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旅をする本

お久しぶりです!不便な本屋スタッフのザキです。
いまは深夜2時11分、数時間前にいきなりびゅうびゅうと吹き始めた強い風が威力を徐々に弱めながらも吹き続いていて、部屋の窓が微かに揺れるのを感じながらこのnoteを書いています。

皆さんのお察知の通り、12月も残すところあと僅かとなり、今年の思い残しを少しでも減らしたい、そんな気持ちで慌てて書き始めました。ずっと書きたかったので良い機会とします。

不便な本屋を始めて約1年、たくさんの方が本を介した手紙の交換をしてくださいました。本当に感謝申し上げます。ありがとうございます。
InstagramやTwitterにはその素敵なやりとりを載せていますが、もう少し思い出を付け加えて記録にしておきたいと考え、こちらも少しづつ更新していくことにしました。ぜひ読んでもらえたら嬉しいです。

吉本ばなな『お別れの色』、『下北沢について』

今回は、吉本ばななさんの本2冊を介した手紙交換です!

ポップと本

まずは、ポップと手紙をご覧ください。

ポップ(スタッフ代筆)
届いた手紙


今回、一番嬉しかったのが、吉本ばななさんが好きな人から苦手な人に本が渡ったことです。いちど苦手意識を持ったものに挑戦するのは億劫ですし、それが本ともなると尚更難しいと感じます。どうしても時間がかかるし。それをポップの言葉が後押しして乗り超えたことがまず嬉しかったです。

店で本を手に取っていただいたとき、苦手だからこそ挑戦してみたい旨は聞いていたので、感想を楽しみに思う反面、どうだったかな・・?大丈夫だったかな・・?と緊張もしていましたが、手紙を読むと、本に真摯に向き合ってくださったこと、苦手だったときと現在の捉え方が変わっていることが伝わってきて、杞憂だったと胸を撫で下ろしました。(もちろん読んだ上で苦手と感じるのもいいと思っています。)
この手紙からは、ひとりの人が生活していくこと、それは感情が揺さぶられたり、何かを乗り越えたり、楽しいことがあったり、物事の受け止め方を変えるだけの時間が流れていることを勝手ながら感じました。たった一度の言葉のやり取りは、想像に頼る部分も大きく、分からないことだらけですが、想像の余地があるからこそ面白いと改めて考えるきっかけにもなりました。

さらに、遠く離れた町の高校に本が寄贈されたと書かれており、本が読み継がれていくことがこんなに嬉しいものなのだと知ることが出来ました。この本のこれからの行方もまた想像に頼るしかないですが、いい旅をして欲しいと思います。今回のnoteのタイトルは、そんな思いから星野道夫さんの『旅をする木』を意識しました。その本の中には、

私が東京であわただしく働いている時、その同じ瞬間、もしかするとアラスカの海でクジラが飛び上がっているかもしれない
『旅をする木』123ページ

という文章があります。自分が東京であわただしく働いている時、本が遠い場所で誰かの手に渡り続けているかもしれない。それはアラスカでクジラが飛び上がるような大自然での出来事には敵わないけど、想像するだけで少し自分を救ってくれるものになるなあ、と。その意味では同じかもしれないなあ、と。少しこじつけが過ぎる気もしますが。

話が飛躍しているうちに風が止み、部屋がとても静かになりました。
なんだか眠たくなって来たので、この辺で今日はおしまいにします。
また遠くないうちに。



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