「漢方」とは何か
ある漢方薬局の漢方講座の初級を受け始めた。「養生」という考え方に惹かれたからだ。「治療」という考え方は、人の身体に正常を想定し、悪くなり異常な働きをしている部分を改善し、正常に機能する身体に戻そうという発想と言えると思うが、「養生」は、人の身体のプロトタイプを想定せず、その人その人にとっての身体と環境との最適解を見つけ出そうとする発想と感じた。その身体が現在病んでいる身体であっても、老いた身体であっても、その人にとっての最適解を導きだす発想。それは、アントノフスキーの「健康生成論」に類似したものではないかと思われた。身体に無理をさせず、日常的に身体が喜びそうなことを取り入れていくイメージである。
そのようなことが、テキストの最初に書かれてあったので紹介をしておきたい。
文献:薬日本堂漢方スクール 漢方基礎講座1(NIHONDO KAMPO SCHOOL)
「漢方」とは、中国古来よりの自然哲学にもとづく「医学」「薬学」「養生学」をさす。「漢方」とは、漢方薬だけでなく、鍼灸、気功、按摩、薬膳、日々の養生まで含まれる。2
「養生」とは、生活に留意して、できるだけ病気にならないようにすること。[略]養生することにより生命力、自然治癒力を高めていこうという考え方が漢方でもっとも重要とされる部分である。2
現代医学と漢方医学の違いを下記のように対比している。5
○基礎理論
現代医学:近代西洋科学
漢方医学:古代自然哲学
○その他
現代医学:部分的、病気の共通性を強調、化学合成薬
漢方医学:全体的、病気の共通性と個体差異を強調、自然薬
○病気と治療の考え方
現代医学:心と身体、身体の各部位は別々に働いている。病気とは生物学 的メカニズムの故障であり、治療とは、故障した部分の修理。
漢方医学:心と身体、身体の各部位は切り離せない。心身は有機的なつな がりを持つ一つのシステム。病気をシステムの平衡状態の崩れ ととらえ、治療は、システムの要素のバランスを回復するこ と。
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