発芽そば発酵エキスができるまで!不二バイオファームの独自製法
私たちは、自社農園で水耕栽培しているそばの新芽から「発芽そば発酵エキス」を作っています。今回は、発芽そば発酵エキスの製造工程をご紹介します。そばの新芽を搾汁して得られる青汁を凍結させた後、解凍しながら発酵させる独自の製法で、発芽そば発酵エキスは完成します。
豊富な機能性成分を蓄えているそばの新芽
発芽して間もない植物の新芽は、成長のために必要な成分を蓄えています。近年、GABAを含む発芽玄米、スルフォラファンを含むブロッコリースプラウトなど、機能性成分を持つ新芽野菜が注目されています。
そばの新芽には、ルチンというフラボノイドが豊富です。いわゆる蕎麦と聞いて思い浮かべる成分ですが、発芽したばかりのそばの新芽には、そばの実(蕎麦粉)よりも多くのルチンが含まれています。ルチンのほかにも、そばの新芽は、茎に見られる色素由来のアントシアニン、オリエンチンやビテキシンといったフラボノイド化合物などを含有すると報告されています(※1)。
1996年、不二バイオファームは大分県にある海洋牧場の協力のもと、富士宮市の自社農園でそばの新芽の水耕栽培をスタートしました。初回の記事でご紹介したとおり、2002年以降は、そばの新芽から発芽そば発酵エキスを製造しています。
不二バイオファームが製造する発芽そば発酵エキス
発芽そば発酵エキスができるまで
発芽直後のそばの新芽。茎の赤い色素がアントシアニン
それでは、発芽そば発酵エキスの製造工程をご紹介していきましょう。水耕栽培で育てているそばの新芽は、富士山の伏流水に根を張ります。まず、育苗室という暗室で土の中にいると錯覚させて、発芽を促します。次に、日の当たるハウスで茎が10~15cmに伸びるまで育てます。写真のとおり、茎は赤い色をしています。この赤い色素が、そばの新芽に含まれているアントシアニンです。
そばの新芽の青汁。約10kgのそばの新芽から約1リットルが作られます
手作業で庖丁を使って収穫したそばの新芽から根・種がら・大きな線維分を取り除いた後、搾汁機で青汁にしていきます。約10kgのそばの新芽(不二バイオファームで出荷している100パック相当)から、約1ℓの青汁ができます。そばの新芽にはトロリとした食感が少しあるのですが、青汁にも若干のとろみは残ります。
青汁は、約3日かけて完全に凍結させます。完全凍結は発酵に欠かせないプロセスの一つ。雑菌の増殖を抑えつつ、低温下でも仕事を進めてくれる乳酸菌の発酵を待ちます。「発酵」と「腐敗」を分けるポイントです。
発酵の様子。一定の温度で自然解凍するのがポイントです
凍結させた青汁は一定の温度下で解凍していきます。解凍の進行に気を配りながら、種菌として乳酸菌を添加します。発酵は溶けた部分から徐々に進行していき、解凍が進むにつれて乳酸菌の働きは活発になります。pHを確認しながら発酵の進み具合を確認。約2週間で発酵が完了します。
発芽そば発酵エキスには、ケルセチンというフラボノイド化合物や乳酸菌菌体成分といったそばの新芽にはない健康機能性成分が含まれています。青汁が青臭いのに対し、完成した発芽そば発酵エキスは甘酸っぱいフローラルな風味が特長です。
上品な風味のそばの新芽を“名脇役”として食卓に
そばの新芽のトーストサンド
そばの新芽のサーモンサラダ
今回、発芽そば発酵エキスの製造方法をご紹介してきましたが、そばの新芽は料理の脇役としてもおすすめの野菜です。クセのない上品な風味のため、メイン料理の引き立て役としても活躍しています。
軽く洗って鰹節とめんつゆをかけるだけでお酒のつまみに
そばの新芽は軽く洗ってそのまま食べてもおいしくいただけます。鰹節とめんつゆをかけるのが、私のイチオシです。お酒のつまみにもなり、日本酒とよく合います。静岡では、おいしい日本酒も製造されています。こちらについては、次の機会にご紹介させていただきたいと思います。
※1 学会誌『日本食品工業学会誌』 2002年 「ソバ地上部の生育ステージによる抗酸化能とフラボノイド組成の変動」 安田俊隆、正木和好、柏木隆史
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