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雲の中のマンゴー|#23 スマート農業へ

この物語は、自動車部品メーカーを営む中小企業の若き経営者「沢村 登」が様々な問題に直面しながら、企業グループの新しい未来づくりを模索し新事業に挑戦する「実話を軸にしたフィクション」ストーリーである

Novel model Mango Kawamura
Author Toshikazu Goto

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第23話 「第4章~その3~」

2020年10月初旬、季節は秋模様になってきた。しかし、マンゴーハウス内は温度35℃と高温である。シーズンオフではあるが、この時期の作業も重要であり、施肥・誘引直し・灌水チューブ掃除と詰まり水量の確認など、日々休まることがない。事務所から一番遠いハウス内で黙々と作業を進めていると、遠くから「か細い声」が聞こえた。だれか対応するだろうと思い作業を続ける。

「沢村さーん!」
「沢村さーん、いますかー!」

「どちらさん?」

不愛想な白髭の男性が急に現れ、杉本緑は背筋を伸ばした。

「あ、すみません!(株)静岡ヒューマンサービスの杉本と申します。あっ、あれ?先日のイベントでホーププラザの長谷川さんと仲良くしてた方でよね?」

「えっ、貴女もいたの?あそこに。」

「えぇ、あのイベントの企画運営をやっていました。」

「そうですか、それは失礼。少しお待ちください、沢村は奥のハウスで作業していると思いますので呼んできます。」

5分後、沢村登が現れた。

「あらら、どうも!先日はお世話になりました。イベントは大成功でしたね!あのイベントの後、何人かのお客様から来年のマンゴーの予約をしたいと直売所に連絡があったんですよ、嬉しかったなぁ~…笑」

登が杉本緑と挨拶を交わしている時に、少し後ろで二人の男女がブツブツと会話をしていた。

「いきなりスマート農業化は無理かもね。ハウス内は綺麗なようで、まだまだ十分ではないようにも見えるし、基本的なことは確認が必要ね。」

「それでも、聞いた話だと企業グループの持続化のために新規事業として農業進出をしたようだし、SDGsとしての目標も掲げられるのではないかな。」

なにやらスマート農業やSDGsなどとつぶやいているようだ。

「杉本さん、こちらのお二人は?」

「こちらは農業界で有名な、ICTとIOTの推進をご夫婦でやっている秋山さんです。」

秋山夫婦がマンゴーハウスを訪れるキッカケは、登が、杉本緑と渡辺親彦が担当するアイディアバンク事業に企業登録をして、会社グループの状況と問題を登録しておいたからだ。内容は、現状課題よりもマンゴーハウスの未来の問題テーマであるスマート農業化にフォーカスした内容にしておいたからである。

▼クロスストーリー「アイディアバンク」

その夫婦は、互いに農業者支援の会社を営んでおり、夫の秋山好之(よしゆき)がICTを駆使したソフト的なサポートを、妻の秋山真子(さなこ)はIOT技術によるハード的な農業推進と、誰にでも優しい農業環境づくりであるユニバーサル農業化の支援をしており、それぞれの視点からスマート農業を具現化している。そして、ICTとIOTを融合させたスマート農業の企画アイディアをアイディアバンクに登録していたのだ。

そしていきなり、秋山直子が登の栽培管理方法や経営に口出しをしてきた。

「沢村さん、センサー工場の管理とは違い農業は大変でしょ。農業を続けられますか?」

んん、なんなんだこの女性は。。
正直、あまりいい気はしない。が、ここから登のスマート農業への道が加速していくことになる。

本章では、2021年度のマンゴー販売において応援していただいた事業者様を実名でご紹介させていただきました。この場を借りて御礼申し上げます。ご協力、応援まことにありがとうございました。

#24に続く。


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