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AI同士が自律的にタスクを遂行!AIマルチエージェントとは

こんにちは、富士通広報note編集部です。

本日は、7月11日に富士通グループのコンサルティング会社であるRidgelinez株式会社から発表された、新オファリング「Ridgelinez AI-Driven Transformation」に活用されているAIマルチエージェントについてご紹介します。

「Ridgelinez AI-Driven Transformation」は、複数のAIと予測AIを組み合わせ、複雑なビジネスプロセスの省人化と高度化を実現し、企業の生産性向上を支援するコンサルティングサービスです。AIエージェント同士が自然言語で会話し、データを総合的に分析して最適なアクションを導出することで、人への依存度が高い業務プロセスの効率化を図ります。

AI同士が自然言語で会話をして、タスクをこなしていくなんて、すごく近未来的なお話ですよね?

実際にどのようにAIマルチエージェントがタスクをこなしていくのか、また、使いこなすコツやAIエージェントの裏話などについて、RidgelinezでAIを活用したコンサルティングを担当している小松に詳しく聞きました。

AIマルチエージェントとは、具体的にどのようなものですか?

AIマルチエージェントは、複数のAIエージェントが協力して一つのタスクを遂行するシステムです。各エージェントはそれぞれ特定の役割を持ち、独立して動作します。例えば、あるエージェントはデータ収集を担当し、別のエージェントはそのデータを分析する、さらに別のエージェントが分析結果を基に予測を行う、といった具合です。

現在、AIは主にツールとして利用されています。例えば、社内ヘルプデスクの回答ボットや、自動翻訳ツールなどです。しかし、AIマルチエージェントはこれをさらに進化させ、人の働き方を模倣する方向へと向かっています。つまり、AIが単なるツールとしてではなく、まるで人間のように協力し合いながらタスクを遂行するのです。
 
特に重要なのは、AIマルチエージェントシステムにおける「リードAI」の存在です。リードAIは、人間からの指示を理解し、それを各エージェントに適切に割り振る役割を担います。このリードAIがあることで、ユーザーが具体的な指示を細かく出さなくても、システム全体が効率的に動作します。

AI同士でのタスク遂行時はどのようなやりとりがされていますか?

例えば、企業経営における「今期の売上予測を基に、アクションプランを提案する」という業務があるとします。
人間のチームなら、リーダーが統括して、アナリストや営業、秘書などのメンバーが各役割をこなして最終的なプランを作成しますよね。
このような場面で、それぞれの役割をAIに担わせます。

AIマルチエージェントの役割イメージ

例えば、リーダー役のリードAIがユーザー(人)から「今期の売上予測をもとに、アクションプランを提案してください」と依頼を受けるとします。リードAIは作業を分解し、アナリストAIに「今期の売上予測を分析し、特に重要な案件を1件ピックアップして報告してください」と依頼します。すると、アナリストAIは売上予測モデルを利用して分析を行い、未達の部署における重要な案件として「A社」をピックアップします。

タスクの遂行イメージ

アナリストAIから分析結果を受けて、リードAIは営業AIに「A社のニーズや課題を教えてください」と依頼します。すると、営業AIは当該企業のニーズや課題を分析し、「A社は特にAIやIoT技術を活用した製品開発に関心を持ち、これらの技術を導入することで競争力を高めることを目指しています」と報告します。

次に、リードAIは秘書AIに「A社のニーズや課題に対応可能な人材の情報提供をお願いします」と依頼し、秘書AIは社内情報に基づき、関連する能力を持つ人材をリストアップします。最終的には、リードAIが情報を集約し、ユーザーに対しアクションプランを提案します。

タスクの遂行イメージ

このように、各エージェントが独立して動作しながらも、必要な情報を共有し合い、協力して一つの目標を達成します。

本当に人のチームみたいですね。AIマルチエージェントを使いこなすためのコツは何ですか?

「役割を明確にすること」が基本です。感覚的には人がチームで作業する時と同じです。人のチームでも、各メンバーの役割が明確に決まっていなかったり、リーダーからの指示が曖昧だったりすると、チームが上手く機能しませんよね。それと同じで、AIに対しても役割の与え方を間違えると、延々とやりとりが続いて堂々巡りになったり、アウトプットが表層的になったりします。

例えば、人同士のやり取りでも、チームメンバーに資料作成をお願いした時にも「この状態で資料レビューに持ってくるの?」と思うことはありませんか。それと同じことが起こります。アウトプットの質を高めるためにも、各AIエージェントの役割を最初にしっかり明文化して伝えることが重要です。

ただし、AIマルチエージェントシステムでは、リードAIが中心となって各エージェントに適切な役割を割り振るため、ユーザーが全ての詳細を管理する必要はありません。これにより、ユーザーは大まかな指示を出すだけで、リードAIがそれを解釈し、各エージェントに具体的なタスクを振り分けることが可能になります。
 
このため、AIマルチエージェントを使いこなすためには、最初にリードAIの設定をしっかり行い、基本的な役割の定義を明確にすることが重要です。これがしっかりできていれば、システム全体がスムーズに動作し、効率的にタスクを遂行することができます。

コンサルタント業務では、よくプロジェクト開始時にアセスメントを行います。アセスメントでは、誰が、なにをインプットとして、どういった観点・基準で評価を行うか、人の頭の中にある暗黙知をヒアリングやアンケートなどを通じて吸い上げ、ソリューションの仕様に落としていきます。AIマルチエージェントへの役割や指示の明文化は、これと同じ作業です。
また、単に業務を言語化するだけでなく、動くのはAIなので、AIのふるまいを理解した上で、シミュレーションしながら進めることが重要です。「これは情報がないので適当な回答を生成したな」といった、AIが出してきた回答を評価する人の目も大事です。
AIを活用して業務改革するコンサルティングでは、業務と技術の両面の理解力が問われるので、腕の見せ所ですね(笑)

AIエージェントを開発する上での裏話はありますか?

逆説的なお話になりますが、AIのマネジメントを考えると、人のマネジメントについて向き合う必要が出てくるのが面白いです。
AIへの指示が上手くいかない時、「ああ、あの時の自分のメンバーへの指示も曖昧だったな」などと思い出して、自分のチームマネジメントの振り返りにもなります。
結局、人のマネジメントが上手い人はAIのマネジメントも上手い、という相関があるので、AI時代においても人をまとめる能力というのは変わらず必要になるのだなと考えさせられます。AIを通して自己学習ができて、日々発見があり楽しいです。

面白いですね。今後、AIの使われ方はどう発展していくと思いますか?

人とAIの区別がより曖昧になって、AIエージェントとチームを組んで一緒に働くのが普通になっていくと思います。人の役割はよりAIを統括する、サッカーの監督のような業務に寄っていくのではないでしょうか。
また、AI同士にブレインストーミングさせて企画を練ったり、熟練のベテランの知見をAIに覚えさせてレビューさせたり、専門的な知識が必要な様々な業務にもAI活用が浸透していくと思います。

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