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みなかみ18湯のこと

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群馬県みなかみ町には、18の温泉地があります。みなかみ町18湯(みなかみじゅうはっとう)と呼んでいます。ここでは、各温泉地のいわれなどをいろんな資料を基にして記していきたいと思い…
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水上温泉 天野屋旅館

水上温泉 天野屋旅館

上越線の水上駅を降りて南にしばらく歩いた。

そこは水上温泉街。

ちょっとした裏路地を進むと、そこに温泉旅館はあった。

今日は少し旅人の気分になって記してみました。

旅館は「天野屋旅館」。昭和30年代に創業。山口県出身の西山勝一さんが始めた宿だ。

当時は高度成長真っ只中。連日お客様で賑わっていて、宿を出るお客さんと今晩泊まるお客さんが玄関先でごった返していたそう。

雰囲気、最高です。

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谷川温泉 金盛館のこと

谷川温泉 金盛館のこと

大正3年。

金盛館(きんせいかん)は、今から100年以上前に創業した、みなかみ町でも指折りの高級旅館です。

館内に入ると、なんと。大正7年に当地を訪れた旅と酒を愛した歌人、若山牧水の自筆の掛け軸が。

わが行くは 山の窪なるひとつみち
 冬日ひかりて 凍たるみち

私、とても好きな歌です。

特に牧水がこの辺りを歩き、感じ、そして詠んだと思うと、なんともはや。

さてさて、泉質は単純温泉。
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湯檜曽温泉•林屋旅館

湯檜曽温泉•林屋旅館

上越線湯檜曽駅を降りて北へ向かうと、もうそこからは温泉街の始まりである。

ループトンネルの橋脚をくぐり200メートルほど歩けば林屋旅館に着く。

古くは、江戸と越後を結ぶ清水街道も通じていた。

現在では、国道291号線となり、群馬県前橋市から、みなかみ町の谷川岳ロープウェイを抜け、マチガ沢、一ノ倉沢を通り、地図上では新潟県六日町の清水から柏崎市まで抜けている。

もちろん今は本格的な登山者でな

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湯宿温泉のこと

湯宿温泉のこと

東京から関越道を使って利根川に沿って北に向かった。
わたくしは水の源、すなわち「みなかみ」に憧れをもつ癖がある。

関東平野を抜けて、急に周囲の山々が近づいてくる頃、向かう先の奥には谷川連峰が姿を現す。

高速は月夜野ICで降り、国道17号線を北に向かった。
利根川の支流、赤谷川に沿ってしばらく進むと、江戸時代に越後と江戸を結んだ重要な街道である旧三国街道と重ねあってくる。

そう。

一番最初に

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みなかみ18湯のこと

みなかみ18湯のこと

みなかみ18湯。みなさまは何と読みますか?

みなかみじゅうはっとう。と読みます。

平成17年(2005年)の広域合併により誕生した「みなかみ町」には、たくさんの温泉地がありました。

旧新治村には猿ヶ京三国温泉郷と呼ばれる温泉郷があり、その名の通り猿ヶ京温泉や法師温泉、湯宿温泉など。

旧月夜野町には上牧温泉や奈女沢などがあり、旧水上町には水上温泉郷と呼ばれる、湯ノ小屋温泉、宝川温泉、谷川温泉

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川古温泉のこと

川古温泉のこと

引用の通り、昔から神経痛やリュウマチなどへの効能が歌われていた。

時は大正時代。川古温泉を始めた林峰治さんは、近くにあった酢酸工場に勤めていた。

そこでは火薬の原料を作ったとも言われる。

当時、川古には、小さな湯小屋があり、ひとりの爺様が切り盛りしていた。

ある日突然、その爺様から、峰治さんに声がかかりそこを受け継いだ。

湯温は35度ほど。ぬる湯だった。
今から約40年前の1980年代、

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上の原温泉のこと

上の原温泉のこと

当地に鎮座する「水上高原ホテル200」は、みなかみ町を代表する、四季を通じて楽しめる人気の複合的なリゾート地だ。

グリーンシーズンはゴルフや森の中を駆け巡るジップラインなどなど。

ウィンターシーズンはスキー場が併設されており、エアーボードやスノーラフティングなどスキー以外にも様々なアクティビティが楽しめる。特に雪原を駆け抜ける「犬ぞり」は本州でも体験できる唯一の場所だ。

