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冬の乗り鉄雪見旅~上越国境越えと只見線

あけましておめでとうございます。
今年もnoteにてアウトプットを続けていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。

雪の中の乗り鉄願望

さて、年末の2日間自由な時間が生まれましたので、乗り鉄をしてまいりました。
時刻表を購入して、どこに行こうかと思案。この時間が私にとって至福な時ともいえるのですが、冬の旅なら雪景色の中旅したいという願望が叶うのは…

JTB小さな時刻表冬号の表紙にもなっている只見線。ちょっと遠いですが、思い切って行くことにしました。

JR只見線は、新潟県の小出駅から福島県の会津若松駅を結ぶ全長135.2kmの路線です。
車窓から見られる紅葉や雪景色が素晴らしい路線で、私自身最も好きなローカル線ではあり、これまで何度か乗っているのですが、前回訪問から約20年が経過しており、今回が久しぶりの乗車となります。

その只見線ですが、現在、全区間を通して走る列車は設定されていません。2011年7月の新潟・福島豪雨により、一部の橋梁が流されるなどの被害があり、途中の只見から会津川口間27.6kmが現在もなお不通となっているからです。

ただ、この区間には只見線の運行ダイヤに接続して代行バスが運転されていますので、途中、代行バスを挟むことで、小出から会津若松、あるいはその逆の形で乗りとおすことが可能です。

また、この不通区間も10年以上の時を経て多くの方々の尽力により、今年の秋に復旧すると報じられています。本当に喜ばしいことですね。

普通列車を乗り継いで

さて、2021年12月30日、始発駅である小出駅に向けて出発しました。
今回は普通列車を乗り継いでの旅です。

全国のJR線普通列車乗り放題で設定期間中5回(5日または同行者と1日単位で使用可)利用可能な「青春18きっぷ」を使う手もありましたが、今回は、他の用途も加味して「北海道&東日本パス」7日間有効11,330円を使用しました。
このきっぷも普通列車限定の乗り放題パスで、JR北海道(今回は行きません)とJR東日本の普通列車なら期間中何度でも乗り降りできます。ただし、別途特急券を買っても新幹線や特急には乗れません。

小出駅から只見線を乗りとおすためには、7時58分発か13時15分発の2本しか選択肢はありません。
7時58分発に乗るためには、小出駅付近に前泊が必要となりますので、選択肢は絞られ、13時15分発に乗車することにしました。

この列車に乗るためには、高崎線の東京駅8時29分発の列車に乗車すると、途中、高崎、水上と上越線に2回乗り換えることで小出駅に12時56分という丁度良い時間に到着します。

ここまででもかなりの長旅ですが、水上を過ぎたあたりからの上越線は晴れてはいるものの段々と雪が降り積もった景色となり、これから始まる豪雪地帯の只見線への期待が高まり疲れを感じません。

上越国境を越えて

上越線、上越新幹線で使われる「上越」。
それぞれの文字は、現在の群馬県である上野(こうづけ)国と新潟県である越後(えちご)国のことを指します。
その境を「上越国境」と呼び、現在でいえば県境ですね。

因みに、新潟県は上越、中越、下越と佐渡の4つに地域別に分けていますが、上越市があるこの上越地方は県境の「上越」とは全く別物で、新幹線でいえば北陸新幹線沿いの新潟県南西部に位置します。

さて、上越国境の長いトンネル(新清水トンネル)を抜けると、そこは新潟県、群馬県側は晴れていたのに新潟県側は雪が降っており、しかもかなりの積雪量です。


川端康成が小説「雪国」の冒頭で謳ったフレーズは今なお同じ体感を得ることができます。
当時川端康成が通ったのは清水トンネルであり、このトンネルは現在上り線(東京方面)のトンネルとなっています。当時は単線だったようですが、その後複線化したときに下り線(新潟方面)用に新しいトンネル(新清水トンネル)を造ったので、全く同じトンネルではないようですね。

なお、東京駅から新幹線でアクセスする場合は、浦佐駅まで約1時間30分、そこから小出駅までは在来線で10分程です。
新幹線の上越国境越えは、大清水トンネルを猛スピードで突っ切り、あっという間に雪国に到着できます。

当方は急ぎの旅ではないのでのんびり雪景色を見ながら、5時間かけて只見線の旅の出発点、小出駅に到着しました。

只見線に乗る前に、飲み物食べ物を用意してゆっくり景色を楽しみたいところですが、注意が必要なのは、小出駅では調達が難しいということ。
乗り鉄の鉄則として、食料類は見かけたときに買っておくこと。
後でいいかな、なんて考えていると、飲まず食わずで長時間なんてことにもなりかねません。

