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2期目の振り返り


総括

まず簡単に自己紹介ですが、20室程度のホテル(自社ブランド)と1軒の古民家ホテル(他社ブランド)の受託運営をしつつ、別事業としてDX支援を行っている2期目(2023年現在)の会社です。

1期目は、パート・アルバイトの方は居るにせよ個人事業主みたいな感じで走り抜けました。コロナもまだ明けていなかったのでそれほど人手も要らず、日中はホテルの清掃をし、夜間はチェックインを受けながらDXの仕事をする日々でした。

しかし、2つの理由から2期目は本格的に採用に舵を切ることとなります。1つ目は、コロナが終息に向かい出したことです。昨年の年末ごろから徐々に国内外の旅行者が動き出し、今はもうコロナ前の2019年比と同じくらいの水準になっています。それに伴い、ホテルの運営・清掃の人員が必要になりました。2つ目は、DX事業を拡大させるためです。私がいつまでもホテルの現場に入ってしまっていてはDX事業に割く時間が限られてしまう為、私の手を空ける必要がありました。

そういった理由から採用に舵を切ったわけですが、本当に採用に苦戦した(多くの学びを得た)1年だったと思います。今回はその中での意思決定を振り返りたいと思います。※①「捨てたもの」、②「守ったもの」、③「得られたもの」の3つの観点で書いていきます。

良かった意思決定

「"人を増やす"というのを決めたこと」

従業員を増やすということは、固定費が上がることになります。『ホテル業なのでシフト量の変動は許してね』という期待値調整を面接時にはしてはいるものの、それぞれの方には生活があるのでいきなりシフトを全カットするわけにもいきません。そうなると、もし万が一また緊急事態宣言など出ようものなら、企業としての体力はどんどん削られてしまいます。一方で、誤解を恐れずに言えば、業務委託など雇用契約よりも有事の際に調整がしやすい人の増やし方はあります。ただ、業務委託だろうが稼働を削ってもらうことの辛さは前職で経験していたので、そういう保険をかけることはしませんでした。

リスクのある選択ではあったものの、結果としてあのタイミングで人を増やすことを決めていなければ、ホテルの運営は立ち行かず折角の観光需要の戻り局面を無駄にしてしまうところでした。

この意思決定において、①「捨てたもの」は"1人1人に過労働をしてもらって耐える"という従業員への甘えで、②「守ったもの」は"観光業をもっとも魅力的な産業に"という弊社のパーパスで、③「得られたもの」は"採用と育成における多くの学び"です。

「有料媒体を活用したこと」

まず、今年3月から某アルバイト求人媒体の利用を始めました。それまでも無料の媒体での募集はダラダラとやってはいたものの、月の応募は1件あるかないかで、そこから採用に至ることはほぼありませんでした。この媒体を使うことになったのは知人の経営者(店舗型のビジネス)からのどれくらいの費用対効果が見込めるのかを事前に伺うことができたからです。

前職で共同経営していた際には、社会人経験のあるパートさんを募集することはあっても、学生アルバイトさんを募集することはありませんでしたので本格的な有料媒体を使ってのアルバイト採用は初めての経験でした。

結果として、ある程度まとまった採用人数を短期に確保することができ、有料求人媒体の投資対効果の肌感を掴むことができました。

この意思決定においては、①「捨てたもの」は"待つ"という選択肢です。改めて、市場はIMP(インプレッション:目にされる数)×CVR(転換率)だと思いました。そもそも求職者の目に触れないことには始まらないということを痛感しました。②「守ったもの」は、"ベンチャー・スタートアップは学び(失敗し)続けないといけない"ということです。私はただのひよっこ経営者です。沢山失敗し、学び、成長しないといけません。大企業と同じ戦い方をしていてはいけません。③「得られたもの」は、"さらなる採用費投下の為の学び"です。後述しますが、10月から中途正社員向けの求人掲載を始めます。その前段で、アルバイト求人で有料掲載を試せていたことが後々良い結果を手繰り寄せる布石になりました。

