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薬膳生活、まずは「なつめ」から。

薬膳って面白そうなのに、どうしてこうも生活に取り入れづらいんだろう。

薬膳初心者の私が考えた理由はこう。
・薬膳っぽい食材ってその辺で売ってない。
・買ったところで消費しきれない。
・子供、配偶者が食べない。(自分のためだけに作るの億劫)

例えば、クコの実、蓮の実、ハトムギ、緑豆あたりはまだ取り入れやすいとしても、一晩水に浸して戻し、翌日調理するというこの過程がもう、、、。

しかも、普段使い慣れていない食材を一袋買っても消費できない。
(我が家の乾物入れにも、大量の白キクラゲ、クコの実、サンザシなどが眠っています。)

そんな私が調べまくった結果、最もおすすめしたいのが「なつめ」。

なつめ茶 そのまま食べても美味しい

何が良いって、そのままおやつに食べても美味しいんです。
しかも子供も食べやすい。
薬膳茶にも薬膳料理にも使える、とっても万能なかわいいヤツです。

少し時間があればお湯を入れて(又はゆっくり煮出して)なつめ茶に。
もう少し時間があれば薬膳料理として調理する。
飽きて余ったら再びポリポリおやつに食べる。

そんなことが無限ループ可能な食材なんです。


前回の記事では、なつめには栄養が沢山!強力な抗酸化作用のあるサポニン、ごぼうの2倍の食物繊維、プルーンの1.5倍の鉄分が含まれているよ、という話をしました。↓↓



今回は女の三宝の中でも最も重要な「なつめ」の歴史や、薬膳・漢方的な視点から深掘りしたいと思います。

なつめの原産地

楊貴妃も好んで食べたというなつめ。
中国には、「1日3個のナツメを食べれば歳をとっても老いが現れない」という諺があるほど健康に欠かせない食材です。

なつめの原産地は中国と言われており、栽培の歴史はなんと3000年以上。
特に中国・新疆ウィグル自治区の和田(ホータン)という場所で生産されるなつめは、実が大きく、甘味も強く、高級品として扱われています。
大きいものは鶏卵ほどの大きさがあるんですよ。
中国人の間でも「なつめといえば新疆和田産でしょ」と言われるほど有名な産地です。

大きいものは鶏卵サイズ


和田(ホータン)の場所はタクラマカン砂漠の南側。
日照時間が長く昼夜の寒暖差が大きい地域。
中国といっても一般的にイメージする中国人の顔立ち(漢民族)の方々は少なく、中東っぽい堀の深い顔立ちのウィグル族の方々が8割以上を占めています。

出典:風の旅行者HPより


シルクロードは西ローマと西安を結ぶ絹を運ぶ道と言われています。
地図を見てわかるように、ローマへと続く西アジアと西安の間、新疆地区には天山山脈とタクラマカン砂漠が大きく存在しており、そこを避けるように3つのルートに分かれています。

最北を通る道を「天山北路」、
真ん中を通る道を「天山南路」、
そしてホータンを通る最南の道を「西域南道」と言います。

なつめを好んで食べていた楊貴妃は、西安(長安)におわすので、だいぶ遠い道のりを運んできていたことが良くわかります。

日本へ渡ってきたなつめ

日本への渡来は古く、飛鳥時代の石神遺跡の溝、奈良時代の平城宮の溝、平城京の井戸からなつめのタネが出土しているそうです。因みに、「平城宮」とは当時の官庁街・皇居のこと、「平城京」は「平城宮」を含む街全体のことを指します。ということは、なつめは高貴な方々から庶民まで食すことができた、非常に一般的な食べ物だったのかもしれませんね。

wikipediaより 平城宮大極殿(復元)

因みに、なつめは元々日本には自生しない植物で、中国から渡ってきたものを栽培していたと言われています。文献では万葉集の中にも出てきており、古代の日本ではなつめが栽培されていたことが窺えます。遠い新疆の地から、シルクロードを通り、海を渡り、古代の日本にまで辿り着いていたなんて、考えるだけでワクワクします。

薬膳には必要不可欠

薬膳に関する本には、必ずと言っていいほど最初に乾燥なつめ(大棗)が紹介されています。なつめを蒸してから乾燥させたものを、生薬の「大棗(たいそう)」と言います。大棗は甘味があり毒性が強くないため、様々な生薬と組み合わせられ、甘く飲みやすい漢方に調整してくれています。
最も身近な漢方薬では、葛根湯に配合されているんですよ。

東洋医学では、食材の色で「赤いものは血を補う」とされています。なつめはもちろん、他の生薬ではクコの実、ニンジン、食材ではマグロも挙げられます。なつめは血を補い、体を温める作用があるので、女性にはもってこいの食材なんです。

加えて、なつめには強い滋養強壮作用があり、心身両面の疲労回復に向いています。
また、胃腸の調子を整えてくれるので、食欲不振を改善し消化吸収機能を助けてくれるのも特徴です。


薬膳におけるなつめのはたらき
・五性(体を温めるか冷やすか):温性
 冷えや寒さからくる疲れや食欲不振を癒す作用があります。

・五味(味の持つはたらき):甘味
 滋養強壮、痛みや緊張を和らげてくれます。

・帰経(五臓へのはたらき):心、脾
 血液循環を良くし、消化吸収を助けてくれます。


薬膳超初心者向け、すぐできる手間なしプチ薬膳

*なつめプーアール茶
プーアール茶は温性の性質。同じ温性のなつめと組み合わせることで、冬の季節、冷え性、寒がり体質におすすめです。
鍋になつめ、プーアール茶を入れ、弱火で10分煮出す。
(私だったらポットに茶葉となつめ、お湯注いで放置、完成!にしちゃいます。)

*なつめの黒砂糖煮
どちらも血を補う作用があるため、貧血・月経不順に効果的です。
一晩水につけて戻したなつめと戻し汁、黒砂糖、洋酒(香りづけ)を弱火で20分煮る。※グツグツ沸騰させて煮るのはNG
(ヨーグルトに添えたら美味しそうですよね!)

*fuachaの果茶(かちゃ)
女の三宝とも言われる、なつめ、クコの実、ろんがんの3種類がバランスよくブレンドされています。お湯を注ぐだけで簡単に薬膳茶が完成します。
詳しくは前回記事で。

2022年はいよいよ花茶・果茶の本格的な商品販売が始まります!!
そろそろ完成した商品写真をご紹介できるかと思います。
お楽しみに!

以上、fuacha(ファーチャ)プロモーションマネジャーのかおるでした!

参考文献 
奈良文化財研究所ブログ「ナツメのはなし」より
薬日本堂監修『薬膳・漢方の食材帳』
辰巳洋著『薬膳茶のすべて』


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