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★濁ってる★

誰しもが元カノを思い出す日があると思う。元気にしてるかなぁだったり、今でも俺の事考えてくれてるのかなぁだったり。

25歳初めての夜。今日は誕生日だ。ひとりぼっちの誕生日。いや、あえて1人を選んだと言おう。
高校生の時、初めて彼女が出来た。すごく仲良しだった。お互い名前を僕の健太からとって「けーたん」、彼女の万里子という名前から「まーたん」と呼びあっていた。
カップルによくある二人だけの世界観てやつだ。


そんな初めての彼女に浮気されて別れた。
それ以来彼女は作っていない。そんな最悪の彼女の事を今日に限って思い出す。まだ心のどこかで吹っ切れてないんだろう。
女は上書き保存、男は名前をつけて保存。あれは本当だと思う。

考えれば考えれるほど、気になって気になって仕方ない。悔しい事に元カノの電話番号は手が覚えている。


あれは八年前。彼女は別の高校の学校でも有名な人気者の不良、松本良介と付き合っていた。
みんなから慕われるような男。
なんで別れたのかは聞いてないが、次は全然さえない僕を選んだ。
僕はなんで?って気持ちで人気者の松本良介に勝手に劣等感に苛まれていた。


付き合って二年くらいたったある日。
いつも繋がるはずの彼女の携帯電話が繋がらない。僕はピンときた。
信じている気持ちと、疑いの気持ち半々で彼女の家にバイクで向かった。

すると自転車がない。僕は絶望に見舞われた。
すぐにバイクを飛ばし、松本良介の家にむかった。
彼の家は彼女が冗談で話してきたせいで知っていた。なぜか自信があった。ここにいるって。

家に着いた瞬間彼女の自転車が目に飛び込んできた。目の前が真っ暗になった。ちょうど彼女が玄関から出てきた。
彼女と目があった僕は、そのまま何も言わずバイクに乗って帰ったんだ。涙で何も見えなかった。
目の前の景色が真っ暗で濁ってた。
それから彼女は何度も謝ってきたが、許せなかった。何度も許そうとしたが、許せなかった。




今日はやけに頭が元カノでいっぱいだ。お酒を飲んでるから?いや待て、一滴も飲んでないぞ。
携帯電話をとりだし、番号を打つ。頭では覚えてないのに手が勝手に動き出す。
もう番号変わってるかな?
、、、、繋がった!!

「もしもし?」

変わらないハスキーな声。懐かしい。この声を聞くのは六年ぶりだ。ちょっと涙が出てきた。やっぱまだ好きなんだな。

「もしもし、俺やけどわかる?」

「えっ?誰?」

「俺やん!俺!よく考えたら分かるから!」

「えっと、、、良介?」


END

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