「譲れないものを決めたこと」

中途社員の採用は本当に悩みました。1号社員というものを重たくとらえすぎていたかもしれません。ある社長に言われました。「1号役員は拘った方がいいが、1号社員にそこまで拘らなくてもいいのではないか」と。またある社長には「良い人がいないなんて甘いこと言ってないで、とりあえず手足として動くヤツを集めればいいじゃないか」と。またある社長には「ベンチャーの初期は全員死に物狂いで働かないといけない。そいつのことを(誤解を恐れずに言えば)コキ使えるかが大事だ」なんてことも言われました。正しい決断なんてものはありません。"強い決断"をしたら、あとは正解にするしかありません。

Wantedlyのストーリーには、「誰に同じバスに乗ってもらいたいか」など自分が採用に関して考えていることはつらつら書いていました。とは言え、自分が理想とするようなカルチャーマッチ・スキルマッチをすべて満たす人と巡り合うのはいつになるかわかったものではありませんでした。

では、「最終最後、何が譲れないのか」を考えました。結論としては、"どうしたら後悔しないか"を軸に考えました。仕事ができるかどうか、仕事がしやすいかどうか、はやってみないとわからないことは多々あります。どれだけカルチャーにマッチするかも、面接時に口では良いことを言っていても実際は全然違ったなんてことはしょっちゅうあります。。だから、「良い人か」「一緒に飲みに行きたいと思うか」「応援したいと思うか」みたいな直観を最後の決め手にしました(笑)

どんな結果になったとて、上記を大切にして採用を決めたなら自分は後悔することはないだろうと思っています。※1号社員は決まりました~

この意思決定において、①「捨てたもの」は"拘り続けること"です。自分の理想に固執していたら今も正社員は0だったと思います。とは言え、妥協したつもりは一切ないです。ここから正解にします(1号社員になってくれた方と一緒に正解にしていきます)。②「守ったもの」は、"企業成長への拘り"です。個人事業主(を否定するつもりは一切ないですが)になりたくて独立したわけではないです。この業界の課題を解決したいと思っています。だから、「良い人がいないからこのままの企業フェーズでいいや(=業界課題を先送りにする)」というわけにはいきません。理想を抱いて溺死するわけにはいきません。③「得たもの」は、文字通り"大事な仲間"です。

悪かった意思決定

「採用後の仕組みを整えずに採用を進めたこと」

前述したアルバイトの求人媒体は、結果的に計3回募集することになり、1回目と2回目は完全に失敗しました。1回目は、求職者の方を厳選しすぎた結果1名しか採用ができず、それなのにその方も1週間で退職してしまいました。2回目は、概ね採用目標人数に達したのですが最終的には6分の5名が退職してしまいました(そのうち4名はオリエンテーションのみ実施し、一度も勤務することなく退職)。

何度も失敗したこと自体は(反省はすれども)問題ではありません。むしろ懲りずに続けたおかげで、3回目にして漸く一定数の定着を図ることができました(ほんとに三度目の正直)。

問題はその中身で、その中でも「採用後の仕組み」は設計が甘かったです。1回目の方は、採用後即OJTに入り、育成担当者も決めておらず、育成内容も決めておらず、"ただ何となく仕事を手伝ってもらう"みたいな感じで勤めていただいていたところ、急に来なくなってしまいました(親元を離れて1人暮らしをしており、欠勤が続く直前に体調不良を申し出ていてコロナも再燃していた時期だったので純粋に心配で家を訪ねたところ、「家にまで来ないでください。ストレスしかありませんでした。もう辞めます」的なことを言われました...。)。

2回目のグループは、1回目の反省を活かし、いきなりOJTをするのではなくオリエンテーションを実施することにしました。ただ、(理由は定かではないですが)ほとんどが辞めました(汗)。個人的には、オリエンテーション実施したのが現場の方ではなく私で、私の圧が強かったのかなと反省しています...。

3回目のグループはなんとか定着はしたものの、立ち上がりにはかなり個人差が出てしまいました。どんどん良くなっていく子、一定のところで伸び悩んでしまう子、etc.。基本的には学生の子たちなので、学年が変わるにつれ今後は入れ替わりもしていくと思います。採用⇒育成⇒卒業⇒採用の循環に入ります。そうなってくると、早期戦力化(オンボーディング)が今後のキーになってくると思っています。まだ少し先ではありますが、定着および早期戦力化の為の仕組みは今後整備していかねばなりません。

