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結紀はるか
2017年8月24日 10:51
2017年8月19日 17:04
屋上で影が揺れている。白い雲が流れる空を背景にして佇む影は一体誰のものか。僕はじっと見上げた。邪魔そうに僕を避けながら同じ制服を着た生徒が歩いていく。時折僕の視線を辿って見上げる人もいたが、首を傾げて立ち去る。好奇、冷徹、憐憫。向けられる視線の種類は様々で、共通しているのは良い感情が含まれていないことだけ。慣れたものだと気にせず見ていると影が大きく揺れて、消えた。何もなくなった屋上を見ている理
2017年8月17日 20:49
グラスの中で氷が鳴る。一定の速度でかき混ぜられるアイスコーヒーを見ていると目が回りそうだ。「あ、ガムシロ入れてない」混ぜる手が止まる。惰性で数秒回っていたが、ゆっくりと速度は遅くなりやがて静止した。小さなカップに入ったガムシロをまわし入れる。透明な液体が茶色い液体の中で揺れているのを眺める間もなく、ストローが混ぜていく。「それ面白い?」彼の声に顔をあげる。ストローを弄びながら首を傾げてい
2017年8月7日 10:22
容赦ない日射しが照りつける。午後からは雨が降ると天気予報では言っていたが本当だろうか。疑いたくなるくらいに晴れている。「なんでこんなに暑いんだよ」「夏だからじゃない?」さも当たり前のように彼女は返事をした。そういうことじゃないんだけど。言葉の代わりに溜め息を吐いても涼しい顔で半歩前を歩く彼女には届かない。元々の体温が低いせいなのか、彼女は暑さに強い。皆がへばっている中、一人平然としていた