今回、高崎駅での乗り換え時間に昼食用の駅弁を買っておきました。
ただ、アルコール類の調達のタイミングを失ってしまい、「呑み鉄」ができなかったことはちょっと残念でした。

雪見シアター只見線

さて、いよいよ只見線に乗り込みます。
小出駅13時15分発の只見行きです。
2両編成の車内は、程よく埋まっています。私も含めてですが、ほとんどが地元住民ではなく、只見線を「乗りに来ている」人と見受けられます。
ボックス席は相席となりましたので、このご時世ということもあり、向かいの人に一声掛けてから高崎駅で買っただるま弁当をいただきました。

それにしても、見事な雪景色です。自然とテンションが上がってきます。乗客のほとんどが車窓から見える雪景色にスマホを向けて向けています。
今回は年末寒波ということで大雪となったようですが、例年ですとまだこの時期はそれ程雪が積もらないと思います。
雪景色が見られて嬉しい一方で、いつ大雪による運休や、運転打ち切りになってもおかしくない状態であり、JR東日本の運行情報でも注意喚起がなされていたので、その点はちょっとヒヤヒヤでした。

小出駅からは只見駅までは1時間13分。
ここは越後の国。越後〇〇という駅が多いですね。
乗ってから1時間程経った時に車掌さんから、只見駅からの代行バスに乗車する人はお申し出くださいとの案内が。マイクロバスを使用しているようで事前に人数把握が必要なようです。
ほぼ全員が手を挙げており、皆乗りとおす模様です。

只見駅に到着。マイクロバスへの接続は4分と意外と慌ただしいです。ホームから駅出口まで若干の距離があり、ちょっと急ぎ足になりつつ写真は撮りたいというのは皆同じように考えているようで、私も同じ行動に出たのですが、つい写真を撮ることに気を取られて、雪で滑って尻もちをついてしまいました。大分痛かったのですが、バスの時間は迫っていますし、一人旅で誰も突っ込んでくれる人がいないので、恥ずかしさもあって起き上がって平静を装うことにしました。いや、結構強く打ち付けたのでかなり痛かったのですが…。

そんな感じで、代行バスの外観の写真を撮る余裕はなかったのですが、マイクロバス数台に分乗して、越後川口駅を目指します。

この代行バスからは、10年以上列車が走っていない只見線の線路や橋梁が見られ、それはまた貴重な体験となりましたが、いよいよこの秋に列車がとおり、全線開通となる見込みとのことで、本当に感慨深いですね。

およそ50分のバス旅(というよりタクシーに乗っていた感じでしたが)が終わり、会津川口駅に到着。バスは4分遅れとのことでしたが、3分の接続で列車に間に合いました。
ここからは、会津若松駅まで2時間弱の旅です。

上越線に乗っているときから少しずつ読み始めた西村京太郎さんのミステリー小説。30年以上前の只見線が舞台です。この小説に出てくる「急行奥只見」という列車自体今はありませんし、車両自体は新しくなりましたが、只見線自体は全体の列車本数、所要時間、そして沿線の美しい風景は恐らくあまり変わっていないのかなと思います。
そこが舞台となっている小説を時折めくりながらローカル線を旅するのもまた楽しいものです。

後半は、会津〇〇という駅が続きます。山岳地帯の美しい景色が続いていきますが、最後の方は、会津の盆地に降りてきたようで平坦を走り会津若松駅に向かいます。

代行バスを含めて約4時間、17時18分に無事会津若松駅に到着し、只見線の旅が終わりました。
山の雪景色を眺めながら非日常の時間。
今年最後を締めくくる良い旅になりました。

只見線は非常に本数が少ないので、途中下車して観光となると、そこで宿泊しない限りは難しいですが、温泉もあるので、そうした楽しみ方もできます。
ただ、只見線自体に乗るだけで素晴らしい景色を存分に楽しむことができるので乗りとおしていた人が多かったように感じました。

私は今回、会津若松駅から先、郡山まで移動して宿泊し、次の日は太平洋側に出てから戻るという選択をしましたが、会津若松駅周辺に宿泊して次の日は鶴ヶ城などの会津観光ということもできますし、あるいは、本当に只見線だけを目的とするなら、まだ郡山駅から新幹線で東京まで戻れる時間なので、日帰りも可能です。

ちょっとした非日常空間への旅は癒しになります。
素晴らしい雪景色をゆっくり見たくなったら、只見線の旅をおススメします。

長文、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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