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SmartHRの編集軍団がサーキュレーションマーケティングに挑むワケ

ふじじゅんです🍢 この記事は、cmkt Advent Calendar 2020 の16日目の記事です🎅

SmartHRのVP of Marketingである岡本さん @takaokamoto1 が各所で登壇・発信しているように、SmartHRのマーケティング組織は2020年より機能型組織から目的型組織へと移行しています。

そのなかで、2020年7月から、「サーキュレーションマーケティングユニット」(*1)なる組織を立ち上げ約半年が経ち、各所で「その聞き慣れない横文字はなんだ……!?」とリクエストをもらうことが増えてきたので、このアドベントカレンダーの場を借りて解説していきます。

■ 【前提】SmartHRのマーケティング組織について

「サーキュレーションマーケティングユニット」の話をする前に、そもそもSmartHRのマーケティング活動および組織体について解説します。

「マーケティング4P」で整理するSmartHRのマーケティング活動としては、下図のとおり「Product(製品)」と「Price(価格)」をPMM(プロダクトマーケティングマネージャー)が、「Promotion(販売促進)」と「Place(流通チャネル)」をマーケティンググループが担う形となっています。

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そのなかで、SmartHRのマーケティンググループには次の6つのユニットがあります。(人数は2020年12月1日時点)

・リードジェネレーション(9名)
・リードナーチャリング(3名)
・ブランドマーケティング(3名)
・広報・PR(3名)
・サーキュレーションマーケティング(4名)
・データマーケティング(2名)

■ SmartHRにおける「サーキュレーションマーケティング」とは?

シンプルにいうと、コンテンツや場の編集力を活かした取り組みによって、お客さまがお客さまを自然と呼びたくなるような循環型の仕組み(サーキュレーション)をつくるのが、サーキュレーションマーケティングユニットの役割です。

具体的には、3つの構成要素(*3)があります。

①:パーチェスファネルにおけるデマンドジェネレーションの後押し
②:インフルエンスファネルにおけるカスタマーアドボカシーの後押し
③:②→①への循環(サーキュレーション)促進

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記載のとおり、ダブルファネルにおける全フェーズに関わり、他グループとの協働が幅広いユニットです。

例えば、

・オウンドメディアでは、人事労務研究所やPM、PMM、事業開発
・eBook制作では、コミュニケーションデザインやインサイドセールス
・導入事例制作では、カスタマーサクセスやセールス
・ユーザーミートアップでは、カスタマーサクセス

といったようなコラボレーションがあります。

なお上図は、SmartHRのサーキュレーションマーケティングユニット観点で整理したものであり、一般的なダブルファネルと粒度等大きく異るためご注意ください。

■ 編集軍団が「サーキュレーションマーケティング」を担った背景

もともとサーキュレーションマーケティングユニットは、2020年6月まで「メディアユニット」という名称でした。オウンドメディア運営や導入事例、eBookなどのコンテンツマーケティングをメインで担う編集軍団(*2)です。

所属メンバーとしても、僕を含む当時の3人のメンバーはいずれも前職までWeb編集をメインにしたキャリアで、このような業務を得意としていたのですが、編集スキルに特化した業務にも偏っていました。そのなかで、マーケティング組織の一員というよりは「社内の編プロ」的な、少し孤立した立ち位置になりつつあることに課題を感じるように。これは事業から紐解いた目的意識や成果実感を持ちにくいだけでなく、社内でのキャリアも早晩行き詰まるような懸念にも繋がっていました。

しかし、そんな悩みが顕在化しつつあった頃、当初想定していなかったコンテンツマーケティングの思わぬ副産物が、同時多発的に生まれていきました。導入事例やオウンドメディアのインタビュー記事に出演していただいたお客さまからの紹介が相次いだんです

過去を振り返ってみても、積極的な発信や紹介、登壇などに協力いただけるお客さまの多くが、導入事例を起点に親睦が深まった方々でした。お客さまからの紹介から商談にいたったり、時には契約に繋がったりするケースもあります。

