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野球部員の丸刈りを考える(2)

前回は、野球部員の丸刈りルールについてテーマにしました。

一律の丸刈りルールによって毎日頭髪のことを考える必要がなくなり、頭髪のことに使う「ウィルパワー(意志力)」を温存できる面がある一方で、それが他のことの思考停止につながる面がある可能性を考えました。

2つ目は、上記ひとつ目にも通じますが、本人が選ぶことの大切さです。

本来、頭髪は丸刈りにしたければすればよいし、したくなければせずに伸ばせばよいものです。前回考えた通り丸刈りと非・丸刈りには両方にメリットがありそうです。丸刈りを禁止にする理由もありません。理想的には、メリット・デメリットの双方を理解した上で、本人が選べるとよいことだと言えます。

他方で、高校生は未成年者です。判断力は発展途上であり、すべてのことを本人が判断するのは無理もあります。物事によっては保護者や周囲の指導者が本人に代わって意思決定し、指示命令やアドバイスのもと行動することが求められている年齢です。

「なにがなんでも甲子園を目指したい。しかし、自分だけで考えることには限界がある。監督や親からもアドバイスが必要」と考えている選手がいたとして、丸刈りルールを作って強制することが、本人に代わって意思決定したほうがよいことの範囲内・範囲外のどちらとみるかで、このテーマに対するスタンスも変わってくるということでしょうか。

3つ目は、依然として丸刈りのチームが多いということです。

前回参照した記事では、「準々決勝に“非・丸刈り”のチームが3校残っている」とありますが、逆に言うと「丸刈りチームが5校勝ち上がっている」ということです。「丸刈りの頭髪取り決め」をしている野球部は26.4%(前回記事参照)のはずですが、準々決勝の丸刈りチーム構成比率は62.5%(5/8)もあります。この結果からは、丸刈り効果も否定できないのかもしれません。

しかしながら、下記などの点を考慮しなければならないはずです。

・サンプル数が8校分だけしかなく不十分なため、統計にはならない。

・「丸刈りの頭髪取り決め」をしていないチームの部員が、頭髪を伸ばしているとは限らない。前回取り上げたウィルパワー効果などを考慮し、「強制されてはいないものの積極的に丸刈りをしている」可能性もある。この可能性も考慮すると、「丸刈りの頭髪取り決め」をしている野球部は26.4%=実際の丸刈り部員の比率とは限らない。

・「丸刈りの頭髪取り決め」をしていないながら丸刈りにしている部員の中には、本当は頭髪を伸ばしたいものの周りが丸刈りにしているがために仕方なくそうしている同調圧力の結果である可能性もある。

ここでは丸刈り/非・丸刈りのどっちにすべきという結論を出す意図はありませんが、上記のような様々な観点から向き合って考えるべきテーマだと思います。少なくとも、ルールが学生のことを考えてのものではなく、学校や大人の側が「このほうが管理が楽だから」という運営者側の都合で考えた結果であるとするならば、本末転倒ではないかと思います。

このことは、企業などの組織活動でルールを決める際にも、応用して適用できる視点だと考えます。

<まとめ>
相手と目指す目標にとって、何が本当によいかの視点で考える。

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