マガジンのカバー画像

養生する方へ

10
疾病を治して健康を手に入れる西洋医学的発想ではなく、健康へ向かう身体や思考になる養生的発想や方法に関わる情報を発信していきます。出典など根拠となるところは示しますが、理解が間違っ… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

四季の養生(春)

私は、春はもちろん好きなんですが、冬から春へ変わるタイミングが 一番身体的には変化を感じるので、しっかり養生をしておきたい季節です。 春の3か月は、発陳というそうです。万物が芽吹くときです。人も動き出します。生じてくるものを殺さないことが大切とあります。これに逆らうと、肝を傷つけ、夏に冷えの病になりやすく、夏に生を長じることができないそうです。心身ともにのびやかに過ごすことが大事です。 春養生のポイントは2つ。 ①「風邪」を防ぐ。 春一番と言いますか、春の風に気を付ける。

休養生について

 休養生は、休息と活動のバランスを意識して生命を養うこと。  休養生で心がけること 〇質の良い睡眠:夜は気を蓄え、血を作る。午前0時までには就寝し、太陽が昇る頃に起きる。 〇入浴・半身浴・足浴:お湯につかることで、冷えやストレスによって生じた体調の乱れを整え、心身を回復に導く。湯舟につかることで、身体を温め、リラックスできる。 〇自然に触れる:五感を喜ばせ、生命力を高めることができる。太陽(陽気)を浴びて「気」を養うとともに、季節の色彩を楽しみ、自然の音に耳を傾け、匂いを感

動養生について

 基本は、古代の「導引吐納」にある。これは、呼吸と身体を動かす動作を同時に行う運動養生法のことである。  動養生の特徴として、自分で努力する必要があり、効果があらわれるのに時間がかかることがある。  身体を積極的に動かすことで、気血をめぐらせ、生理活動や自然治癒力をたかめ、運動器(筋肉・骨・関節・感覚器・神経・脳)の衰えや障害を防ぐことにつながる。  動功・気功の一種(六字訣、五禽儀、易筋経、八段錦が四大動気功)。太極拳は、気功の要素をもつ挙法。  動養生で心掛けるこ

心養生について

養生四要を確認しよう。(これはあとで…)  心養生で心掛けることは、「少私寡欲」「調摂情志」「順応四時」「抑目静耳」とされる。 「少私寡欲」は、私心、嗜好欲をおさえましょう、ということです。神気(精神・意識に関わる気)が破られ乱れるとあります。 「調摂情志」は、健康を損なわず長生きのためには、五志を安定・調和させることが大切とあります。 「順応四時」は、神気を四季の変化に合わせられると、静かな状態に置くことができるとあります。 「抑目静耳」は、目と耳は、神気が外部の

「漢方」とは何か

 ある漢方薬局の漢方講座の初級を受け始めた。「養生」という考え方に惹かれたからだ。「治療」という考え方は、人の身体に正常を想定し、悪くなり異常な働きをしている部分を改善し、正常に機能する身体に戻そうという発想と言えると思うが、「養生」は、人の身体のプロトタイプを想定せず、その人その人にとっての身体と環境との最適解を見つけ出そうとする発想と感じた。その身体が現在病んでいる身体であっても、老いた身体であっても、その人にとっての最適解を導きだす発想。それは、アントノフスキーの「健康

養生訓目次

下記が養生訓の目次 目次  巻1 総論上  巻2 総論下   巻3 飲食上  巻4 飲食下     飲酒     飲茶     慎色欲  巻5 五官     二便      洗浴  巻6 慎病     択医  巻7 用薬  巻8 養老     育幼     鍼     灸法   参考:貝原益軒(松田道雄訳) 2005 「養生訓ほか」 中公クラシックス

Vol4 首尾一貫性感覚(SOC;sense of  coherence)について

 前回紹介したアントノフスキーの健康生成論の要の概念であり、究極の健康要因とされるのが、首尾一貫性感覚(SOC;sense of coherence)である。 SOCは、自分の生きている世界(生活世界)は首尾一貫している、つまり、筋道が通っている、腑に落ちるという感覚である。p479 3つの確信からなる、その人の生活世界全般に対する指向性である。p482 3つの確信とは、把握可能感、処理可能感、有意味感である。 一見類似する概念がいろいろある。例えば、自己概念や能力

Vol3 アントノフスキーの健康生成論 ・SOC

 今日はアントノフスキーの健康生成論・SOCを紹介します。『健康の謎を解くーストレス対処と健康保持のメカニズム』(有信堂)という日本語に訳されたアントノフスキー著の本もあります。今回は山崎喜代比古監修『健康生成力SOCと人生・社会ー全国代表サンプル調査と分析』(有信堂)を参考にします。  私たちは病気になるとその原因を取り除き、再び健康を取り戻そうとしますが、アントノフスキーやそうした考えを疾病生成論と呼び、健康生成論という新しい健康に対する考え方を提唱しました。アントノフス

Vol 2 「運」とは何か

「運」がよかった、とか、悪かったとか、ついてる、ついていない、とか、偶然性に強く委ねられるので、何ともしがたいものとして、人生航路に影響を与えるもののの代表格のようなものと私なんかは捉えていますが、桜井章一さんという方の「運に選ばれる法則」(宝島社)という本を読んで、雀鬼は運を感じ、捉えて、活かしているんだなぁとびっくりしたので、その本をご紹介したいと思います。養生と関係なさそうですが、それが人生を左右する存在とあれば、健康と天秤にかけたとき、辛苦が控えられ、体にムチ打った努

Vol1 楽訓(貝原益軒)

貝原益軒の「楽訓」の巻上総論の簡単な紹介をします 楽訓の巻上総論の項目は下記のとおり 1人の道 「人身は得がたし。空しく過ごすことなかれ」 2楽しみとは 草木の成長してやまぬように、わが心にも天機が生きてやわらぎよころぶ勢力の絶えないものがある。これを名づけて楽しみという 3楽しみは内にあり すべての万物の生きる心をのたえてやまぬのを賞し愛でれば、かぎりない楽しみである。これに向かうと心開き、情けよく、道心を感じ、よろこびおこり、物を惜しむ心を洗い去る。これを天機に触発する