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ドイツの日系企業、11ヶ月で転職した理由

甘ちゃんなのかもしれませんが不快な思いをしたことは事実です。
辛さ具合で下を見ても、ホワイト企業を求めて上を見てもきりがありません。

「海外の法律や文化も知ろうとせず進出しようと思う会社もあるんやね〜」くらいの気持ちで見てくださいね。
会社名は出しませんが知る人ぞ知る、アレを作っている会社ね!となる感じの有名度です。

海外進出をするということは、(前職に限って言えば)日本や近隣国での供給が飽和状態になりこれ以上の需要を見込めないほどの売り上げを出しているということです。そのためニッチな業界でないかぎり、ある程度の認知度はあります。

今回は私が新卒で入社した日系企業で経験したネガティブな点3つを紹介します。

見なし残業

まず雇用契約の時点でちょっと引っかかったのが見なし残業です。
ドイツでも合法ですが、月17時間ほどの残業分が給料に見込まれていたのがそこそこ不満でした。

ただ新卒で職務経験がなかったのである程度我慢する覚悟ではいました。

出張も少しあるポジションだったので、会社側は給料などの計算が楽になるようにと「言い訳」していました。

また会社自体が海外進出し始めたばかりに加えて駐在員の英語力が破壊的だったので、始めは少人数の日本人のみで働いていました。そうなるともうオフィス内に日系企業独特の雰囲気が出てきます。

限度を超えた業務が終わるまで帰れない、定時ギリギリでも仕事を回されるなど、正直うんざりしました。使用期間中でもなるべく図太く定時に上がっていましたが、時々こう言った要求をされるのは不快でした。

その後入社してきたドイツ人は何があろうと堂々と定時上がりしていたので、私が提案して社内会議を開いて「定時1時間前に仕事を振らない」というルールを作りました。新人にこんなルールを作らせて恥ずかしくないのかな、と思いました。

病欠と診断書

ドイツでは病気の際、有給休暇とは別に病欠扱いで休むことができます。
たいていは2日目まで診断書なしで、3日目からは診断書があれば病欠扱いとなります。もちろん雇用契約書によっては1日目から診断書が必要な場合もありますが、特に明記されていない場合はこの「2日目ルール」が適応されます。

前職の雇用契約書には明記されていなかったので風邪をひいた時に2日、診断書なしで会社に休む旨を連絡しました。

後から聞いた話ではリーダー駐在員(あえて社長とは書きません)は「1日目から診断書を要求する、風邪はひくほうが悪い」と宣っていたと聞きました。

これを聞いた私はキレッキレに切れ、転職を決意し、すぐにリクルーターに連絡を取りました。ちょうど使用期間である半年が過ぎた頃です。
この会社を斡旋してくださった担当リクルーターさんには悪くもないのに謝られました。そして奇しくもこの方からのオファーで転職しました。

会社で退職する旨を伝えた際、リーダーから「あれは1日目から医者に行けば早く治ると思ったから」と言い訳されました。笑っちゃいましたね、。

さらに私の入社前に、妊娠が発覚した同僚に退職するよう求め、残業もさせまくりだったそうです。ちなみにドイツでは妊婦を退職させることはできません。ガッツリ違法です。

ドイツでこのような違法行動をすると、会社からではなく本人のポケットマネーから最大200万円ほどの罰金を払う羽目にもなるので気をつけてください、とリーダーに伝えておきました。

期限付き雇用と人生設計

期限付きの雇用契約はドイツにもありますがたったの8%ほどです。(個人的体感ではもっとある気はしますが。)

私の場合は面接の時点で2年が過ぎれば無期限採用にすると、口約束されました。
口約束は約束ではなく、ただの発言です。何も保証されません。

これも会社の都合上ただ計算が楽だから、と言い訳していました。

別の駐在員は、社員のやる気にもつながるため期限付き雇用には反対していました。


ありがたいことにリーダーには将来的に管理職になってほしいと言われていましたが、どれだけ褒められおだてられても書面が全てです。私は2年経ったら何かと理由つけて解雇されるという覚悟はしていました。

きっと期待されてやる気が出る人もいるのでしょうが、私は積極的に悲観的になるタイプなのでやる気はゴリゴリそがれました。まぁ頑張ってもどうせ解雇されるし、みたいな。

これに関してはそこまで不満はなかったのですが、一度お酒の席で「子どもは考えているか」と聞かれました。試用期間中だったので事を荒立てることはしたくないため「期限付き雇用の2年が過ぎるのをとりあえず待ちます」とだけ答えました。

冷静に「こんな非常識なこと聞くシーラカンス、本当におるんやな~」と水槽の中の珍しい魚でも見ている気分でした。

自業自得なのか

思い返してみても主な転職の理由はたった3つしかないんですよね。

我慢してとりあえず続けるのもありだったのですが、わざわざドイツにまで来て不快な思いをしながら仕事するのが単純に嫌でした。給料もみなし残業込みだと魅力的ではなかったし。(実際はそんなに残業はしてませんが。)

最初こそ、こんなしょーもない市場価値ほぼゼロの哲学の修士号をとった自分が悪いんだ、と思って自己責任で完結させようとしました。
2回ほど泣きました。自分が情けなくて。

しかし元はと言えば「海外の法律や文化を知ろうとも、改善しようともしない」この会社が悪いのだと考えました。
自分のせいではないと、図太く考えられるようになれたのはよかったです。

最終的には本社から社長がわざわざ出向いて、面談というラフな愚痴披露大会をし、雇用契約書の改善・再編集までこぎつけました。社長はとても良い人柄の信頼できる方だったので残念です。

しかし私は現職から内定をもらっていたのでそのまま退職しました。

スタートアップの第1世代とでもいいましょうか、最初のメンバーはきれいに全員退職・転職しました。まだ見ぬ後のメンバーのために改善できたことは嬉しく思います。

おわりに

前職の業界は好きだったし、取り扱っているモノ・品質にも納得して、そこそこ情熱をもって仕事をしていたので転職せざるを得なかったのは残念です。

スタートアップということもあり、いろいろな業務を経験でき、新卒にも関わらず自分の裁量で決定できることも多く刺激的でした。同僚とも距離感が近く、毎日楽しかったです。

しかしどうせ働くなら精神的に楽なほうが良いです。
ドイツの平均的な労働条件を満たしていないと、それだけでその会社の魅力は半減してしまいます。

海外進出してビジネスを拡大したいなら、その国の人々のスタンダードを調査し、魅力的な条件を用意しないと人は集まらず、集まってもある程度経験を積んだ後は容赦なく離れていきます。

今納得いかない職場で仕事をしているのであれば転職の練習として、リクルートエージェントにメールだけでも送ってみてはどうでしょうか。
という転職に関するお話はこちらです↓



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