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観劇記録『宝飾時計』

2023/01/25 14:30公演@東京芸術劇場プレイハウス

 コロナ前まで某テーマパークのオタクをしており、「エンタメは大好きだけど舞台は年1回劇団四季を観られたら良いかな!」みたいな考えだった私。コロナ禍で生のエンタメに飢え、2022年に無事にミュージカル沼にドボン。「2023年は観劇記録を書くぞ〜〜〜!」と決意したものの、1月に5回観劇したのに書かない状況が続いていましたが、ついに書き始めます。『宝飾時計』はそれくらい”言葉にして誰かに伝えたくなる”作品でした。(前置きが長い・・・・・・)

 『宝飾時計』の内容は前情報なしで観て欲しい作品なので先ずはネタバレにならない点から。観劇するか迷っている方がいらっしゃれば「以下ネタバレが〜」までで閉じて、チケットを買ってください(笑)

◎当日券システム◎

 オリジナル作品、しかもストプレの『宝飾時計』。普段なら観劇の選択肢に入らないんですが、口コミとヴィジュアル写真に惹かれて観劇を決めました。勿論一般チケットは全て売り切れ・・・・・・でしたが、「全公演当日券があります!」とのことで、私は当日券での観劇でした。観に行きたいと思った時に観に行けるって有り難いですよね。
 当日券の発売開始時間(開演1時間前)にはかなりの人数が並んでいましたが、スタッフの方が「今お並びの方は皆さんご覧いただけるだけお席のご準備があります」等、丁寧に案内してくださいました。私は朝頑張って前の方に並ぶことができたんですが、スタッフさんがいなくてもわかるように案内の看板も出ていました。芸劇内で待てるので寒くもなく、とても並びやすいです。購入時には「舞台全体を見たいならこの席、俳優さんの表情まで楽しみたいならこの席がオススメです」とご親切なアドバイスまで・・・・・・!私は舞台に近い席を選んだので、残念ながらミュージシャンの皆さんは見切れて拝見できませんでしたが、舞台の見え方はバッチリでした。私が購入できた追加S席はパイプイスでしたが分厚いクッションを敷いておいてくださったのでとても快適でした。
 以前鬼電してやっと”当日券の整理番号”が取れて、当日劇場に行くと目の前で当日券売り切れということがあったので、『宝飾時計』の手厚い当日券システムには感動でした。(その後劇場のご厚意でお席をご用意していただけましたが、買えるかわからないのは心臓に悪い)

 Twitterでも当日券情報教えてくださるんですよ!急に観に行きたくなった人に優しいね!他の舞台もこの当日券システム導入して欲しいです!

◎ネタバレなしの感想◎

 言語化能力があまり高くないので大したことは書けませんが、『宝飾時計』を観て、「ちゃんと言葉にしたい」「ちゃんと伝えたい」と思ったので書き記します。

宝飾時計幕間。コメディパートとシリアスパートの切り替えがお上手でテンポが素晴らしい。伊藤万理華さんのお芝居が刺さって涙。こんなにも2幕が楽しみだと思わせてくれる舞台は初めてかも・・・・・・

幕間に書いたツイート
 

 私が幕間に書ける感想なんて興奮してるか放心してるかでこんなレベル。『宝飾時計』は放心でした。ちゃんと思い出して言葉にします。

 失礼ながら俳優としての伊藤万理華さんを存じ上げなかったのですが、まず1幕で彼女の演技に惹きつけられました。私は”子ども時代”を大人の俳優が演じることについて、リアリティが薄い、子役に演じてもらえなかったのだろうか・・・・・・と思うことが多々あります。特に伊藤さんの役は一歩間違えれば痛々しささえ感じてしまう難しい役だと思います。彼女を含め、子ども時代(=子役時代)を演じられている時の皆さんは本当に無邪気な子どものように見えました。俳優さんに疎いので、終演後にパンフレットを読むまで、小日向さんに関しては中高生の方が演じられていると勘違いさえしていました。普通に年上〜!(笑)

 シリアスな悩みがテーマですが、所々に織り込まれたコメディパートとバイオリンの音でメリハリがついていて、あっという間の140分でした。時間軸が行ったり来たりするし、回想シーンなのに過去の人物と現代の人物が同時に舞台上にいるなど、理解が難しいシーンがたくさんありますが、徐々にわかっていく楽しさを味わえる作品です。コメディパートは劇場内で笑いが起こるほど面白いです。「あ〜いるいる!こういうヤツ!」みたいな。私は収録回を観たのでセリフ変更があったそう。言い回しがマイルドになっていたのかな?前出の通り私の席からはミュージシャンの皆さんは拝見できなかったんですが、生音ならではの良さも感じられました。2幕の冒頭は歌の無いアントラクトですよね。ミュージカルオタク、そういうの大好き!

