7月19日の日経新聞で、「リスキリング、身近な話題から」というタイトルの記事が掲載されました。リスキリング(学び直し)という言葉を聞かない日のほうが少ないぐらい、一般的な言葉になりましたが、学び直しの本質について一考している内容です。
同記事の一部を抜粋してみます。
「課題設定力」と「関連づける力」が、これからの環境下ではますます重要であり、高付加価値を生み出す源泉となっていく。ひとつの専門領域や業務で閉じられた空間だけに没頭するのではなく、以前「学際的」と言われていたようなイメージで、他の領域や組織と行き来しながら多方面の知見を有することの意義がさらに高まる。同記事からはそのように感じます。
とはいえ、専門領域を掘り下げることの重要性も変わらないのだと思います。示唆としては、少し前から叫ばれている「学び直し」が専門領域の掘り下げ、それも特定の領域で強調される嫌いがあるが、そのことだけが「学び直し」の対象となるのではない、ということなのだと思います。
7月21日の日経新聞記事「生成AIと経済社会(中) 組織、縦割りからフラットに」では、生成AIの浸透もあって、今後組織がさらにフラット化することが避けられないことを考察しています。以下、一部抜粋してみます。
生成AI全盛となる環境下で、人に期待される主な役割がどのようになっていくのかは想像の域を出ませんが、上記も手がかりにすると次のように言えるのかもしれません。
・これまでは、ある領域について一部の限られた人が持ちうる情報や知識、経験を効率的に集約し、商品・サービスに反映させるために縦割り組織が有効な環境が多かった。これからは、頻繁な組織の変更も含めた柔軟な組織のほうが有効な環境が増える。
・これからは、情報や知識の集約はある程度生成AIが代行できる。よって、業種や職種に関係なく、「学び直し」というより「新たな学び」として、生成AIを使いこなす能力を身に着けることは必須となっていく。
・人への主な期待は、AIによる情報処理の前提となる方針の立案や判断、「情報処理」と「情報処理」をつないだうえでの判断、その結果を反映させて人を動かすなどを、領域の制約なく行うことになるのではないか。その意味では、ジェネラリストの市場価値はますます高まっていくかもしれない。
・生成AIが発達することで、生産性が上がり新たなニーズも増えて、社会全体での付加価値は大きくなっていく。一方で、生成AIは手作業や細かい物理的な動きを担ってくれるわけではない。ホワイトカラーの仕事は一定程度減る一方で、ブルーワーカーの仕事は増えるかもしれない。今後ホワイトカラーからブルーワーカーへの労働移動も考えられる。
前回の投稿で、フラットな組織づくりを方針として掲げている社長の話について取り上げました。今後の環境変化も踏まえた上での、本質的な方針と言えるのかもしれないと考えます。
<まとめ>
縦割り型の硬直した組織より、柔軟な組織のほうが有効な場面が、今後ますます増えるかもしれない。