Fichronicle #33『透明色の記述』

2020年12月14日(月)

空気がひんやりする。空気が速いスピードで僕の体を時折通りかかる。ますますこの時期らしくなる。
でもこの時期だからこその良いこともある。空気がひんやりしてるからか、息を吸うと透明感のある澄んだ空気がする。
空気が美味しいと言うのだろうか。今の僕には分からない。でもこの空気が僕は好きなんだ。時間のある日にこの空気を楽しむ為に散歩へ行こうか。

2020年12月15日(火)

今日も空気はひんやりとしてる。息を自分の手に当てようとすると、それが伝わったときには僕の体温ではなく、この世界を包む空気の温度になっていた。これはこれで面白い。新発見だ。

2020年12月16日(水)

好きな女優さんの連続ドラマの放送日。今回も面白かった。お家に照明が多いということに初めて気づく。「結婚しよう」のセリフが僕の中でとても印象的で、すっっっごくときめく。ときめくとほんとに。

2020年12月17日(木)

今日はぽかぽかしていていい天気だ。窓際で日向ぼっこするにはちょうどいい。日向ぼっこをするのはいつ以来だろう。この部屋にも暖房は付いているが、日向ぼっこも良い。

2020年12月18日(金)

帰りにパン屋来た。パン屋よく来る。お腹が空いてしまうんだ。おやつを買いに来たとかそんな感じだ。
今日はカレーパンとベーコンパン、それにチョコ味のクロワッサン。ベーコンパンはいつも食べてる気がする。
美味しいものは何度食べても美味しい。

2020年12月19日(土)

夜6時。この時期のこの時間はもちろん月が黄金色に輝いている。
なにをするのかというと、散歩だ。散歩へ行く。お気に入りのコートを羽織り、靴を履き、親に「散歩へ行ってくる」とひと言言ってからドアを開けた。
ああ、やっぱり空気はひんやりしてる。だけど、空気が澄んでいて気持ちが良い。ほとんど車も通らない。いるのは街灯と僕。僕の動作から起こる音が辺りの響いているような気分になるくらい周りは静かだ。
ちゃんと人家はある。数えきれない程に。でもその音は僕のいる路上にまでは響かない。きっと防音の設備がどこの家もしっかりしているんだろう。

車が一台通った。オレンジ色の暖色の明かりを灯す鉄の塊が僕の横を通った。車が通ったことによる空気の動きが僕の方へ来る。少しひんやりの度が一瞬だけ増した。
夜空が気になって空を見上げた。月が輝いていた。出かける時に窓から見てたけど、なんだか自宅で見るのはとはまた違った趣きがある。趣きがあるって言いたいだけ。あまりよく意味は今のところ理解していない。
夜空は月だけではない。火星や金星、名前を知らない無数の星がそこで煌めいていた。僕が見たかったのはこの星空なんだ。綺麗だ。星は綺麗だ。どれだけ見ても魅了される。
せっかくだからとスマホで夜空を撮った。時計を確認すると時刻は19時。そろそろ帰ろうか。

家へ着いたのは19時35分だった。

2020年12月20日(日)

音と香りは過去を思い出す存在の一つだと感じた。音楽を聴いて“あの時”を思い出した。香りを感じて“あの時あの場所で何をしていたか”を思い出した。小学生の頃だ。僕は小学生の頃を思い出す機会が多い。
今日もまたそういう日だった。

機材代に使います