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自分を「おもてなし」したら部屋がみるみる片付いた話

ある晴れた日に、自分のためだけに入れたアイスコーヒー

これは「捨てられない病」だった私が心のモヤモヤを紐解いて自分の人生を取り戻すまでのお話。

モノは大切に!「使い切るまで捨てちゃいけない」と思っていた。

「ナオって、テトリス得意だったっけ?」
ある日夫がそう聞いてきた。
「まぁ、苦手ではない方だと思うけど、なんで?」
「だって、うちの押入れの中まるでテトリスみたいにモノが詰まっているじゃん」


私は昔からモノを捨てるのが苦手なタイプ。
学校でも「モノを大切に!」と習ったし、母からも「取っておけば何かに使えるかもしれないでしょ。捨てたらもったいないわよ!」と言われて育った。
そうして、とにかくモノを捨てずに暮らすうちに収納空間の中にパズルのようにモノをギュッと詰め込む技術がいつの間にか身についてしまっていた結果が、押入れの惨状。

押入れの中に大切にしまい込んであるのは表紙が可愛くて使えないままのノートやノベルティでもらったキーホルダーや日傘、推しのファンクラブ会報やグッズ、ちょっと前にハマっていた手芸の材料。
「いつかお客さん用に」と思っているふわふわの今治タオルや箱に入ったままの高級グラス、子供達が大きくなることを見越してセールで買ったサイズの大きい洋服などなど。


今すぐ使うわけじゃないけど、取っておけばいつか使うかもしれないし。
収納に入るんだから、無理に捨てる必要もないよね。
節約にもなるし。

むしろこんなに隙間なく詰め込んでる私ってすごい片づけ上手なんじゃない!?
そうだ!片づけのプロになるために資格取りに行ってくる!
そんな考えで飛び込んだ整理収納アドバイザーの世界。
そこで人生を変える考え方と出会ったのです。


モノは財産じゃない!?モノより大切な○○

「収納というのはモノを溜め込むための場所ではなく、モノを使いやすいようにスタンバイさせておくための空間です」
これは片づけ先進国ドイツの主婦の言葉。


整理収納アドバイザーの講座でこの言葉を知った時に衝撃が走りました。
「え!?うちの押し入れは普段使わないモノを溜め込むためにしか使ってないけど???」

未使用のノートやタオルや昔の趣味のモノ。
我が家の押入れの中は「今は使っていないけれどいつか使うかも?の品」でパンパン。
いや、よく考えたら棚の中も引き出しの中だってそう。
大量のペンやいつ使うのかわからない付箋やシールがたんまり、ホチキスだってなんか知らないけれど4個はある。

ドイツの奥様のように「そこに住む人が生活しやすいように」が中心の家じゃない。

我が家ってまるで、倉庫みたいだ。
でも、壊れていないモノは捨てちゃいけないんでしょう?
この、今は使わない、ううん、いつ使うかもわからないモノ達は、じゃあ、どこに置いたらいいの?

その答えも明確でした。
「片づけとは自分とモノとの関係性を見直して不要なモノを手放し、暮らしやすくなるように整える技術のこと」

ということは、今使っていないモノは手放してしまった方がいいということ?いつか使うかもしれないのに?

でも確かに、あの押入れの中から今使っていないモノがなくなれば、いつも出しっぱなしになっているバッグや書類の置き場所を作れる!
テーブルと床の上がスッキリするなぁ。
掃除もしやすくなるし、部屋の空気の通りもよくなりそうだ。
モノより住む人が主役になる家になれるかも。
考えたら、なんだかワクワクしてきた!

モノは、あれば役にたつこともあるかもしれないけれど今の自分の暮らしを蔑ろにしてまで保管する必要はないのかも

「よし、捨てるなんてもったいないとモノの寿命を憂うよりも自分の生活環境を優先した暮らしにシフトしてみよう!モノより自分優先!」

そう決心した私は「モノは捨ててもいい」と人生で初めて自分に許可を出し、「自分の生活環境改善のための片づけ」に取り組むことにしました。

とはいえ、どうしても自分よりモノを優先してしまう癖が抜けない。
例えばペラペラになったタオルでも「まだ穴が空いていないし」と捨てられない。

そんな私が生み出したのが〝オトモダチ〟大作戦

自分自身が使う、という気持ちで判断するとつい「いや、まだ使えるよ」と判断が甘くなりがちな私。

でもこれが「うちに遊びにくる友人に貸すかもしれない」と思うと「いやいやこんなペラペラになったタオル貸せないよ!」と急にモノへの判断基準が厳しくなります。

でもそれって、自分のことをなんだかぞんざいな扱いをしているってことじゃないのかな?
人には失礼すぎて貸せないレベルのモノを、自分だからって使わせていていいの…?
よくない!この世で一番自分を大切にできるのは、自分自身なんだから!