「採用計画を明確にしなかったこと」

結果的には、採用領域においては7-80点くらいの満足度になったわけですが(人材要件という意味ではなく、単純に人数やポジション充足率の意味で)、もっと確りKPIを設定して計画的に進めるべきだったなと反省しております。

前述の中途社員向けの媒体は、ダイレクトリクルーティング型(PUSH型)の媒体を選びました。また、誰しもが知っている媒体ではなく、ベンチャー気質の方が比較的多く登録している媒体を選びました。会社選びには4つの軸があると言われています。(1)Philosophy(理念への共感)、(2)Profession(やりたい仕事)、(3)People(仲間や文化)、(4)Privilege(年収や待遇)。PULL型(掲載してあとは募集を待つタイプ)は、基本的には上記の4つの軸の中でも特に(4)の検索条件に引っかかった上で、知名度勝負になります。一方で、PUSH型(スカウト等を企業側から送るタイプ)は、仮に提示する年収や知名度がなくても興味さえ持っていただければ一本釣りをすることができます。

PUSH型の採用(営業・マーケティング)で大事なのは"THE MODEL"です。母集団形成から、面談、面接、採用、内定承諾、入社に至るKPI(目標数と歩留まり目標)の管理・実行です。これがほとんどできていませんでした。ノリでやってしまっていました。「いつまでに何人採用する。その為には、何人の母集団形成をしなきゃいけなくて、その後の面談到達率を何%にしないといけなくて、・・・・」みたいな設計です。

この辺りをもっとメリメリやっていくべきだったと反省しています。

「DX支援事業の採用におけるプランBの不足」

「無理して(妥協して)まで採用してもいいことはない=採用が目的化してしまう」「採用よりも緊急重要領域の仕事でてんやわんや」などの言い訳はいくつかあるにせよ、「良い人が採用できなかった場合のプランB(代替案)」が作れていませんでした。

一応、正社員の採用が進まなかった時の為に、業務委託契約を結ばせていただいた企業様やフリーランスの方はいたのですが、結果として上手くワークしませんでした。理由としては、全員フルリモートだったからです。正確には、「型化されていない業務」×「フルリモート者をマネジメントするスキル・仕組みの欠如」×「完全に自走可能な人材ではなかった」ことが原因です。「これやっておいて」と気軽に触れる仕事ではなく、だからと言って私が(対面ならまだしも)べったりと伴走できるわけでもなく、"仕事をタスクに分解し、工数を正確に見積もり・マネジメントし、適切に報連相までを完璧にこなしてくれるような方"でもなかった(それに見合う対価を払えなかった)、ということです。

前述の通り、「企業成長への拘り」は持たねばなりません。「良い人が採用できなかったから事業がスケールできなかった」というのはただの言い訳です。良かった意思決定の中にその拘りを挙げはしたものの、もっと拘らなければなりませんでした。特にDX支援事業においては。

「この手法では母集団形成ができない」のであれば、もっと色んな手法を試すべきでした。コイキングのようにビチビチとジタバタすべきでした。また、これもある社長さんに言われたのですが、「そんなめったに良い人がいないのは俺もわかってるけど、もしそういう人が現れた時に百発百中で口説く自信あるの?」と。おっしゃる通りでした。仮にCVRが100%だとしたら、多くの母集団形成をする必要はありません。知り合いづてでもなんでも良い人を探し出して、本気で口説けばいいだけです。そういった二の手・三の手が打ててなかった、準備ができてなかったのは今期の反省です。

結び

起業してからあっという間の2年間でした(正確には1年8カ月)。
起業は、10年で90%が消えると言われています。
「その企業の1年後を知りたければ『営業力』を、3年後を知りたければ『商品力』を、10年後を知りたければ『採用力』を見ろ」と言われます。
弊社の10年後の未来を作るのは『採用力』です。今年学んだことを活かし、『採用力』を磨いていきたいと思います。

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