 余談ですが、「青春の続き」は事前に聴いておくと歌詞が心に届きやすくて良いかと思います。CD音源の100倍素敵な歌声を聴かせくださるので安心して聴いてください○
 『宝飾時計』』のツアー公演観るか悩んでるよ〜って方には是非観ていただきたいです。オススメ度★★★★★


以下ネタバレありますので、ツアー公演を待たれている方はご注意ください!!!








◎お衣裳のこと◎

 観劇前、「時代感がない」「コレクションみたいに派手でうるさい」そんな意見も見かけていましたが、私は大満足!大好き!でした。『宝飾時計』は子ども時代⇔大人で衣裳の変更が基本的にありません。それでも俳優さんの声色や動きだけで大人にも子どもにも見えたり、同じ衣裳で同じ年齢の時でも役の精神的な弱さが幼さにも見えたりする不思議。これは敢えて衣裳に時代設定をしなかったからできた空気感だと思います。とても魅力的な衣裳でした。あとシンプルに可愛い。ゆりかのワンピース欲しいです。
 特に最後のゆりかの羽織がとても素敵でした。初めに眠っているゆりかの側にレースの羽織が置かれ、それを身にまとった時、花嫁衣裳のように見えました。でも黒い羽織を身につけた祐太郎と語っている時には死装束のようにも見えました。儚くて、とにかく美しい光景でした。

◎言葉にすること、伝えること◎

 相手の気持ちを推し量って行動すること、自分を守るために本当の自分を隠すこと。どちらも大切なことだけど、気を遣いすぎて本当の自分が迷子になったり相手のことがわからなくなってしまうことって、誰にでも起こりうることですよね。ゆりか達の迷いは私の中にもあるので、彼女達が自分のことのように感じながら観劇していました。
 ゆりかがレースの羽織を羽織ると元々のワンピースのセーラーカラーが隠れて、背中の辺りに新たな崩れ落ちたセーラーカラーが現れます。私はこのシーンを観て、”羽化”のようだなあ、と思いました。透けるレースと柔らかな衣裳の動きがまるで羽化したての昆虫の様じゃないですか?それから「自分を言葉にして伝えよう」という決意、精神的に一皮剥けたようにも見えました。(物理的には脱いだのではなく羽織るという矛盾!笑)
 大切な相手だからこそ、すれ違わないように、言葉にして向き合う。そんな勇気や強さを大切にしたいなあ、と『宝飾時計』を観て思いました。感想が薄いね〜〜〜!

◎エンディング◎

 ごめんなさい!とても悔しいことに、私はエンディングの意味が理解できませんでした。ゆりかと祐太郎(=勇大)は生きて、また逢えたの??それとも死後の世界で再会できたの??どちらとも捉えられるような・・・・・・。祐太郎と勇大が同一人物だということには大分早くに気付けたんですけどね・・・・・・(成田さんと小日向さん、”彼”のクセのような小さなところを似せてお芝居されていたように思います。)
 でもこの曖昧な感じがとても心地の良い終わり方だと感じました。これは私の人生経験の問題のような気がします。手を繋いで眠った後に(今度は一緒にいてくれるはず)と正直に信じてしまうのが、今の私の未熟な若さなのかな、と。あと○年経って私が30歳になった時、家庭を持った時、人生のエンディングを迎える時・・・・・・『宝飾時計』は自分がどんな時に観るかによって、その答えが変わってくるような気がしています。まだ購入したパンフレットと台本を読めていないので、これから”今の私の答え合わせ”をしながら読みたいと思います。でもやっぱり、30歳の私で30歳のゆりか達に舞台でお会いしたいかな。○年後、『宝飾時計』が再演することを願っています。


<東京公演>
期間:2023年1月9日(月・祝)~1月29日(日)
会場:東京芸術劇場プレイハウス
主催:ホリプロ/博報堂DYメディアパートナーズ
共催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京芸術劇場
企画制作:ホリプロ

キャスト

高畑充希
成田 凌
小池栄子 
伊藤万理華
池津祥子
後藤剛範
小日向星一 
八十田勇一

〈ミュージシャン〉
バイオリン:磯部舞子
ヴィオラ:島岡万理子
チェロ:松尾佳奈
ピアノ:大谷愛

スタッフ

作・演出:根本宗子
美術:池田ともゆき
照明:佐藤 啓
音響:藤森直樹
衣裳:神田恵介(keisuke kanda)
ヘアメイク:二宮ミハル
演出助手:相田剛志
舞台監督:幸光順平、鈴木 拓

テーマ曲:「青春の続き」/高畑充希 作詞作編曲:椎名林檎

宣伝衣裳:神田恵介(keisuke kanda)
衣裳協力:DOUBLE MAISON(やまと) familiar BEAMS

https://horipro-stage.jp/stage/houshokudokei2023/


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