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荒川洋治文学館が欲しい
荒川洋治を知っていますか。
日本の随筆家・詩作家です。
彼の厖大な読書量に裏付けされた表現豊かなエッセーは、
私の知らなかったたくさんの本のことを教えてくれるのです。
余計なものが削ぎ落とされている文章は、しかし軽やかに童心をくすぐるのです。
例えば『友の野末に 九つの短篇』という色川武大の作品集が紹介されます。
どうやら最初は期待していなかったそうです。ただ、徐々に心惹かれる気持ちは強くなっていって……
そしてぼくは、この本がとても好きになってしまった。九つの作品を読み終えたあとも、もう他にないのかなあと、まるでからっぽの箱の底を見つめるような心地になった。
何も知らない小説の感想を読んでいるだけなのに、どうしてこんなに心地よく心臓が高なるのでしょう。
私はきっと揺れる電車の中にいるでしょう。青い海と青い空の境界が分からなくなってしまうくらいの絶景が車窓を流れているでしょう。そこで私は荒川洋治のこのエッセー集を読んでいます。そしてため息をついたあと、目の前の絶景に、他に向けていた意識のすべてを奪われるのでした。
電車は無人駅で停まります。
小高い丘の上にちょこんと立っている洋風の建物。
その扉には、海風に耐えてカドのまるくなった木の看板がかけられて、「荒川洋治ミュージアム」と、ちょっと誇らしげに主張しています。
扉を開けた先には、『椿姫』、『瀬戸内海のスケッチ』、『友の野末に 九つの短篇』、『お供え』、「更級日記」、『高等地図帳』、『オコナー短編集』、『8号室—コムナルカ住民図鑑』etc
古今東西の本、それは荒川洋治がさまざまなエッセーの中で教えてくれた本の数々。
初めましてのような、どこかで会ったことがあるような(きっとそれは彼が教えてくれたから)本を手にとります。
少し日焼けした背表紙を愛おしく撫で、私はゆっくりと時間の「あわい」を漂いたい。
何が言いたいのかと言いますと、彼のエッセーでとりあげられた作品が収められた文学館が欲しいのです。
下の書籍は私が特におすすめするものです。
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