ということで、「人に貸せないようなレベルのモノは自分にも使わせない」と決心。
そして自分の五感で感じる心地よさやときめきを大切にする〝ご自愛〟をテーマにモノ選びをすることに決めました。
目指すは「自分をおもてなしできる空間」にすること!


片づけのお手本は学校の教室

さて、思い切り部屋を片付けるぞ!と固く決心したものの、改めて部屋を見回してみるとどこから手をつけたらいいのかわからない。

いつもの見慣れた景色に、「このままでも大丈夫なんじゃない?」なんて気持ちまで芽生えてきてしまう始末。
そこで、現状をちゃんと把握するためにスマホのカメラでリビングをパシャリ
そうしたら、同じ目の前の景色なはずなのに、気になる箇所がたくさん見つかった!

テーブルの上、モノありすぎない?
床に置きっぱなしのバッグ、気になる〜!
肉眼で鏡を見た自分と写真に写った自分が違うように、カメラのフィルターを通すと、部屋の景色を冷静に見られる。
うん、やっぱり片づけよう。

さて、片づけを完走するのにはゴールが必要だな。
ゴールがどこかわからないマラソンなんて走り続けられない。
目指す空間は「自分をおもてなしできる空間」だけど、具体的にどうしたら良いのやら。

とにかく理想はスッキリとしたリビング。
視界に入るのは厳選したお気に入りのモノだけ。
そこで自分のためだけにお気に入りのカップでお茶やコーヒーを入れて、ボーッと過ごせる時間を作りたい!

こうして家の収納設計を立て始めた私。
まずは家の中の「個人のエリア」と「共有エリア」の住み分けを考えよう。

リビングは家族共有で使うエリアだから、個人の私物は極力置かない。
そう、学校の教室のようなイメージ。

日中は賑やかな空間だけど、放課後は私物をロッカーや自宅に持ち帰るからスッキリとしている。
お家でも、日中はリビングが散らかっていてもOK。
だけど寝る前や人がいない時間はちゃんと私物が個人のエリアに戻るような設計にしよう!

まず、まだ幼い息子達のおもちゃはリビング隣の和室にキッズコーナーを作ってそこにまとめる。

私と夫の洋服は今、物置になっている部屋を片付けてウォークインクローゼットとして使う。
そしてその部屋にカラーボックスを2つ置いて夫の私物置き場を作ろう。

仕事から帰ったら、夫のバッグや腕時計はカラーボックスの上段が定位置。
夫の本やCD、ドラゴンボールやワンピースのグッズはそのカラーボックスにまとめてもらって、ここが夫の私物コーナーだ。

私の私物は、和室の押し入れを片付けて上段に作ろう。
押入れの中にカラーボックスを入れて棚を作れば便利そう。
マザーズバッグも、お出かけグッズも予防接種の書類もここに集まっていれば出かける支度も1箇所で済む。
和室はリビングのすぐ隣だから子供達の様子を見ながらお出かけの準備もしやすいし!

こうして、個人の私物エリアが決まり、次はいよいよ捨て活に入ったのでした。


いざ、行動開始!片づけの鉄則はココから始めること

まず、取り掛かったのは物置部屋のクローゼットの中。
「ここならガラクタがいっぱい詰まっていて手放せるモノがいっぱいあるはず!」

その予想は大正解!
電気代が高くなりすぎて使わなくなったヒーターや前のお家で使っていたカーテンやラグ、なんとなく取っておいた家電の箱や実家から持ってきたのに一度も開けていない漫画が入った段ボールや独身の頃使っていた水着など…。

ずっと手を触れてもいないし、存在すら忘れていたモノたち。
「まだ使えるからもったいない気もするけど、おもてなし目線でみるともうクタクタで使えないモノばかりだ!」
モノに対する見解を変えると、大事にしまい込んでいたモノ達ももうすっかり私の中ではガラクタ。
あっという間に処分することができました。

そしてポッカリと空いたクローゼットに今必要なモノをしまっていくと物置部屋はスッキリ!

