組みであるFUJITRA10です。これはフジトラの活動(=自律的な個人の成長や経験、将来に向けての成長につながる活動)に業務時間の10%まで参加できる制度です。富士通ではプロジェクトや作業内容毎に工数管理しながら働く社員も多く、自部門や自身の本業以外の業務に参加するにはハードルがありました。そこで、全社共通オーダー制度をつくることで、どの社員も積極的に活動に参加できる環境を整えました。
2021年4月に開始してから、これまで延べ12,000人以上が活用し、社員の自律的な活動の促進変革マインドの醸成に役立っています。


もう1つのキーポイントである「経営のリーダーシップ」を体現した「TOP FIRST」もフジトラの活動の拡大に大きく寄与しました。主な施策を経営層が自ら率先して実践し、全社展開していくという取り組みです。トップが自らの背中を見せ、自身の体験をもとに施策の必要性を語ることで社員の納得感も高まっていきました。

また、フジトラの活動が3ヵ月を1サイクルとして進められたことも良かったと思います。期限が決まっていたからこそ、常にチャレンジすることができました。サイクル毎にDXOやDXDは小さな成功体験を積み重ね、それがプロジェクト推進の原動力になりました。

3. 反発などはなかったの?

もちろんあります。特に多かったのが「業務が多忙で新たなことに取り組む余裕がない」「やることだけが増えていく」「やることに意味があるのか」といった声でした。
そうした反発の声も含め、様々な社員の声に耳を傾け、多くの社員を巻き込みながら活動を進めていきました。そのために導入したのが「VOICEプログラム」です。

これは、顧客や社員の声をデジタルプラットフォームで集めてAIで分析し、経営施策に反映するものです。
富士通は2020年7月に、ニューノーマル時代における新たな働き方改革のコンセプト「Work Life Shift」を発表していますが、この施策立案においてもVOICEプログラムが活用されました。新しい働き方を考えるうえで、まずは社員の「声」を聴くことが不可欠だと考え、富士通グループ全社員対象として調査を実施。得られた約3万7,000件の回答を分析し、施策内容や施策実行の優先順位に反映。VOICEプログラムで集めた多くの社員の「声」が、意思決定の迅速化と行動の変革を促す力となり、これだけ多くの社員の声を取り入れながらも、わずか2.5カ月で施策立案を実現しました。
その他にも、現場で活躍する社員を後押しするITサービスの実現に向け、定期的に社内ITの利用に関する調査を行い、今後のIT戦略や投資領域の選定へ反映する「Discovery Gift for IT Survey」という取り組みもあります。一歩ずつアクションを示すことで、単純なツールやシステムの改善だけでなく、社員エクスペリエンスの向上にもつながるようになりました。

業務の断捨離やRPAによる自動化、生成AIサービスの活用など、最新のテクノロジーや手法を積極的に取り入れることで「DX」に触れ、体験し、さらに変革を進められないかと考える機会は増えています。
フジトラはまだまだ道半ばです。「上司がフジトラのイベントに参加してから、言うことが(いい意味で)変わった」という声もあるように、一人ひとりのポジティブな行動の積み重ねが全社の変革につながっていきます。


さて、社外の方によく聞かれる質問TOP3、いかがでしたでしょうか。富士通の変革の軌跡について、理解は深まりましたか。今後も探検隊は、富士通の変革の核心へさらに迫っていきたいと思います。ぜひ、ご期待ください。

【今回のフジトラ探検隊員】
小川 奈々実(おがわ ななみ)
ビジネスプロデューサーとして金融機関のIT・DX化を支援。社員なら誰でも手を上げることのできる社内インターン制度「JOBチャレ」という仕組みを使って、全社変革の推進部門であるフジトラオフィスに6ヶ月間参画。現在は、その経験をもとに顧客企業の価値向上のために日々邁進している。

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