厳寒2月なのに異常な暖かさ
2月といえば厳寒期だが、異常に暖かい日が数日続いている。秋田では2月の観測史上初めて20度を超えたと、ニュースが伝えていた。電気代も高くなっており、厳寒より温暖のほうが過ごしやすいのだが、異常な暖かさは不安である。また大災害が起こるかもしれない。
異常気象を私が認識したのは、1991年の台風19号だった。長崎県佐世保に上陸した台風は、山口県をかすめて日本海に抜け北海道に再上陸というコースを駆け抜けた。広島市の瞬間最大風速は58.9メートル。家の屋根が飛んだり街路樹がなぎ倒されるなど、私は初めて見る被害の大きさに言葉を失った。厳島神社では国宝級の社殿がバタバタと倒壊した。
この台風はさらに、捲き上げた海水が電線に付着して大規模な停電を起こした。小学生だった娘が学校から早く帰ってきて「断水になるから休みになった」というので、あわてて風呂に水をためた覚えがある。我が家は4階建てのマンションだったので、そう困らなかったが、高層マンションでは、水をくんで部屋まで階段を上がるのに住民が悲鳴をあげていた。屋上のタンクに水を上げるポンプが停電で動かないのだ。
父親が「70年生きているが、こんな強い風は始めて体験した」と言っていたのをなぜかよく覚えている。いま同じ70歳代に私も到達したが、あの台風以来、阪神淡路大震災、東日本大震災、ことしの能登半島地震など歴史に残る地震が頻発している。豪雨による土砂崩れも広島県内で2回も起きた。地球温暖化の影響であることは間違いない。1991年当時は危機感は薄かったがこれだけ災害が続くと、多くの人が不安を抱いている。
自然が人類に警告を発している。戦争が各地で起こり核戦争に発展する恐れもある。コロナも人類を襲う。災害、核戦争、感染症。いま人類が三つの危機に直面している。地球が人類をテストしているのだろう。この課題を解決しなければ人類は絶滅する、と。人類が賢ければ、まずは戦争をやめて一致結束して災害と感染症に立ち向かうのだが、ウクライナもガザも停戦の気配が見えない。
理由は資本主義が行き詰まり、貧富の格差が拡大して人々が分断され、人類の発達原動力であったはずの「協調能力」が発揮できなくなっている。これを克服できるかどうか人類が問われている。このテーマは、いつか改めて論じたい。