バレンタインに女性同士の蹴落としあいについて考えてみました。

今年のバレンタインの広告で「女は陰湿なのか?」
ということが話題になりました。
蹴落としたり、蹴落とされたり、足を引っ張ったり、引っ張られたり。
それが女なのでしょうか?

なにを隠そう、私は女性から蹴落とされたことがあります。正直に言うと、女性を蹴落としたくなったこともあります。どちらの経験も、心が石になりそうな重苦しい体験でした。

いま女性の先輩にいびられて悩んでる方や
「あの女さえいなければ」と思っている方のために、私の見解をお話ししたいです。

結論から言うと、
フェミニストファイトクラブ 職場の女性差別サバイバルマニュアルという有能すぎる本を読んで、男社会が作った蹴落としバトルなんかスルーしてしまいましょう。

若い女の子枠が奪われる!

まず、私が蹴落とされた経験をお話します。
私は若い頃、とある部署に配属されました。
そこにはもともと唯一の若い女性であった先輩がいました。
先輩から見ると、これまで若い女性は自分一人だけだったのに、さらに若い女が入ってきたということです。
男性社員は、その人の目の前で言いました。
「笛美ちゃんは先輩と比べて女子っぽいね。」
先輩は大変な仕事を任されており、
私は楽しい系の仕事をしていました。
また私は整頓ができなかったりと、
きちんとした人から見たら気にさわる点があったのでしょう。
それで目障りな後輩の私を攻撃したのです。
いちばん近い存在の先輩に嫌われたショックは、すさまじかった。でも先輩の不安に、気づけなかった私も鈍感だったと思います。

面白い女枠をとられたくない!

次に、私が後輩を蹴落としたくなったが、
未遂に終わった経験をお話します。
私は自分のことを、「面白いことを考える女」という枠だと勝手に思っていたんです。
ある日、私が考えたのに似た案を、
女性の後輩が実施していたことありました。
それで「それって私の企画?事前に言ってくれたらよかったのに。」と言いました。
そもそも後輩は、私がそんな企画をしていたことは知らなかったし、自分で考えた企画だと、はっきり言ってくれました。
(実際彼女は打ち合わせにはいなかったです。)
あのとき私は、「面白い女」枠を奪われて
自分の身が脅かされると思ったのです。
しかも彼女はきれいで、美人枠までとってるのに、さらに面白い女枠までとるんかいと嫉妬しました。

ちなみに男性の先輩から案をマネされたこともあります。でもそれを訴えたりはしませんでした。
後輩が女だから、ライバルだと思ったのです。

不思議ちゃんキャラが、かぶってしまう!

ある後輩が、私の部署に配属されてきました。
その時に上司に
「笛美は不思議ちゃんなのに、また不思議ちゃんがきたな。」
と言われました。
え?彼女と私はそんなに似てる?
正直よく分かりませんでした。
でも、なぜか私の居場所がなくなる
危機感を感じました。
私は負けるまいと思ってしまい、
最初は彼女に冷たくしてしまいました。
その後、お互いの悩みを話せる関係になり、
いまでは大の仲良しになりましたが。

なぜ男性と比べずに、女性同士を比べるの?

他にも○○枠の心当たりありませんか?
文系女子枠、リケジョ枠、偉い人のお気に入り枠、お嬢様枠、山ガール枠、サブカル女子枠、下ネタ枠、オタク枠、読者モデル枠、、

でもおかしくないですかね?
なんで「若い人枠」じゃなくて、
「若い女枠」なの?

なんで「不思議な人枠」じゃなく、
「不思議ちゃん枠」なの?

なぜか男性とは比べられてない。
いつも女性とばかり比べられてる。

なぜ女性というカテゴリーに狭めた上で
私たちを比べるの?

その枠は誰が作ったんですかね?

女子が医学部で足切りされていたことを思い出してください。
女子には、男子には存在しない、はるかに狭い枠が用意されていたのです。女子はその枠を、女同士で勝手に争わされていたのです。
男子はそんな枠もないことを知らずに。

その女性枠を決めたのは誰でしたか?
男性社会のトップの方々でした。

会社でも同じなのです。

私たちは会社に入っても、
男社会の中の女子枠という、
小さな枠を争わされている
のです。
仕事ができて、気が利いて、若くてかわいくて
芸達者で、巨乳で、下ネタオッケーで、無害で、口うるさくなくてなど、俺たちの世界に入っていいと認める諸条件をクリアしなければ
その枠に入ることはできないということになっているのです。

特に広告業界にいる女性を見ていて思うのですが、周囲の雰囲気をつかむのがうますぎて、男性社会がじぶんに求めるものを、自ずとやってしまうのですよね。

男の人はこんな広告を好みます。

枠にハマるな、
型破りな存在になれ、
突き抜けろ、

でもどうでしょう。
女性のことは、
ガシガシ型にはめてくる。

私は声を大にして言いたいです。

おーい!
勝手に女同士で比べられてるのは
おかしいって気づいてー!
その女性同士の蹴落とし合いは、
男性から女性への壮大な蹴落としの一部でしかないよー!

あなたは
若い女子枠でも
お笑い枠でも
不思議ちゃん枠でも
下ネタOK枠でも
お局枠でも
気遣い枠でもない。

あなたと彼女は、
ひとつの枠を争っているんじゃない。
あなたと彼女の道は、別の道。
目指してるのは、別の目的地。

彼女が成功したからって、
それであなたの枠がなくなるっていうのは
幻想だよ。
あなたにはちゃんと、
あなたの特等席があるから、
それを見失わせようとする人たちに負けないで。

女性に割り当てられた小さな枠を争うのではなく、女性が押し込められた枠を広げていった方がよくない?
そしていつかクソみたいな女性枠なんて無くしていこうよ。


でもあなたには、私の稚拙な文章では、
うまく伝わらないかもしれません。

そこで、私よりも遥かに頭の良い親切な人が、
働く女性のために書いた本を
ご紹介させてください。

フェミニストファイトクラブ
「職場の女性差別」サバイバルマニュアル ジェシカベネット著

タイトルはちょっと自分向けの本じゃないように見えますが、中身は女性向けのすごく親切で実践的な職場ハウツー本です。

女性が職場で感じるモヤモヤ、ウザイおじさんあるある、女同士の潰し合いと、その解決策なども書いてあります。

特に2、3年目の若手女性社員さんにおススメしたいです。

この本は、サラッとかわせるのができる女(=我慢しろ)なんて、テンションの下がるクソバイスは言いません。あなたの愚痴に寄り添いながらも、最終的には自信に満ちあふれた気持ちにしてくれます。

個人的に、こういうピンクの女性向けハウツー本本が嫌いで、ビジネス書は青くて硬派なやつを読んでました。でもジェンダー格差が世界でも最低の日本では、男性向けのビジネス書だけでは、私たちの悩みをカバーできない。日本のメディアや本にも女性へのアドバイスは載っているけど、どうも女性を我慢させる方向にしか行っていない。ジェンダークオリティが高い国の知恵を借りることで、働きやすく、生きやすくなるのではないかと思っています。

なんだかこの本の回し者みたいになってしまいましたが、
いつも頑張っているワンアンドオンリーのあなた様に、この本を贈りたいです。ハッピーバレンタイン。