近年発表された、オリ

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法師温泉 長寿館

法師温泉 長寿館

創業明治8年(1875年)。
建物自体が国の登録有形文化財である。

湯の由来は弘法大師(空海)。いにしへから、あまたの著名人に愛されている。

与謝野晶子、若山牧水、川端康成、山本五十六、夏目雅子…キリがない。

いつかは法師、また行きたい法師。
日本の温泉文化を象徴する宿、と言っても過言ではなく、温泉を愛する人々の憧れの場所である。まさに日本の宝物。

時は明治。新潟•塩沢の岡村貢(みつぎ)は

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上牧温泉のこと

上牧温泉のこと

上牧温泉。かみもくおんせん、と読みます。

5軒の宿が利根川沿いに点在する。湯は無色透明。利根川や雨水が約17年かけて今湧きいでる。

泉質:ナトリウム・カルシウム硫酸塩・塩化物温泉

環境省の国民保養温泉地にも認定されており、国内でも珍しい、温泉を療養に使う上牧温泉病院もある。

今回は、上牧温泉を代表する温泉旅館「温もりの宿 辰巳館」を紹介したい。

辰巳館は、大正13年(1924年)に創業さ

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湯桧曽温泉のこと

湯桧曽温泉のこと

JR湯桧曽(ゆびそ)駅の北側、湯桧曽川沿いに約5軒の温泉旅館がある。谷川岳ロープウェイに最も近い温泉地であり、谷川岳登山の拠点としても親しまれている。

泉質:単純温泉

「湯のひそむ」と言い伝えられていたことが地名の由来の一つとされ、奥州安部一族に関するこんな記述もある。

このように古くから伝わる温泉地であることがよくわかります。お湯も非常に優しい肌触りで、源泉が熱いため湯力を感じることができ

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猿ヶ京温泉のこと

猿ヶ京温泉のこと

猿ヶ京、と聞いて名前に興味を持つ方も多いと思います。読み方は「さるがきょう」。

みなかみ18湯でも西側に位置する温泉地であり、国道17号線で三国峠を越えて苗場まで約30分。眼下には恵みの水を蓄える赤谷湖があり、山あり湖あり温泉ありと3拍子揃った観光地たる観光地。

猿ヶ京温泉は、昭和28年(昭和34年竣工)からの相俣ダムの建設により湖底に沈んだ湯島温泉が高台に移り今に至るそうな。

泉質:カルシ

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宝川温泉のこと

宝川温泉のこと

東の横綱と評される大露天風呂がある一軒宿。

露天風呂は4か所、うち3つは混浴だ。延べ面積にして、約470畳にもなるそうな。毎分約1800リットルの温泉が贅沢にかけ流されている。

古き良き時代の面影を残す建物と川沿いにある大露天風呂に浸かれば、あたかも自然と同化しそうな体感ができる。国内のみならず、海外からも人気の理由が頷ける。

そんな世界的に人気を博す露天風呂を気軽に楽しめるのも嬉しい限りだ

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谷川温泉のこと

谷川温泉のこと

水上温泉から北へ少し奥まったところにある谷川温泉。

古く谷川岳が山岳信仰の象徴として崇められていた頃、訪れる人々は谷川温泉の最奥にある富士浅間神社から延びる古道などをたどり頂に立った。

落ち着いた雰囲気のある谷川温泉は、老舗高級旅館が軒を連ねる。また、おしゃれな雰囲気のペンションが複数軒あるペンション村があり、幅広い層に人気がある。

更に、岸田劉生の麗子像をはじめ、ピカソ、ルノワール、マチス

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水上温泉のこと

水上温泉のこと

いわれ・・・

時は永禄年間、1558年ごろ。

川辺に白煙が立ち上り、いで湯が利根川に流れ込むのを目の当たりにした、建明寺2代目和尚・海翁文寿和尚が発見したといわれている。

水上温泉が有名になったのは、若山牧水のみなかみ紀行。繁栄のきっかけは、昭和3年に上越線が水上駅まで開通したことが大きいといわれている。(上越線は昭和6年に全線開通)

みなかみホテルジュラクや水上館、源泉湯の宿松乃井など、

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