綿の原イリュウジョンと愛のセレナーデ by Richad Clayderman

 リチャードクレイダーマンのピアノ曲は 一時期とても流行った。
王子様のような容姿に 華麗で繊細なピアノ曲
ピアノ本は 何冊も出た。

 私は 彼のピアノ曲本を3冊買っている。
しかし、私の弾くのは 彼の最も有名な曲「渚のアデリーヌ」ではなかった
なぜか? 私のプライドなのか、有名な曲や華やかな曲は いかにもリチャードクレイダーマンを弾いてます!というのが 嫌だった。
当時、私は「Nostalgy(郷愁)」や「Marriage D'amour(夢の中の結婚式)」それに「A Comme Amour(秋のささやき)]等 有名でない哀愁をおびた曲に魅かれた。

最近「8番目・綿の国星」を 本棚にみつけ私は買っていたのを 思い出した。
これは長年 開かれずにしまわれていたものだったが ピアノを再開した時、ようやく目に留まったのだのだ。

【演奏アドバイス】によると、人気アニメ「綿の国星」のテーマ曲を集めているらしい。

 私は 人気アニメの「綿の国星」を知らない。
この楽譜本自体 相当前に買ったようで、買った頃の記憶が全くなく、人気アニメ「綿の国星」の名前もその存在があったことすら、私は知らない。

だから、私の中では「綿の原」というのは きっと綿を栽培している広い畑のことで、黒人労働者が働く「黒人霊歌」を曲にしたのでは?と、思ったほどだった。
「綿の原イリュウジョン(幻想)」なので、「綿の国星」より壮大である。
前奏曲の出だしが リチャードクレイダーマンの悲哀に満ちた曲に よく使われる「少し重苦しい旋律ではじまるこの曲が 私に【黒人霊歌】だと思わせてしまったようだ。

 この曲の魅力は 終始一貫して同じメロディーが 続くことだけど
はじめは旋律の単音弾きからオクターブになり そしてユニオンからオクターブ・ブロック・コードという具合に、だんだん難しくなっていく。
が、かたや左手の伴奏は 同じ旋律がくりかえされている。曲が進むにつれそれなりの難易度はあがるが、メロディーと共に 繰り返しの旋律が 感情を盛り上げるには最適なものだ。

【演奏法のアドバイス】の中に 書かれているように 右手薬指に注意しながらつねに最上音を 際立たせる手法を用いると、とても 感情をこめて弾くことが出来る。
左手の旋律と右手の旋律を うまく組み込むように合わせられれば とても弾き甲斐のある趣の曲で、今私は ハマっている。

 それに反して「愛のセレナーデ」は 元はショパンの曲だが、彼がむつかしくなく、それでいてこの曲のイメージを壊すことなく編曲してくれているので、感情をこめて弾くと、最後に最高に熱いため息が 「フーッ!」と 口から洩れるほどの気持ちよさを 感じることができる。

 一日のなかで、昼の休憩の後 私はいつも熱いコーヒーを飲みながら、 自分の身体と気分に 問いかける。
「今日は 何がいい?」「なんの気分?」って!
すると、「今日は ピアノ、それも✖✕が弾きたい!」とか「今日はあの本が読みたい!」等、答えてくれるので、その気持ちに素直に沿うことにしている。

ご近所では 相変わらず三味線の練習がはじまっている。とても 熱心な方だなあ、と聞くたびに感心している今日この頃です。

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