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台湾最南端へ その6

XTERRA TRAILRUN ASIA PACIFIC CHAMPIONSHIP参戦記その6
レースのこと。
*大会にお願いして公式の写真を色々いただきました。雰囲気が少しでも伝わりますように!

レース準備

4時半に起床。僕のレースであるハーフマラソン(21km)は7時スタートで、5時からシャトルが順次出発している。僕のレースに先立って6時からはマラソン(35km)が行われるためだ。

消化に良いものばかり揃えているので慌てて食事をする必要もないし、今回はアップせずにスタートは前に並ばず様子を見ながら走るつもりだし…。とはいえ、レースの朝となれば放っておいても緊張するし、ワクワクもする。僕の気持ちは不安や緊張とワクワクする気持ちをシーソーのように行ったり来たりしており、その気持ちに逆らうことなく、少しづつ準備を進める。

レース前後も含めた主な持ち物。

レースに持って行く荷物を一通りベットの上に並べ、ウェアに着替える。テーピングをして、朝食を摂る。少しだけオンラインで家族とも話す。時間はあるようでない。やるべきことを淡々としていてもあっという間に時間は経って行く。

6時前、部屋を出てシャトル乗り場へと歩く。足りないよりは余る方が良い。飲み物なども十分に持った。


会場到着、いよいよレース。

会場に到着してまずは一回り。トイレの混み具合やどこに荷物を預けるかなどなど見て回ってスタートまでをどう過ごすか思案する。荷物預けがはっきりしなかったので、Deer Runに預けさせてもらうことに。今回はビリーに大変お世話になった。ありがとう。

スタートも近くなって整列することに。10分ほど前から先頭は埋まっていたので、後ろの方に陣取る。マイペースに行くぞ!と心では決めているもいくらなんでもあまりに後ろだと始めから勝負を捨てることになってしまう。なので、スカスカなあたりはすいません、すいませんと通してもらい、なんとかゲートから10m暗い手前まで前進することができた。

そこにいたのがEmilyだ。彼女はXTERRAのスタッフで今回のASIA PACIFIC CHAMPIONSHIPへと招待してくれた。というのも、僕は10年以上前XTERRA TRAILRUNを転戦しており、2009年にはハワイで行われたWORLD CHAMPIONSHIPでは総合5位で年代別では優勝するなど、成績を残したことがある。その頃からの縁で、現在、彼女は日本に住んでおり、日頃からレースだけでなくジュニアトレイルランなどの活動を興味深く思ってくれていた。そこで、今回台湾で初開催されることになったASIA PACIFIC CHAMPIONSHIPにぜひ出場しないか?と誘ってくれたのだ。渡航後すぐに再会したのだけど、レース前に彼女と話をして元気よく送り出してくれたのは僕にとってとても励みになった。


スタート

7時ちょうど、スタートの合図に合わせて元気よく皆が飛び出していく。僕も可能な限り流れに乗りたいと思い走り出す。数百mも行くと、舗装路となり、そこから隊列は一気に伸びていく。前に並んでいた選手が必ずしも全員速く行くわけではないので、流れに乗りながらのんびり走る選手たちをかき分けるように進む。すでに先頭は見えない。けれども今日は仕方ない。300mlのボトルを3本持ち、交代で飲みながら、エイドごとに補給を必ずする。これが今日の僕のルールだ。それを徹底した上で必ずフィニッシュする。これが僕の目標。順位やタイムは二の次だ。それに結果論ではあるが、最初から先頭が見えなくなったのは良かったと思う。目の前の選手たちをひたすら追うことだけを考えればいいから、無茶なペース配分をしないで済んだ。

スタート前の整列
スタート!


序盤

まだまだ集団の中、1km今日のロードを終えトレイルへ。平坦だけど、干上がった川のようなルートは岩がゴロゴロ、浮石だらけでフラットなのになかなか進まない。ヤキモキする。ここから約1kmはレース内に3か所存在するセグメントの1つ目、フラット区間のセグメントでもあった。もちろん、マイペースに進むことを考えていたので全く気にせず。

こういう足場が僕は苦手

徐々にアップダウンが増え始め、選手同士の距離が開くようになる。登りでは歩く選手が増えてきたので、ここで少しづつ前へ。

最初のエイドステーションは3kmを少し過ぎたところにあった。天気は曇りだし、前日より涼しかったけど、しっかり余裕を持っていきたいのでこれまでもまめに水分を摂ってきた。立ち止まってソフトフラスコをいっぱいにしてスタートする。次にエイドステーションは5km先だ。念には念を。

