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肩関節インピンジメントに起因する軟部組織に対する理学療法『肩関節後下方組織編』

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今回は肩関節治療を考えるうえでとても重要な肩関節後下方組織の解剖や機能、そして治療方法について解説していきます。

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◆note概要◆
文字数  :  11,273文字
挿入動画数 : 19動画
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①インピンジメント症候群とは

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なぜ後下方組織が重要かというと、インピンジメント(衝突)に関わる重要な位置だからです。

肩関節治療に携わるセラピストの方はご存じかと思いますが、インピンジメントの中でも、肩峰下インピンジメントや烏口下インピンジメントは肩関節後方・下方の軟部組織が深く関与していると言われています。

ではまず、インピンジメントの種類を大きく3種類に分けてみましょう。
(1)肩峰下インピンジメント
(2)烏口下インピンジメント
(3)インターナルインピンジメント

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次にインピンジメントが発生する要因を確認してみましょう。
この中で(1)と(2)は烏口肩峰アーチ下で腱板や肩峰下滑液包が挟み込まれてしまう現象のことであり、肩関節不安定症や肩峰下の骨棘、烏口肩峰靭帯の肥厚、肩峰下滑液包の肥厚、肩甲上腕関節下方組織の柔軟性低下などが挙げられます。
(3)は上腕骨頭と後方関節窩の間に関節包が挟み込まれるものとされ、投球
障害の一つとして生じることが多いです。

豆知識
インピンジメント症候群とは1972年にNeer testでおなじみのチャールズ・サムナー・ニアー2世が初めて提唱した言葉であり、現在の肩関節外科のバイブルといっても過言ではない論文です。
ぜひ一度、目を通してみてはいかがでしょうか😉
Neer CS 2nd:Anterior acromioplasty for the chronic impingement syndrome in the shoulder: a preliminary report.Bone Joint Surg Am. 1972 Jan;54(1):41-50.

このなかでも”骨頭変位(骨頭中心が関節窩からずれる)”によるインピンジメントが最も臨床現場で遭遇する現象のひとつです。


②骨頭変位(オブリゲートトランスレーション:Obligate Translation)とは

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骨頭変位(オブリゲートトランスレーション)とは局所的な拘縮が生じた際に関節包や靭帯、筋軟部組織が過度に緊張することで骨頭を反対側(骨頭中心の対角線上)に変位させる現象をいいます。

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では、“インピンジメント”と聞いて皆さんがまず最初に思いつく部位はどこのインピンジメントですか?

おそらく
(1)肩峰下インピンジメント
(2)烏口下インピンジメント
この2つだと思います。

それでは実際の骨頭変位によるインピンジメントをみてみましょう。

こちらの動画では内旋運動に伴い骨頭が肩峰にインピンジメントしている動態が確認できます。

余談ですが、インピンジメント評価で烏口突起側や肩峰側へ変位する場合は痛みが伴いやすいのですが、烏口上腕靭帯側に変位する場合は痛みの訴えが少ないように感じます。おそらく軟部組織だからだと推測しています!

ちなみにこの運動の描出はコチラのポジションで行っています。

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ここまでの評価はとても簡単です。
しかし私たちセラピストは評価だけで満足してはいけません。
ここから原因を探し出し治療をしなければいけません。
100%ではないですが確率論でいえば、肩峰下インピンジメントの原因として非常に可能性の高い組織が肩峰の対角線上に位置しています。

では“肩峰(肩峰下)”の対角線はどこでしょうか?

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そうです。答えは下方ですね。
上方に位置する肩峰でインピンジメントする場合は下方軟部組織のタイトネスが原因である可能性がとても高いことが想像できると思います。

次に、もし烏口下インピンジメントが生じた場合はどうしましょう?
そうです。“烏口突起(烏口下)”の対角線に位置する組織を探せばいいだけです!

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答えは後方(後下方)ですね。
前方(前上方)に位置する烏口突起でインピンジメントする場合は後方(後下方)軟部組織のタイトネスが原因である可能性がとても高いことが想像できると思います。

まだイメージがつきにくい方もいらっしゃると思いますのでもう少し細かく解説していきます。

と、その前に骨解剖をおさらいしておきましょう(^^)!

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