つまり、デマンドジェネレーションにおける導入事例やオウンドメディアの取り組みが、カスタマーアドボカシーに寄与し、さらには熱量の高いお客さまの発信や紹介によって次なるデマンドを生みだし、文字どおり「循環(サーキュレーション)」をもたらす仕組みになりうるのではないかという考えにいたったんです。

このように、事業上のメリットを強化しつつ、インハウスエディターのキャリアに拡張性をもたらしうると確信して立ち上がったのが「サーキュレーションマーケティングユニット」です。

■ 体制やToDoのBefore / After

「メディアユニット」時代と「サーキュレーションマーケティングユニット」時代とで、Before / Afterを見比べてみます。

 □ 【Before】メディアユニット

■ ミッション
・コンテンツマーケティングの推進

■ 担当業務例
・オウンドメディア
 └ SmartHR Mag.
 └ SmartHR ガイド
・導入事例
・eBook

■ 採用軸
編集やライティングスキルを活かし、コンテンツマーケティングを推進しうるかが問われる。

 □ 【After】サーキュレーションマーケティングユニット

■ ミッション
・お客さまがお客さまを呼びたくなる、繋がりたくなる仕組みづくり

■ 担当業務例
・オウンドメディア
 └ SmartHR Mag.
 └ SmartHR ガイド
・カスタマーアドボカシー
 └ 導入事例/成功事例/活用事例インタビュー
 └ オウンドメディアインタビュー
・ユーザーミートアップ(CSとの協働)
・eBook

■ 採用軸
サーキュレーションマーケティングを前提に編集やライティング、場づくりのスキルを活かせるか。さらに、編集やライティングなどのスキルだけではなく、目的から逆算してどうスキルを活かすか、自ら拡張するかが問われる。

Before / Afterを見くらべてみると、以前は同じユニット内でも施策ごとの連動性が低く分断がありました。個人事業主が数人いて個別業務を遂行しているような状態です。

一方、現在では、「お客さまがお客さまを呼びたくなる、繋がりたくなる仕組みづくり」というミッションと、

①:パーチェスファネルにおけるデマンドジェネレーションの後押し
②:インフルエンスファネルにおけるカスタマーアドボカシーの後押し
③:②→①への循環(サーキュレーション)促進

というサーキュレーション構造のなかで、特定の業務や手段に縛られることなくフルファネルでの施策や協働に取り組む土壌が生まれつつあります。

■ 今後のサーキュレーションマーケティングユニットについて

これまでのサーキュレーションマーケティングユニットや取り組みについてひとしきり紹介したところで、最後に直近の課題感と今後の展望を記します。

 □ 【1】直近の課題感

目的に照らして組織をアップデートした結果、礎はできつつあり成果も徐々に見えはじめていますが、とはいえ課題も当然あります。

①「循環」を促す戦略的・計画的取り組みと採用

アドボカシーに取り組むだけでは片手落ちで、後述の「アドボカシーコーディネート」のような、循環フェーズの促進が必要です。

一方で、個々のリソースも徐々に不足しつつあります。目的に照らした取り組みと同時にメンバー数が大きく変わったわけではなく、今後取り組みたいこともモリモリだからです。

どのような人材が必要になりそうかについても後述します。

②人員増に頼らない、導入事例社内ニーズへの対応と拡充

「導入事例」については社内でも特に期待値が高く記事数を増やしてほしいという声が上がっています。実際に、導入事例まわりの改善にあたり、11月にセールスおよびインサイドセールスを対象にアンケートを取った結果、全体の総合満足度は5段階で「3.44」と概ね良好だったものの、分解してみた時に課題が明確化されました。

● 記事量にまつわる満足度:2.88
└ 記事の総数:3.16
└ 業種別記事数:2.64
└ 企業規模別記事数:2.83

● 記事質(内容)にまつわる満足度:4.00
└ ストーリー:4.29
└ テキスト量:4.46
└ プロダクトの網羅性:3.24

この中で特に優先度の高い個別の課題は、「業種別記事数」「企業規模別記事数」「プロダクトの網羅性」です。とはいえ人員数も無闇に増やせるわけではないので、創意工夫でこの課題を解決していく必要があります。