片づけは、まるでスライドパズルのよう。
収納空間の奥に詰まっていた詰まりが取れると、その辺に出っぱなしだったモノが綺麗に収納されて部屋全体が片付いていく。

「そうか、まずは収納空間の中の詰まりを取り除くことが片づけには大切なんだな!」

こうしてクローゼットの中、納戸、押入れ、と大きな空間の中に潜むガラクタをどんどん処分していくと収納空間に余裕がたくさんできて床面積がどんどん広がっていきました。


モノの住所決めはスーパーマーケットがお手本

収納空間に余裕ができて部屋のあちこちに出ていたモノを置くことができたけれど「モノの住所」はここでいいのかな?

その時にヒントになったのは、スーパー。
初めて行くスーパーでも「コーラ買ってきて!」って言われたらすぐに見つけられるのはモノが、所属ジャンル別に集まって収められているから。

お家でモノの定位置を決める時にはそれが「誰のモノで」「どんなジャンルに属しているか」を考えてチームを作っていくと良さよう!

例えば椅子の足につける傷防止のフエルトや家具を組み立てた時についてきた部品、木製家具のメンテナンス用オイル、トンカチ。
これらは「家族共有物エリア」で「お家メンテナンスチーム」としてまとめて。

こうやってモノがジャンル毎に集まっていったら家の中での探し物も無くなった。
スーパー方式、素晴らしい!


収納グッズよりまず最初に用意すべきモノは自分への優しさ

モノの定位置が決まったら、次は「どうやって置くか」が問題。
置き方一つによってはモノが戻せなくてリバウンドしてしまう。

例えば、ラベリングをするために買ったテプラの機械。
使い終わるたびに箱に戻していたのだけれど、その「箱に戻す」という作業が面倒でついつい出しっぱなしに。

これが、散らかりっぱなしを生む原因!
だからモノはできるだけ簡単に元の場所に戻せるようにという工夫にこだわった。
箱は捨て、トレイを一つ用意。

テプラ本体とカートリッジをトレイにまとめたら、あとは棚の定位置にポン、と戻すだけ。
うん、これならできる!

どんどん地層みたいに積み重なっていく書類は立てて収納。
棚の中も引き出しの中もモノの量を7割くらいにしたらゆとりができて驚くほど出し入れがしやすくなった。


今までは「モノの保管方法」にばかり目を向けていたけれど「出し入れにかかる手間数」を考えて自分が出し入れしやすい方法を考えてモノを収めてみたら毎日無理なく片づけが続けられるようになってきた!

収納方法もとにかく自分ファーストで「自分がやりやすい方法を考えてあげる」というのが大切なことだったんだな。
やっぱり今まではモノのことばかり見すぎていたのかもしれない…。

もし、今私が緊急入院してペットの面倒を見るためにお友達が3日間我が家に泊まるとする。
でもこのお部屋ならモノを戻すべき定位置がしっかりと決まっているから片づけが簡単だし、扉を開けたらモノが一目で眺めることができるから、どこに何があるかを直感的に把握できる。

とても人にフレンドリーなお部屋になっているんじゃないかな?
まさにドイツの奥様の言う「モノを使いやすくスタンバイさせておく空間」だ。
前の倉庫みたいだったお部屋とは大違い!

長く綺麗を保つために効果的だったこと

片づけがしやすい仕組み作りができてから、家を整えるのがだんだん楽しくなってきた!
お部屋の中が整うと何だか心もスッキリしてきて毎日が爽やかな気分。

小さな息子達が部屋をすぐに散らかすけれど、ご飯前と外出前、そして寝る前にはササっと5分だけ片付ける、が自然と習慣になったら片づけが苦じゃなくなってきた。

そうだ、幼稚園の時だって何か物事の区切りの時には「お片づけの歌」を歌いながらみんなで片づけをしていたっけ。
片づけは、溜め込まずに小さいうちにやっつけてしまう方が楽なんだなぁ。

気がつけばリビングは最初に願った「視界に入るのはお気に入りばかりが厳選されて置かれたお部屋」に。

友人をおもてなしする時に使いたいようなグッズを自分自身のために遠慮なく使い、自分を大事に扱ってあげられる空間。
大切なモノばかりだから掃除もしてあげたくなるし、カーテンを開けたり空気を入れ替えたりという当たり前の行為も楽しく感じられるようになった。


片づけが続くためには、「お家が大好きな空間」というモチベーションが大切だったんだね。

ここまでやったことをおさらいすると、4つの段階に分かれてる。

まずは心の整理
「部屋は心の鏡」という言葉の通り、自分が自分をどう扱っているかが部屋の中に反映されている
だから、心模様を変えないとお部屋は変わっていかない。

「これから、私はどう生きていきたいのか」を自分と向きあって決意することが大切。
私の場合は「モノに縛られるのを卒業して自分をもっと大切に扱おう」と決意をしてから次のモノの整理にとりかかった。
だから、私がまず一番最初に捨てたのは「捨てる時の罪悪感」ということ。


