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〚 最も赤い世界 〛

couleurs complémentaires

2021年の8月にアクリル絵の具と水彩絵の具で描いた作品です。

窓の外の景色は、水彩で描き、内側はアクリル絵の具で描いています。

タイトルは、フランス語で、日本語訳で補色という意味を持ちます。

補色は、ざっくりいうと反対の色です。

青の補色は黄色のように、補色は1色のみを指すわけではなく、2つの色の関係を言います。

2色の関係が補色であれば、いくつかの作用があります。
青と、その補色である黄色を例にして書きます。

・青と補色である黄色を混ぜれば、灰色になる
・青を見続けると、補色である黄色の残像が見える
・青を最も際立出せるのが、補色である黄色


手術着が青緑のような色であることや、牛乳のパッケージでは青色が多いことなど、さまざまな場所でこの色の作用が取り入れられています。

補色で調べると、対応する色の図や、その効果についても詳しく書かれているので、気になった人は見ていただけると良いと思います。

では、この作品「couleurs complémentaires」は、なぜ「補色」というタイトルとなっているのでしょうか。

この絵の補色とされる絵は何でしょうか。

この絵の最大の特徴は、「赤色」が使われていない事です。

そして、見てわかる通り、この絵には、水色が多く使われており、その補色は「赤色」になります。

つまり、タイトルが「補色」となっており、これだけあからさまに水色を使っているので、わざわざ描いていない「赤色」を意識するように言っています。

そして、顔料をわざと分けたように、アクリル絵の具で描いた建物の内側と、水彩絵の具で描いた外側では明らかに分けて考えられています。

建物の内側は、自身の主観を表しており、窓の外は客観的なものや、社会的なことを表しています。それにより、描き方も変わっています。

しかし、どちらも赤色が使われていないという点では同じです。

もう一度、補色であればいえる効果について書きます。

・対象の2色を混ぜれば、灰色である
・対象の色を見続ければ、その補色である色が残像として見える
・対象の色を一番引き立たせるのは、その補色である色

「couleurs complémentaires」では、補色である「赤色」をどうとらえているのでしょうか。

描いた人なりの「正解」はありますが、観る人ごとにこの絵を楽しんでいただければ嬉しいです。

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