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【読書感想文にも!】この夏読んでもらいたいおすすめ電子書籍⑦

こんにちは、いなおかです。

今回はアンパンマンの作者でもあるやなせたかし先生が生み出した、
美しい童話をお届けします。
「美女と野獣」のエッセンスなど古き良き童話の世界に浸れるこのお話。
でもそれ以上に強いメッセージも感じることができます。

【大切なことは目に見えない】クシャラひめ

今回ご紹介するのは『クシャラひめ
対象は小学校低学年から。

自分の鼻がひくいことを気にしているクシャラひめ。
鼻を隠すため、ボール紙で作った三角形の鼻をいつも付けています。そんなクシャラひめはだんだん人に会うのが嫌になり、森に出かけては動物たちと戯れていました。
いつものように森でクシャラひめが遊んでいると、いばらのしげみの中から恐ろしい顔の竜が現れます。
腰を抜かしそうになるクシャラひめ。しかしよくみるとその竜は、何だか悲しそうな目をしているではありませんか。
「どうしてそんなに悲しそうな目をしているの?」と問いかけたクシャラひめ。するとたまりかねた竜の目から大粒の涙がこぼれます。
持っていたハンカチでクシャラひめがその涙を拭いてあげると、竜はたちまち白鳥のように美しい王子に変わり…!


まさに古典的な展開ですね。
しかしちょっと違うのは、お姫様であるクシャラひめはいわゆる”美女”ではありません。
作者のやなせたかし先生もこのように語っています。

昔の古い童話を読んでいると王子様とお姫様がよく出てくる。必ず美男美女である。ぼくは読んでいてそんな筈はないと思っていた。だから鼻の低いお姫様を主人公にした。それが『クシャラひめ』である。

『クシャラひめ』あとがきより
やなせたかし

作者の持つ違和感が反映されてできたのが、「クシャラひめ」というわけです。

さらにお話の結末を言ってしまうと、クシャラひめと王子は結婚し、幸せに暮らすこととなります(これもお決まりの展開ですね)。
しかし注目して欲しいのは、クシャラひめというキャラクターから考えられることです。

クシャラひめは森で助けた王子と別れた後、このようなことを言います。

りゅうに されて もりの なかで ないていた おうじの くるしみに くらべれば はなが ひくいぐらい なんでもないわ。わたしは、もう へいきよ

『クシャラひめ』
やなせたかし


クシャラひめが自分のコンプレックスを克服する場面ですが、
クシャラひめの持つ芯の強さが垣間見られます。

そしてその後王子がクシャラひめに求婚する場面のセリフがこちら

たいせつなのは、ひとの かなしみが わかる こころを もっているかどうかだ。きみは、せかいじゅうで ぼくの かなしみが わかってくれた たった ひとりの ひとだもの。

『クシャラひめ』
やなせたかし

これはクシャラひめの持つ心の優しさを表していると言えます。

この二つの場面から見えてくるのは本当に大切なことは目に見える部分ではないということ。
普遍的なメッセージかもしれませんが、だからこそ何度も問いかけられても私たちの心に響くのかもしれません。

そして求婚されたクシャラひめの答えは

はい!わたし きっと いい およめさんに なりますよ!ヤッホー

『クシャラひめ』
やなせたかし

「ヤッホー」の部分に少しお茶目な姿も垣間見えますね笑

強くて、優しくて、お茶目なプリンセス。
何だかすごく素敵なキャラクターではありませんか?

目に見えないものって何か、どうしてそれが大切なのか、子どもたち
が考えるキッカケにこの本がなれば嬉しく思います。

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