モノの整理のポイントは手放しやすそうなモノが入っている収納空間の中から始めること!
思い出の品や趣味グッズみたいな思い入れの強いアイテムはとりあえず1箇所に集めておいて最後に取り掛かる。

今までの自分の買い物癖とか飽きっぽいところとか挫折癖とかがよく見えて辛く感じたこともあるけれど、この「いっぱい手放して痛い思いしたりめんどくさい思いをした」という経験で買い物をする時の意識がガラリと変わった。

成長するために必要な痛みだったんだと思う。

次に仕組み作り
「誰の、どんなジャンルのモノなのか」という目線でモノをチーム分けして収納場所を決め、とにかく自分が出し入れしやすいように手間数を考えて収納する。

収納空間は、モノを溜め込む場所じゃなくてモノを使いやすいようにスタンバイさせておくための場所!
ここまできたらお家の中はかなり片づけがしやすい状態になっている。


最後に、リバウンドしてしまわないようこまめな片づけ習慣を身につけるだけ。

習慣を暮らしに根付かせるには今ある習慣にちょい足しするのが一番。
例えば、朝掃除機をかける時に部屋もリセットする、外出準備をする時に忘れ物確認と同時にテーブルの上をリセットする、夜歯磨きが終わったら部屋のリセットをするなど、今習慣になっている行動にプラスするのがおすすめ。

部屋が生まれ変わって人生に起きた変化

「片づけとは、モノを無駄なく空間に押し込む技術ではなく、
今必要なモノだけを厳選して自分が使いやすい形で
収納空間にスタンバイさせておく技術」

そう知ってから3ヶ月。


家の中の空気感はすっかりと変わり、毎日気分よく暮らすことってこんなに価値があることなんだ!というのを実感することができました。

部屋が整うと目から入るザワザワとした状態が減って頭の中と心が穏やかになったのを実感。
掃除や暮らしのメンテナンスなどのポジティブな活動が増えたから、気持ちも前向きに。

「やりたい!」と思ったことにサッと取り掛かれる充実感とフットワークの軽さが手に入り、楽しい気分でいる時間が増えて、考え方も性格もなんだか明るく優しくなったような気がする。

探し物や家事に費やす時間は減り、二重買いやストレス発散のための買い物がなくなってお金の無駄もなくなった。
掃除や片づけがしやすいからいつでも綺麗を維持できて、気軽にお友達を呼べるので息子達も本当に嬉しそう。

私が片づけ好きになってから夫も大きく変わりました。

私が毎晩夫に「今日はここを片付けた!」「見て!こんなに気持ち良い空間になったよ!清々しい〜!!!」とイキイキと報告する姿を見て夫も自然と自分の私物を見直してくれるようになり…。
片づけは、家族に伝染すると聞いたことがあるけれど本当だったんだ!
(私物を置くエリアがしっかりと決まったので「この範囲内でどう置こうか」と考える機会になったのも良かったみたい)

モノがなくなるというのはせっかく購入した財産を手放すということでは?と心配していたけれど、ガラクタを手放したら「自分を大切にする習慣」というお金では変えない価値が手に入り、心が豊かになり、生き方が変わった

売ったってほんの僅かなお金にしかならないモノにしがみつくより、私や家族が気分よく暮らせる空間の方がずっと価値があることに今更ながらやっと気がつけた。

以前は部屋を片付けて丁寧な暮らしをすることは「頑張ってやること」だと思っていたから、毎日の余裕がない私にはできないことだと思っていた。

でも、ピースが少ないパズルなら難易度が低いように、自分のできるレベルまでモノを減らしてあげたら片づけが毎日難なくできるようになった。

どのくらいまで減らすかも、どんな風に収納するかも「自分が一番やりやすい方法はどれだろう」とモノではなく自分に優しい方法を、と考えただけ。

ただ、それだけのことなのに人生は激変した、と思う。


そして今。
あの片づけから10年近く経って、いつの間にか私は経験豊富な整理収納アドバイザーに。

自分の身と、多くのお客様の変化を見て体感した「片づけの力で人生が変わること」を伝えたくて毎日片づけについて発信している。


モノは大切にしようね。
でもその前に自分の暮らしはもっと大切にしようね。
あなたが気分よく暮らすことに一番の価値があるのだから。



最後まで読んでいただきありがとうございました。
良かったらInstagramなども覗いてみてくださいね。

https://www.instagram.com/fujinao08140814/

整理収納アドバイザーFujinao(フジナオ)でした。

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