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Vol4 首尾一貫性感覚(SOC;sense of coherence)について

 前回紹介したアントノフスキーの健康生成論の要の概念であり、究極の健康要因とされるのが、首尾一貫性感覚(SOC;sense of  coherence)である。

SOCは、自分の生きている世界(生活世界)は首尾一貫している、つまり、筋道が通っている、腑に落ちるという感覚である。p479

3つの確信からなる、その人の生活世界全般に対する指向性である。p482

3つの確信とは、把握可能感、処理可能感、有意味感である。

一見類似する概念がいろいろある。例えば、自己概念や能力概念。セルフエスティ―ム(自尊感情)やセルフエフィカシー(自己効力感)、統御感など、自己価値や自己能力に関する感覚である。

SOCとそれらとの大きな異なりは、信頼のおける他者や環境の存在が極めて重要である点である。つまり、SOCでは、周囲の人々や環境とともにある自己が想定され、その人の生活世界を構成する自分と、自分以外のそれら周囲の人々や環境などへの信頼、あるいはそうした環境下で自分は生きているという確信に光が当てられているのである。p487

だから、「能力」というより、「能力」の基礎や源となる「健康への力」と理解するのがよいのではないかとしている。p486

生活・人生の質は、主観的QOL、主観的well-being、生活・人生満足度などによって、また、自己と生活・人生の再構築は、ストレス関連成長や逆境下成長とその類似概念である。近くされた肯定的変化などによって、測定評価される。慢性疾患と生きることを余儀なくされた人々において、彼らの自己と生活・人生の再構築や病いある生活・人生の質の改善・向上に対しSOCが予測力を有すること、SOCはそうした自己と生活・人生の肯定的変化を可能にする力を示しているのである。p489

出典:山崎喜比古 2009「ストレス対処力SOC(sense of coherence)の概念と定義」

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