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『ヒーローを待っていても世界は変わらない』を読んで

民主主義について考える本。

民主主義とは「めんどくさくて、うんざりして、そのうえ疲れる」もので、時間と空間、対話とデザインが必要だと著者は唱える。

合意形成のために時間をかけて対話をし、想像力を働かせ溢れるて人の出ないような社会(空間)をデザインしするにはものすごい労力と手間隙がかかる。だから、「なんでも他力本願で済ませたりお手軽に結論を出すのでなく、しっかりと考え議論し色々なものを積み上げていこうぜ、作り上げていこうぜ。」僕はそんなふうに読んだ。

コロナ禍において、営業自粛を迫られたり一方で通常通りの営業が出来たりと、どんなに対策をしてもお店が開けられなかったり、なかなか、営業保証がされなかったりとうちは両親が飲食業を営んでいるので日々苦労しているのを目の当たりにしている。と同時に、なんであっちは良くてこっちはダメなのか?というようなケースがしばしば目につく。これは人々を分断し、対立を生む要素になるので本来避けるべきことであると思っている。「なぜやるか?なぜダメか?」明示できないことには納得がいかないだろう。ガイドラインを作ることで修正点が出れば、修正しつつより良い対策を立てられるがそのあたりがぼやけていると怒りの矛先のやり場に困り、これまた対立と分断の元になることを僕は危惧する。経験していない事態なのだから、対策が全て全てうまくいくとは限らない。それよりも大切なのはデータを集めたりフィードバックしてより良い対策をすること、そうすることによって少しでも良い対策を打てれば、コロナ禍で苦労する暮らしの中で少しでも様々な補助制度からこぼれる人が減り助けになるのだと思う。それこそ、「めんどくさくて、うんざりして、そのうえ疲れる」ことだと思う。けれども、それをぜひとも実践していただきたい。

印象的なくだりを1つ。

といっても元々は2008年に発刊の『反貧困』に出てくるくだりの引用とそれに付随する説明なのだが、コロナ禍において間違いなく大切な考え方だと思うのでいかに引用する。

”溜め”のない社会
”溜め”とは、人を外界から守ってくれるバリアのようなものです。
お金があれば、病気や失業してもすぐには生活に困らない。その時お金は、金銭的な”溜め”としての機能を持ちます。
お金がなくとも、豊かな人間関係に囲まれていれば、悩んだときに相談できたり、困ったときに頼ったりすることができます。そのとき人のつながりは、人間関係の”溜め”としての機能を持ちます。
お金や人間関係に恵まれなくても、自信とやる気に満ちていれば、這い上がれるチャンスもやってくることもあるでしょう。そのとき自信ややる気は、精神的な”溜め”としての機能を持っています。
”溜め”はこれらの総称であり、その全体が縮んでしまった状態、失われてしまった状態が「貧困」です。ですから「貧困」はお金だけの問題ではありません。
(中略)
”溜め”の小さい貧困状態に追い込まれた人たちが増えていく社会は、そもそも自身の”溜め”を失った社会です。”溜め”のない社会だから、ちょっとしたことで排除され、生活と仕事に余裕なく追われる”溜め”のない人が増えていきます。
(中略)
”溜め”を失った社会で追い詰められていくのは、いわゆる「負け組」だけではありません。全員です。
”溜め”のない人が増えていくことで「さっさと決めてくれ。ただし、自分の思い通りに」と「強いリーダーシップ」を発揮してくれるヒーローを待ち望む心理が高まっていきます。格差・貧困問題の広がりと民主主義の空洞化・形骸化は、このような現象として、私の中で不可分な形で結びついています。(P.72~73から引用)


随分と長い引用をした。元々は貧困問題など社会問題の解決に向けて書かれたはずがコロナ禍の今もそのまま読むことができるのは僕だけだろうか?むしろ色々な形で溜めが失われているのを強く感じる。

昨年から僕自身色々と先が見えずしんどい思いをする日々だ。けれども、身の回りで怒ることに目を背けることなく、家族や友人と協力して支え合っていきたい。


【今後の予定】
6/20(日)ジュニアトレイルランニングスクール〜逗子のローカルトレイルを走ろう〜
9/26(日)第6回NAGANO Jr TRAILRUN in 富士見高原
10/17(日)第13回TOKYO Jr TRAILRUN兼-U15ジュニアトレイルランチャンピオンシップ

11/7(日)逗子トレイル駅伝2021兼U-12ジュニアトレイルランチャンピオンシップ

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2021-05-12 07.45.23のコピー


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