トレイルの割合が増えてきた。5kmあたりで集団でミスコース。矢印の通り曲がったつもりが、先を行く選手が「ここはコースではない!」と戻ってきた。多分、コースデータをGPSウォッチに入れていて、それのアラームが教えてくれたのだと思う。他の選手に聞いても「この先にマーキングはない。」というので戻ることに。戻ってみると、僕たちが間違えた開けたルートの奥にもう1つ小さな曲がり口があった。XTERRAはコースマーキングがしっかりしているので、アンラッキーであった。ま、仕方ないってことで。


XTERRAのコース設定

はアドベンチャー要素をふんだんに取り入れている。コースに遊び心が溢れているのだ。わざわざ、倒木を飛び越えさせたり、木々をくぐるようにして走らせたり。
入り組んでいても曲がりにくねって走りごたえのあるルート設定。そして、必ず素晴らしいパノラマなど映える箇所がコースに含まれているのだ。少なくとも、僕が出た各国のレースに関して言えば、マーキングで困ったことがないし、山奥でも誘導員を配置してくれているので、今回は油断が生んだミスとも言える。ただ、この日に限って言えば、マイペースと割り切っていたのでもちろん痛恨ではあったが、いつものレースに比べたら気持ちの上では傷は浅かった。

要所には誘導が。コース上、たくさん配置されていました。

5分とは言わないけど、それなりにタイムをロスしてしまった。せっかくさっきまで抜いた選手たちの後ろを再び走ることに。ちょうど長い登り返しで多くの選手が歩き主体だったのが幸いして、比較的早く順位はリカバリーできた。

景色が素晴らしいので
開けた空間も走っていて楽しい。
異国の原風景を感じさせるコース


レース中盤

8km過ぎにある2つ目のエイドでは再び立ち止まって全てのボトルをいっぱいにした。なぜなら次のエイドまでは7kmあり、曇りから一点強い日差しが照りつけ始めたから。給水と合わせてバナナも食べた。エイドでは、マイカップ持参で水、スポーツドリンク、バナナ、塩があった。最初のエイドだけカップを忘れた人用に紙コップがあったが2つ目以降は完全マイカップ仕様になっていた。

10km近く、登りのセグメントが始まった。見晴らしまでのパノラマでとても景色が素晴らしかった。ペースは上がらないけどレースを楽しめていたので、登りセグメントだし、ちょっとペースアップ。見晴らしにつくと「ふじおだよね?僕はLandry!!また後でね。」と今回の移動のサポートをしてくれたXTERRAクルーが声をかけてくれた。こうしたちょっとしたやりとりが元気になる。体力は確実に消耗しているけど、気持ちは前向きに。

セグメントスタート
あまりに景色がひらけて綺麗だったので思わずスマホで撮ってみたけど、こうして見返すと伝わらないなー。レースの必携品にスマホがあったので珍しくレース中に撮影。
セグメントフィニッシュ

12~13kmあたりまでは、再び、干上がった川沿いのようなルートをいく。幸いだったのは、岩がゴロゴロしていなかったので比較的走りやすかったこと。ただし、鍋底のようになっており、日陰がなく直射日光を浴びながら緩やかな登りを走る区間は、木陰の登りよりもきつかった。


終盤にかけて

15km過ぎに3つ目のエイド。これまでの区間で3つあるボトルの2つをどんどん飲んでいたのでそれぞれいっぱいに。再びバナナを食べて出発。長い登りも大半をおえ、徐々に下り基調になるはず。すぐ先にある4つ目のエイドステーションを目指しながら、ボトルを摂る。あれ、前が見えた?と思ったら転倒。相変わらず順位は分からないけど、見えたなら捕まえたい。気持ちが前のめりになり足元が疎かになった。なんでもない所で転倒し、身体を打ちつけた衝撃で一気に疲労が特に筋肉の疲労が出てきた。

3つ目と4つ目のエイドは距離が短く2km半ほどでほとんどボトルは減っていないなかったので、バナナを頬張って出発。残りは4~5kmほどなので気持ちで行ける距離のはずが今日は遠い。転倒以降、あちこちが攣りそうになっていて、XTERRA特有の倒木またぎや段差飛び越えなどの度にどこかが攣りそうになる。おっかなびっくり進むしかない。それでも、上りがしばらく続いてくれたのは幸い。そこで前に見えていた選手を追い越すことができた。