 □ 【2】アドボカシーコーディネート(仮)の実践

こちらの図は、サーキュレーションマーケティングユニットにおけるこれまでの取り組みと、今後取り組んでいきたいことを、前述のSmartHRのサーキュレーションマーケティング観点でみるダブルファネルの図にプロットしたものです。

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これまで取り組んできたのは、水色(SmartHRカラー)の部分です。おかげさまでSmartHRの導入事例やミートアップなど、様々な活動にご協力いただけるお客さまが増えてきました。

これらに加えて今後取り組みたいのは藍色の部分、特に「アドボカシーコーディネート(仮)」の実践です。

例えば、「ミートアップによってお客さま同士の横のつながりをつくることはもちろん、よりよい活用方法やアイデアと出会える機会を生む」といった取り組みを、CSやセールス、コミュニケーションデザイン(*4)と連動してできるだけ個社ごとの特性に応じてアレンジし、よりよいコラボレーションを生んでいきたいと考えています。(ちなみに、ここでいう「お客さま」は、ご利用中の方に限らず、現在導入をご検討中の方なども含みます。)

 □ 【3】もしかしたら採用をオープンするかも

上記を踏まえて、まだ求人等は公開していませんが「アドボカシーコーディネーター(仮)」を配置あるいは採用する可能性がまあまあ高いです。

アドボカシーコーディネート(仮)をはじめ、図2の藍色部分(新規施策)を中心に担っていただき、図2内の③の矢印が示すような循環を実現させる役割となります。

ミートアップやコミュニティなど、直接的にお客さまとお客さまをお繋ぎする機会をつくっていくことはもちろん、もしライティングや編集のスキルをお持ちであれば、その場から生まれたベストプラクティスや活用事例などのお客さまの持つナレッジをコンテンツ化していってもらうことで、より良い顧客体験を後押しできると嬉しいです。

そのため、「 #コミュニティマネジメント 」「 #カスタマーマーケティング 」「 #カスタマーサクセス 」「 #編集 」などのタグのうち複数に経験や強みを持つ方、伸ばしていきたい方にご活躍いただけるのではないかと考えています。

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もし、ご覧いただいた方のなかで、SmartHRのサーキュレーションマーケティングユニットについてより詳しく聞いてみたいと気になった方はTwitterでもなんでもいいので、ぜひご連絡くださいませ〜!
(今後のチーム編成次第では、要件変更や、そもそも求人を公開しない可能性もありますので悪しからずご了承ください🙇)

それではcmktな皆さん、また日本のどこかでお会いしましょう! 良いお年を🎍

■ こぼれ話

(*1)
「●●マーケティング」的な新たな概念を作ってドヤりたいわけではありません。SmartHRのビジネスモデルと現状に沿い、自分たちのスキルを最大限活かせて、なおかつユニット名称として適した言葉が何かと考えたときに最もしっくりきたのが、この「サーキュレーションマーケティング」だったに過ぎないのです。なので数ヶ月後、数年後にはまた体制や名称は変わっている可能性があります。

(*2)
SmartHR社内には、マーケに限らず、カスタマーサクセスやカスタマーサポートなど、様々なポジションで編集者や元編集者が活躍しています。そのため、「編集軍団」とひとくくりに表記するのは正確ではないのですが、体外的なわかりやすさ重視で便宜上そのように表記しています。

(*3)
この構造自体は採用マーケティングや採用広報にも活かせるのではないか、また自分としても力になれるのではないかと感じており、そのうちnote等でまとめたいと思っています。

(*4)
コミュニケーションデザイングループ(通称「コムデ」)が手掛ける素敵なツールや素材、ノベルティの数々は、お客さまとの様々な接点においても大活躍しています。カスタマーアドボカシーに取り組むなかで、どのように協働できるか、していくかを追求できるとよりハッピーになりそう!
このあたりの話も、実際に外部発信するコンテンツとするかはさておき、座談会などの形で社内の関係各位とディスカッションできると、それだけでごはん3杯か珉珉の餃子3人前くらいいけそうな気がする。コムデ大好き!

いつもお読みいただきありがとうございます! 笑顔で生きる糧になります😍 今後とも🍢ふじじゅん🍢をよろしくお願いします!