パーソナルトレーナー藤井自伝22
夜の仕事は初体験がたくさん
キャバクラのボーイの仕事を始めて1週間、ようやく仕事にも慣れてきた。
そんな折に店長から
「うちのボーイはシャンパンおろせて一人前だから」
という言葉を頂く。
初めて聞く言葉なのでピンとはこなかったが、先輩アルバイトの動きを見ているとたしかにシャンパンやボトルを勧めているのが見て取れる。
場内指名や本指名のお客さんに対し、あの手この手でシャンパンをおろして売上を上げるのである。
そもそもこのお店では、お客さんが入店10分後ほどになると席にドリンクメニューを持っていく。
俗にお店ではオーダーに入るというやつだ。
なぜ10分後かというと、女の子が席についてある程度話が盛り上がったタイミングだからである。
もっと遅いほうが良いのでは?という声もありそうだが、基本的にキャバクラでは指名が入らない限り女の子は約15分ごとにチェンジしていくシステムだ。
だからそれぞれの女の子がついて10分後、つまりチェンジする5分前ほどにオーダーに入るのである。
これは普通のキャバクラでは無いシステムになる。
このオーダーの要領で指名などのタイミングを見計らってシャンパンを勧めに行くのである。
ここまで出来てこのお店では一人前とされるのだ。
シャンパンは大体が1万5千円から、カフェ・ド・パリのようなジュースみたいなものでも1万円弱である。
今までキャバクラで安く飲んでいた自分にとっては大冒険である。
シャンパンマスター藤井の快進撃はここからはじまる。
続く
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