ああ、そうなのだ。暑いのもしんどいのも皆一緒。だから我慢くらべで我慢し続けることができればチャンスはやってくる。そう言い聞かせて前へ進む。

徐々に下りになり、本来ならば気持ちよく駆け降りたいのだけど、筋肉が悲鳴をあげていて、登りよりも下る方が何倍もきつい。上がらないペースに歯噛みしながら、緩やかなペースで下っていく。我慢ももう少しでおしまい。やっとやっと舗装路に出た。往路で走った場所なのでなんとなく見覚えがあった。8時にスタートした7kmの選手たちとコースは合流し、声援を浴びながら気持ちを奮い立たせフィニッシュを目指す。ここまできて誰かに抜かされるのはあまりにも悔しい。舗装路を抜け、EXPOエリアへ。「なんだ〜、昨日のトライアスロンのコースはまっすぐ花道だったのに、ぐるっとバイクエリアも回すのかよー。しかも立体交差とか色々あるし」と心の中で叫びながらやっとやっと花道へ辿り着き、フィニッシュ。

僕の走ったハーフの前に35kmの部がスタートしているのでタイムはそちらに合わせられている。


レース結果、年代別でアジア1に♪

フィニッシュをするとMCに軽く声をかけられて話をしたものの、タイムも想定より随分とかかったし、帰ってシャワーでも浴びようとしたら、Emilyが声をかけてくれた。「楽しかったけど、時間もかかったしシャワーを浴びて移動の準備をしてくるね。」と言うと、「リザルト確認するからちょっと待って!」と。

すると、「総合4位で年代優勝だよ、おめでとう!」と。

あらまぁ、びっくり。
レースは半ば以降ひとり旅が多く全く順位が分からなかったけど、気持ちを切らさないで最後までベストを尽くしで走ったご褒美かな?


表彰式

「表彰式に遅れると困るから会場に残っていて。」との事で、チェックアウトが間に合わなくなるけど、そこは大会側が宿に交渉してアレンジしてくれることに。おかげでフィニッシュごはのんびりと会場を散策できた。美味しそうなものをたくさん売っていたのだけど、レースで力尽きて食べる気力が(内臓に)なかったので水分中心にの補給。タポタポになったけど、相変わらず日差しはギラギラと刺すように僕を照らすのでこれで正解。

Red Bullのドラゴンフルーツ味は台湾限定なのだそう。
日本でもお馴染みパールドリンク

表彰式は総合や年代いくつかに分けて行われた。それぞれの準備の間に地元の色々なステージパフォーマンスがあり、写真のようにステージに前に広がったスペースでゆったりとそれらを楽しんだ。弾丸滞在だし食事も思うように摂れないので、ここで台湾を感じることができた有意義な時間であった。シャワーを後回しにしてよかった。

メインステージはレースの余韻でのんびりと過ごす人々と賑やかに楽しむ人と。皆、幸せそう
地元の太鼓。この他に合唱の披露も。
会場を巻き込んで踊って大いに盛り上げていた彼ら、まさにエンターテイナー。


11時頃になり表彰式が行われた。式自体はシンプルだけど、表彰してもらえたことで努力が1つの形として残せたこと。何より、我がことのように現地の人たちが喜んでくれ、SNSでもたくさんのお祝いをいただいた。そのことが嬉しかった。

総合で4位に入り、年代別優勝したので世界選手権の参加資格もゲット
こちらは年代別優勝者たち

その日の夜遅く高雄へと移動し、翌日早朝のフライトで日本への帰路についた。夕方前には帰宅でき、あっという間に日常へと戻ってきた。まさに弾丸と呼ぶに相応しい行程であったが、有意義で楽しい滞在であった。

出来れば旅の雑感や振り返りを書きたいと思ってるので、そちらも読んでもらえたら嬉しいです。


【お知らせ色々】

・5/27(日)5/27(土)World Bee day in ZUSHI~スロヴェニアの国際記念日を祝うコンサートとマルシェ~(受付中)
9/24(日) 第8回NAGANO Jr TRAILRUN 兼 U-15ジュニアトレイルラン
 チャンピオンシップ in 富士見高原
(受付中)
11/5(日) 逗子トレイル駅伝2023(受付中)

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