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エッセイ

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エレベーター・やさしい人(中島みゆきの歌によせて)・分身の術など あれこれ
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#青ブラ文学部

朝焼け#青ブラ文学部

朝焼け#青ブラ文学部

窓の外の空が白み、ほのかな紅色が広がり始めた。「ああ、朝焼けだ」
生まれて初めて試験勉強で徹夜した朝のことだ。

英文学史の試験には泣かされた。英文が一行書かれていて、これを書いた作家名と作品名を書くという問題がずらり、と並ぶ。
To be or not to be ,That is a guestion.
ならば Shakespeare の Hamlet  とすぐ分かるが、こんなに分かりやすい問

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答え合わせ#青ブラ文学部

答え合わせ#青ブラ文学部

地下鉄に乗った。向かいの席の女性がなかなかオシャレで気になる。
わたしと同年代だからよけいに。まず髪色がいい。深いベージュ、ハシバミ色だ。肩までの長さで顔の周りに緩やかなウエーブがかかり、横向きになる形のいい鼻がすいとのぞく。

グレイの腰までのダウンジャケットにスリムな白いパンツ、黒いゴワテックスの厚底ブーツは高級そう。黒のリュックの小さいマークはたぶんアニエスベーだ。ちょっと視力の弱ってきたわ

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眠れぬ夜

眠れぬ夜

小さいころからくよくよする性格で「逆上がりが出来ない」と夜中に泣いて母に慰められやっと寝付く、といった子だった。そんな私にとって「高校入試」はまさに大関門、もし失敗したら、と考えるとそれだけで冷や汗が出た。

 中学生のころのわたしは記憶力がよく、教科書の内容は丸暗記できたから
いつもテストの点が良かった。それが皆からやっかいな役員をおしつけられ、仲間外れにされる原因にもなっていたのだが。それ

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